経営理念・ビジョンの作り方~ビジョナリー経営の基本~
御社に経営理念はありますか?
経営理念は企業のビジョン、方向性を指し示すために必要です。
中小企業では、まだ経営理念が無い会社も多いです。
経営者自身には理念は存在するけれど、明文化されていないケースも多くあります。
問題は、経営者が変わったときに発生します。
大塚家具のように、経営者が変わった瞬間に、急に方向転換されると組織がついてこれない場合があります。
経営者が変わっても、ブレずに持続的成長していくために、企業自体のビジョンが必要です。
そして、ビジョンに必要なのが経営理念です。
中小企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化しています。
イギリスのブレグジット、米中の貿易戦争、日韓関係、イランとアメリカの対立などが続いていたところに、新型コロナウイルス感染拡大が発生しました。
米中の対立も激しくなっています。
長く続いた安倍政権も終わり、菅政権が始まりました。
地銀の再編や中小企業の再編などの声も聞こえてきます。
先行きが不透明な時代であっても、社員が一丸となって乗り切らなければなりません。
社員が一丸となる、ワンチームになるには、強力な共通目的が必要です。
その共通目的が経営理念です。
経営者は、外部環境変化が激しい中でも、ブレない意思決定がもとめられます。
ブレない意思決定をするための経営手法が、理念経営、ビジョナリー経営です。
理念経営、ビジョナリー経営に必ず必要となるのが、企業の経営理念です。
そして、経営理念を具体化したビジョンです。
経営理念とビジョンの作り方を説明します。
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【目次】 |
経営理念は大切
中小企業は、まだ経営理念がない会社が多く存在します。
創業者がいるので、必要ないと考えている会社がいる一方で、必要性自体よくわかっていない会社も存在します。
会社を長期的に存続させたいと考えるのであれば、経営理念の策定は重要です。
なぜなら、経営者がいなくなっても、会社は存続するからです。
経営理念とは
経営理念とは、「何のために、この会社が存在するのか」を言語化した会社の目的です。
社是など、会社ごとに、呼び方や定義が変わります。
まれに、「売上拡大」のように、経営理念に経営目標がかかれている間違ったケースも見られます。
経営理念は、経営の目的です。
経営目標は、経営の目的を達成するために立てる目標です。
経営理念が無いというのは、会社の進むべき方向性が決まっていないといえます。
ビジョンとは
ビジョンとは、経営理念(会社の目的)を達成したときの状況を表現したものです。
経営理念は抽象度が高いので、ビジョンに具体化します。
ビジョンの明確化によって、会社が進むべき方向がより具体化されます。
見える化によって、社員全員の共通認識を持つことができます。
例えば、ビジョンが「日本国民を幸せにした状態」なのか「世界中の人々を幸せにした状態」なのかで、戦略が変わるのです。
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経営理念のメリット
経営理念が無くても、うまく経営できている会社は確かに存在します。
しかし、社員を増やしたい、会社を成長させたいと考えているなら、経営理念の策定は大切です。
社員それぞれが、自分勝手な目的で働いていたら、一体感が作れないからです。
経営理念策定のメリットについて説明します。
経営判断の基準
経営理念が存在するメリットは、「経営判断の基準になる」です。
会社の進むべき方向が決まっているなら、経営判断に迷う機会が少なくなります。
ファブレス経営がビジョンにあるなら、工場設立という経営判断は最初に消えます。
迷いの時間が長くなればなるほど、生産性が低下します。
会社が大きくなってくると、経営者が逐一判断の指示を出すわけにはいきません。
現場での意思決定が必要です。
その時、現場が行う判断基準が経営理念です。
社員が増えてくる可能性や会社を成長させたい企業は、社員が経営者に判断を仰がなくて済むように、経営理念の策定が大切なのです。
組織力の強化
2019年、ラグビーワールドカップでの日本代表の活躍以来、ワンチームという言葉がよく使われます。
ワンチームとは、組織に一体感がある状態をいいます。
組織がワンチームになるには、メンバーが強く達成したいと思う共通目的が必要です。
ラグビーで言えば「優勝する」です。
想いを一つにするには共通目的が必要です。
そのメンバーが共有する共通目的の魅力が大きいほど、メンバーの協働意欲が強くなります。
組織を一丸にして組織力を強化するにも、共通目的である経営理念の策定が重要になります。
経営理念とビジョンの作り方
経営理念の作り方を説明します。
しかし、経営理念の作り方には、決まりは無いです。
ここでは、経営理念とビジョンの作り方の一例についてお伝えします。
ビジョンを具体化する
まずビジョンを具体化します。
次の質問に答えてみてください。
- 御社がここまで達成できたら、目的を果たせたと思える状態を教えてください。
- 御社のおかげで喜んでいる人たちは、どのような人たちですか?
- その人たちの喜びの声は具体的にどのようなメッセージですか?
- 御社がそれを達成できた理由は何ですか?
- 達成した御社を、社会の人々は「何を成し遂げた会社」と呼びますか?
企業の存在価値
上記質問に答えているうちに、御社の存在価値が見えてきます。
ただし、経営理念は、抽象的になりがちです。
それはそれで構わないのですが、「お客様の幸せのため」という、あまりにも一般的な言葉にしすぎると、他の会社と変わらない存在価値になります。
また、何をもって「お客様の幸せ」とするかまで、社員で共有しなければなりません。
だからビジョンで具体化が必要なのです。
できるだけ「御社ならでは」という、経営理念が大切です。
他の会社も目指しているビジョンであれば、世の中は別に御社がいなくても他にも存在するから大丈夫となります。
経営理念が御社ならではであるほど、魅力的であるほど、社員の離職の可能性が小さくなります。
その目的を達成するには、御社に所属するしかないからです。
経営理念はステークホルダーにとっても魅力的な必要があります。
経営理念に「利益の拡大」と書かれていても、お客様にはメリットが無いです。
お客様が御社を選ぶ理由がなくなります。
お客様が経営理念をいちいち確認をしないですが、経営理念が社風をつくるので、社員に「利益優先の態度」があらわれます。
経営理念の作り方の例
経営理念の作り方に絶対的なルールは存在しませんが、参考に例を挙げます。
- ビジョンを描く
会社は、どのような未来を作り出したいのか? - ビジョンから目的を言語化する
何のために存在する会社なのか? - 自社でなければならない理由を言語化する?
なぜ、同業他社でなく自社が社会に必要なのか? - 目的が社会から必要とされている証拠を示す
自社の存在を望んでいる人はどのような人?証拠は? - 経営理念を策定する
自社の存在理由を言語化するとどうなる?
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ビジョナリー経営を実現する
経営理念を策定し、経営理念を軸とした経営をビジョナリー経営(理念経営)と呼びます。
ビジョナリー経営の強みはブレない経営です。
景気変動や地政学リスクなど、外部環境の変化によって経営判断に迷うシーンは多く存在します。
しかし、経営理念を策定し、ビジョンを具体化しておけば、迷うケースは減ります。
外部環境がどんなに変化しようが、会社の目指すべきビジョンは変わらないからです。経営理念が無ければ、場当たり的な経営になります。
経営理念を策定し、ビジョナリー経営を導入しましょう。