管理職と部下をストレスから守る職場のメンタルヘルス対策
部下を持つ管理職にとって、部下のメンタルヘルスは大きな課題です。
ストレスを過度に感じて、精神疾患になると労災になります。
モチベーションが低下し、退職される可能性があります。
ストレスの多い職場は、チームの生産性を大きく低下させるかもしれません。
管理職のメンタルヘルスも重要です。
責任感の強い管理職は、仕事を抱え込みがちです。
部下とのコミュニケーションがうまくいっていないのであれば、ストレスは大きなものに変化します。
上からの成果へのプレッシャーも大きいです。
管理職と部下のメンタルヘルス不調を防ぐには、ストレスの少ない職場づくりが欠かせません。
ストレスを減らす職場環境の作り方について説明します。
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【目次】 |
メンタルヘルスの状況について
50人以上従業員をかかえる職場からストレスチェックの義務化や、健康経営など、従業員のメンタルヘルス対策の導入が進んでいます。
それは、逆に言うと、会社でのメンタルヘルスの問題が増加傾向にあるからと考えられます。
精神疾患の労災申請
精神疾患が理由の労災申請について、統計を取り始めてから、毎年のように増加しています。
(参照:厚生労働省:平成30年度「過労死等の労災補償状況」を公表します (mhlw.go.jp))
ストレスチェック制度や健康経営が、始まってからも増え続けています。
どうしてメンタルヘルスの問題を止められないのでしょうか?
職場に増え続けるストレス要因への対策が、後手後手になっている様子が見てとれます。
もしくはメンタルヘルス対策が、絵に描いた餅のようになっているからです。
ストレス対策が追い付かないぐらい、環境変化が早いともいえます。
実際、職場では、どのようなストレス要因があるのでしょうか。
職場のストレス要因
職場で感じるストレスは、ほぼ毎年同じです。
厚生労働省が毎年アンケートをとっています。
職場のストレス要因を、インターネットで検索してもでてきます。
アンケートの結果、働いている人の6割以上の方が、強いストレスを抱えながら仕事をしています。
部下が10人いたら、6人はストレスを感じている状況です。
うちの部下は大丈夫と思っていたら、そのストレス要因は解消され無いでしょう。
ストレス要因の上位には、「上司」がきているアンケート結果も多いです。
職場のストレス要因として、上位に来るものは以下のようなもです。
・職場の人間関係
・仕事の質と量
・評価されない
・会社の将来性
・給料、待遇面
など
さまざまなメンタルヘルスの悪化要因があげられていますが、要は仕事が楽しくないからストレスを感じるのです。
それは、コミュニケーションの質の低下により発生しています。
忘れられがちな管理職のストレス
職場のメンタルヘルスマネジメントというと、社員を対象とすることが多いです。
しかし、現実的には、管理職のメンタルヘルスマネジメントも重要です。
管理職は、社員よりも責任のある立場であるため、社員以上にストレスが大きいです。
そのため、管理職になりたがらない人が増えていると聞きます。
会社を成長させたいなら、管理職のメンタルヘルスマネジメントが重要です。
基本的には、ストレス抵抗力が大きい人が管理職に昇格します。
しかし、管理職のストレスは、状況によって大きく変化します。
「自部署の成果に対する上からのプレッシャー」「部下の仕事が遅い」「部下が抵抗する」など、板挟みのストレスに苦しむかもしれません。
責任感の強い管理職ほど、ストレスは大きくなります。
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ストレスへの対処方法
後手後手になりがちなストレスの対処法ですが、メンタルヘルスの問題を発生させないことは、最重要課題です。
だれかがダウンして休職や、退職すると、残った人に仕事の負担が流れます。
さらにストレス要因の強い職場に変化します。
メンタルヘルス問題が、さらに大きなメンタルヘルス問題を生む状況になります。
だから、「発生させない」が大切です。
予防措置
職場のストレス要因に、コミュニケーションの質の低下と述べました。
予防は、コミュニケーションの質の改善です。
弱音や不満を含めて、何でも発言しやすい環境を整えるのが大切です。
それは管理職、部下の両方にとっていえることです。
【部下の場合】
・報連相すると怒られる
・会議で発言すると否定される
・仕事を教えてくれない
・仕事にプレッシャーをかけてくる
・粗さがしをして注意してくる
・良い面を評価してくれない
・自分にばかり仕事をふってくる
などコミュニケーションの課題が多いです。
我慢強い、真面目な人ほど「うつ」になりやすいと言われています。
管理職は、真面目に仕事をしてくれる部下を頼ります。
だから、真面目な部下に仕事の負担が集中します。
不公平感や仕事量にストレスを蓄積しがらも仕事をこなしてくれます。
しかし、蓄積量がある基準を超えた瞬間、ダウンします。
それは、突然来ます。
上司は、部下の「いつもと違うに気づく」が大切と言いますが、気づいたころには手遅れです。
だからこそ、普段から何でも言い合える関係性を築くのが大切です。
コミュニケーションの質です。
その上で、一人の部下に仕事が集中しないように、組織のマネジメントが、管理職にもとめられます。
また、組織の雰囲気が悪ければ、働きたい人が減ります。
人が少なければ、一人当たりの仕事量が増えます。
さらに人が減れば、仕事量がさらに増えます。
ストレス要因を減らすにも、労働者が働きたいという環境づくりをする施策が、メンタルヘルスにも大切です。
【管理職の場合】
・部下が報連相してこない
・部下が会議で発言しない
・部下の仕事が遅い(注意しなければならない)
・部下の仕事が遅い(部下の仕事の負担がのしかかる)
・上司、他部署が協力してくれない
などコミュニケーションの課題が多いです。
管理職は、責任感のある人が多いため、仕事を抱え込みがちです。
誰にも相談できずにストレスが蓄積され続けると、メンタルヘルスがダウンします。
部下の協力や、上司と他部署の協力が得られるように、日ごろからコミュニケーションをとることが大切です。
部下がコミュニケーションをとってこないことを、部下の責任にしがちです。
しかし、管理職のコミュニケーション能力が、原因であることも考えられます。
管理職がいつもピリピリした状態であれば、部下は委縮してコミュニケーションをとりません。
事後対応
精神疾患による労災の発生など、メンタルヘルスの問題でダウンする人が現れたら、職場の雰囲気が悪く変化する可能性があります。
・残った社員の仕事の負担量の調整
・再発防止策の実施
・職場に戻ってくるプランの作成
などが必要です。
一度メンタルヘルスの問題でダウンすると、復帰には時間がかかります。
メンタルヘルス問題を発生させたら、対応する必要があります。
どうせなら、メンタルヘルスの問題が発生する前に、「仕事量の調整」「防止策の実施」を行いましょう。
加えて、企業風土の改善も大切です。
企業風土を改善する
ストレスを感じるかどうかは、企業風土に大きく影響されます。
たとえ給料が少なくても、みんなが楽しそうに働いている職場は存在しています。
部下のメンタルが良好な企業風土づくりは、経営者、管理職の責任が大きいです。
ストレスの少ない職場づくり
ストレス要因の上位には、常に人間関係があります。
ギスギスした人間関係は、ストレスとなります。
・提案しても否定される
・無視される
・評価されない
などがあると、大きなストレスになります。
すぐに怒る管理職がいると、ピリピリした、ストレスの多い職場環境になります。
メンタルヘルスの面で、問題があります。
自分の意見を通すために、同僚の意見を否定し合う職場では、不信感しか生まれてきません。
チームのメンバーの人間関係が悪いと、ストレスが大きな職場となります。
仕事の生産性も悪くなります。
経営者や管理職の役割は、組織の生産性の最大化です。
つまり、ストレスの少ない職場づくりが、経営者や管理職の役割です。
認め合いのコミュニケーション
ストレスの少ない職場づくりには、人間関係の改善が必要です。
人間関係の改善に必要な施策が、コミュニケーション能力の強化です。
コミュニケーション能力の強化に必要な施策が、「聴く力」の強化です。
人間関係が悪化するコミュニケーションに欠如しているのが「聴く力」です。
「聴く力」が欠如している人は、自分の意見を「話す」に専念します。
なんとかして、自分の意見を押し通そうとします。
「話す力」重視のコミュニケーションでは、勝ち負けが発生します。
自分の意見が通らなかった人は、負けたとなって、ストレスが高まります。
メンタルヘルスに悪影響を及ぼします。
相手の意見を認めた上で、議論することが大切です。
「意見を認める=意見に賛成する」では、ありません。
頭ごなしに否定するのではなく、一旦聴くというコミュニケーションが大切なのです。
認め合うコミュニケーションができると、ストレスが低減できます。
効果的な意見交換ができるように変わります。
【コラム】ビジネスでワンチームに-会社組織の一体感を醸成する方法
コーチングスキルを活用する
部下のメンタル不調への対応は、「まず、発生させない」が重要です。
発生させないためには、発生させない職場環境、組織づくりが大切です。
ストレスの少ない良いメンタルヘルスを保つ職場づくりは、コミュニケーション能力強化が欠かせません。
特に「聴く力」です。
「聴く力」強化は、トレーニングが必要であり、コーチングスキルを学ぶをオススメしています。
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