社員とのコミュニケーションを改善!経営者が学ぶコーチングとは

大企業では当たり前のように役職者・管理職研修として行われるコーチング講座。
ですが、中小企業ではあまり行われていません。
欧米の経営者はほとんどコーチをつけているといわれています。
経営幹部にはインセンティブとして、コーチを与えられるともききます。
注目されているのに、なかなか正しく理解してもらえないコーチング。
コミュニケーション力強化に活かせるので、ぜひ学んでもらいたいスキルです。
コーチングについてを整理してまとめてみました。
【目次】 |
コーチングとは

コーチングとは?
コーチに質問するとさまざまな答えが返ってきます。
それだけ多くの効果があるからです。
しかし、それがコーチングを「よく分からないモノ」としているのかもしれません。
弊社の場合
コーチングを受けたい人に対しては「クライアントの意思決定の精度とスピードを向上させるもの」
コーチングを学びたい人に対しては「聴く力に重点を置いたコミュニケーションスキル」
と伝えています。
コーチングは「クライアントのモチベーションを上げる」というメリットがあります。
それを「クライアントに仕事のやる気を出させる」と捉える方がおられます。
合っているとも言えますが、間違っているとも言えます。
コーチングは「やりたくないことをさせる」スキルではありません。
このコラムではコーチングを学びたい人に対して説明します。
メリット・デメリット、コーチングを正しく理解した上で学んでください。
メリット
経営者・管理職がコーチングを使うメリットは以下の通りです。
・職場内でのコミュニケーションが改善される
・話しやすさが向上するため、部下や同僚からの報告、連絡、相談が増える
・会議でのファシリテーション能力が向上し、メンバーが積極的に発言する
・肯定的な面も見つけられるようになり、承認することができる
・承認することにより、部下のモチベーションが向上し、離職率が下がる
・部下の考える力を促すことによって、部下が成長し、生産性が上がる
・「部下や同僚を信じられる」「受け止め方が上手になる」でストレスが減る
など
上述したように、「聴く力に重点を置いたコミュニケーション」を取ることにより、職場内に話しやすい雰囲気ができます。
・誰も一言も話さない職場
・みんなが活発に発言する職場
極端な例ですが、どちらの職場の方が生産性が高くなるかイメージできるのではないでしょうか。
デメリット
もちろんコーチングにもデメリットはあります。
コーチングは原則「教えない」です。
ティーチング・コンサルティング・アドバイスとは区別されます。
デメリットは以下の通りです。
・「教える」と比較し、相対的に遅い
・経営者、管理職が望まない回答が来るかもしれない
このようなデメリットがありますが、考えようによってはメリットになります。
もちろん答えを教えた方が早いです。
逐一指示した方が早いでしょう。
しかし教えるのデメリットもあります。
指示されないと、動かなくなる可能性があります。
教えてもらってないことはできないと感じるようになるかもしれません。
経営者・管理職の望まない回答ですが
「自分のやりたい仕事はこの会社になかった」と気づくかもしれません。
コーチングすることによって、離職されると大きなデメリットになります。
しかし、考え方を変えると
「やる気がない人に無理やり仕事をしてもらうより、やる気のある社員を新たに採用した方が結果的には良い」
とも考えられます。
上述しましたが、コーチングはやりたくない仕事に対して、無理やりモチベーションを上げるスキルではなありません。
それを無理やりしようとすると、信頼関係を失い、コーチングができなくなります。
コーチングの基本スキル

コーチングでは以下の基本スキルを学びます
・承認、傾聴
・質問
・フィードバック
これらのスキルについて説明します。
承認・傾聴
コーチングを行う上で最も重要なスキルです。
これをマスターするだけで「聴く力に重点を置いたコミュニケーション」ができるようになります。
承認・傾聴は「相手が安心してなんでも話したいと思ってもらえるようにする」ことが目的です。
「いつも厳しそうな顔をしている「提案してもすぐ否定する」「すぐに怒る」などでは話しをしたいとは思いません。
報告、連絡、相談が無いから部下のコミュニケーション能力が低いと感じている方は、この力が欠けているのかもしれません。
承認は存在承認ともいい、「ここにいても良い」「なんでも話しても良い」という気持ちにさせるものです。
褒めるとは違い、「できなかったこと」に対しても承認することはできます。
まだ成長前は頑張ってもできないことも多いでしょう。
その頑張っていることへの承認があるかないかで、部下のモチベーションは変わります。
傾聴は「相手にたくさん話してもらう」スキルです。
経営者や管理職は、すぐに自分の意見を言いたくなります。
その瞬間、相手は話せなくなります。
質問
質問は「もっと話を引き出す」を目的としています。
もう一つの目的は「意思決定の精度を上げるために、視野を広げる」です。
「承認と傾聴」を続けていても、いつか話は止まります。
そこで新たな話の呼び水として質問を使います。
普段使う質問の違いは「誰のため」の質問かということです。
普段は「自分のため」に質問します。
自分が知りたいことの情報収集です。
コーチングの質問は「相手のため」に質問します。
相手の視野を広げるためです。
例えば、「部下が報告・連絡・相談に来ない」と言っている人がいたら
「部下が喜んで報告・連絡・相談したくなるような上司ってどんな特徴があるでしょう?」
と質問したりします。
フィードバック
フィードバックも「もっと話を引き出す」を目的としています。
もう一つの目的は「客観的に自分を見てもらう」ことです。
自分は自分のことを意外に分かって無かったりします。
できる人ほど、成功体験に意思決定の範囲が狭められたりします。
欧米の経営者はそのことを自分でよく分かっているのでコーチをつけます。
このスキルは強い観察力と直感力が求められます。
「頑張ります」と言っても、自信がなさそうと感じたら、感じたことをそのままフィードバックします。
感じたことに、「もっと自信持ちなさい」などを加えてはいけません。
コーチングセッションの基本

コーチングスクールなどでは30分間のセッションを行うことが多いです。
※あくまで練習で、30分間という決まりはありません。
その30分間でどのような話の流れで進めるのか。
GROWモデルというものを基本的に使います。
GROWモデル
GROWモデルとは計画を実行していくときに使われるフレームワークで、特にコーチング用というわけではありません。
便利なのでコーチング用の本に載っていることが多いです。
GROWモデルとは
Goal:ゴール(目標)
Reality:現状
Option:選択肢
Will:意思
の頭文字をとったものです。
セッションの一例ですが
1.ゴールを明確化します
2.現状を明確化します
3.ゴールと現状のギャップを明確にします
4.ギャップを埋めるための行動(選択肢)を明確にします
5.最初に行動することを決めてもらいます(意思)
次回のセッションでは、行動した結果どうだったか?の話から始まります。
このセッションを定期的に繰り返すことによって目標達成に向かいます。
大切なことは、「行動したら必ず成功するというわけでは無い」ということです。
「失敗したとしても、それにチャレンジしたことを認めてもらえたら、またがんばろう」となります。
露骨に不快感を示したり、怒ったりしたら、チャレンジしなくなるかもしれません。
上司の関わり方が部下のモチベーションを変えます。
ゴールとモチベーション
社員のモチベーションは多くの会社で課題になっています。
重要なことは「やる気を出せと言われてもモチベーションは高まらない」ということです。
読者の方もそうだと思います。
「やる気を出せと言われても、やりたくないことはやりたくないですよね」
本当のモチベーションとは、「やめなさいって言われても、やりたいって状態」だと感じます。
小さい頃は、目的達成のためにはなんでもやったのではないでしょうか。
親に買ってほしいものがあったら、ところかまわず泣いて駄々をこねたり・・
大人になると理性が強くなり、恥ずかしい、失敗が怖いなどで動けなくなってきます。
そこを安心してチャレンジできる環境をつくるのがコーチングです。
そして大事なのはゴール。
ゴールが魅力的であれば、「やれ」と言わなくてもやります。
部下にとっての魅力的なゴールを引き出し、仕事を頑張ることによって、そのゴールを達成できると結び付けていくことが大切です。
コーチングはコミュニケーションスキル

部下にコーチングセッションする場合のことも説明してきましたが、すぐには難しいと思います。
コーチングセッションは特にトレーニングが重要です。
企業研修などでトレーニングをほとんどせずに、失敗するケースもよく耳にします。
中間管理職は上からの指示との板挟みになり、質問しながら上からの指示に沿うように誘導しがちです。
そうなってコーチングを受けることが嫌になることがあります。
だから、まずはコミュニケーションスキルとしてコーチングを取り入れてください。
承認・傾聴のスキルが強化されるだけで、コミュニケーションの質は大きく改善します。
弊社ではコーチングを取り入れたコミュニケーションの入門セミナーを随時開催しています。
ぜひご参加ください。