会社経営に関する悩みの失敗しない相談相手の選び方
新型コロナウイルスの影響により、倒産や廃業が増えています。
倒産しないまでも、会社をどうしていこうか悩んでいる経営者も多いでしょう。
雇用調整助成金を申請するだけでも、どうしたら良いのか悩みます。
一方で社員を休職させずに、人材育成のチャンスととらえて行動する経営者もいます。
さまざまな状況に合わせて、経営者は意思決定を迫られます。
そして、経営者の意思決定の結果で、会社の将来が決まります。
意思決定の精度を上げるにも、経営課題の悩みを気軽に相談できる環境を整えておくのが大切です。
しかし、相談相手によっても意思決定が左右されます。
相談相手の探し方も含めて説明します。
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【目次】 |
経営に関する悩みの種類を切り分ける
会社の経営に関する悩みは、だれに相談すれば良いのか悩むかもしれません。
経営課題の相談は大切ですが、その前に経営課題の種類の切り分けが大切です。
人間の病気のように、症状によって専門家が異なるからです。
人間の場合は、症状ごとに内科、外科、皮膚科など相談先が異なります。
会社の経営課題も、売り上げ、コスト、資金繰り、商品開発、生産管理、人材育成などさまざまな分野に分かれます。
そして、とても重要なポイントです。
会社も人間と同じです。
末期患者になると、名医でも助けるのが大変です。
会社も、定期的な健康診断が大切です。
一言で業績不振といっても、さまざまな原因が含まれます。
売上不振が悩みの場合も、販売力の問題なのか、商品力の問題なのか、人材の問題なのかわかりません。
商品力に問題があるのに、無理に販売力を強化すると、顧客離れを引き起こすかもしれません。
課題を明確にする目的に特化したような、相談先も存在します。
経営課題の切り分けが大切ですが、緊急性がもとめられるかによっても相談先が変わります。
早急に解決する必要があるのか、それとも長期的に改善していきたい課題なのかによって、対応が分かれます。
短期的な経営課題
短期的な経営課題とは、何かしらのトラブルにより早く解決しなければならない状況、もしくは改善しなければならない課題が明確になっている場合です。
資金繰りの問題であったり、取引先の倒産などです。
債務超過など、経営が行き詰っている場合も該当します。
インターネットマーケティング力が課題になっているから強化したいなど、前向きな経営課題も含まれます。
しかし、短期的な経営課題は、長期的な経営課題の解決を、先延ばしにした結果である場合が多いです。
短期的な経営課題は、目的が決まっています。
目的に応じた、プロジェクト型のコンサルティングサービスや専門の会社への相談が一般的です。
・補助金、助成金
国の金融支援を受けるための申請書の書き方がわからないなど。
・借入金のリスケジュールなど
借金が予定通りに返せない時など。
・節税など
節税の方法がわからない時など。
・販路開拓、マーケティング、海外展開
新商品の販売先の開拓の仕方、インターネットを活用したマーケティング、海外展開の仕方などが変わらない時など。
・ビジネスマッチング
商品を販売してくれる会社、製造してくれる会社を探したい時など。
・生産管理、在庫管理
工場の生産性を改善したい、在庫の回転率が悪い時など。
・IT導入
テレワークやAI,IOTの導入をしたい時など。
・採用、人事管理
人材を採用したいとき、人事評価制度を導入したい時など。
・法律、特許関連
会社間、社員ともめた時、特許出願をしたい時など
経営課題は、どこまででも細かく分類できます。
事前に「自社の経営課題は何か?」の明確化が、大切です。
「経営課題は何か」を間違えると、見当違いの対応をすることになります。
長期的な経営課題
長期的な経営課題とは、3~5年の長期的なビジョンと、現状とのギャップを埋める課題です。
これらの課題を早め早めに解消すると、短期的な課題に慌てた対応をもとめられる機会が少なくなります。
長期的な経営課題の特徴は、短期的な課題に対して曖昧です。
そして、緊急性がありません。
・この会社の将来像を描けない
・経営が、場当たり的になっている
・経営課題が、よくわからない
このような言葉で課題として現れます。
この「よくわからない」という状態が、課題となっています。
「よくわからない」ので、先延ばしにされがちです。
会社の方向性の軸を決める課題であるので、短期的な課題よりも重要です。
通常の流れは、
「長期的な経営課題を明確化する⇒短期的な課題が明確になる⇒短期的な課題を解決する」
となります。
しかし、経営相談は問題が起こってから行われるケースが多いので、短期的な経営課題ばかりに目が行きがちです。
【コラム】公平理論とは~社員のモチベーションマネジメント方法~
経営に関する悩みの相談先
経営課題の相談先は、「経営課題が明確な場合」と、「経営課題が不明確もしくは長期的な課題の場合」にわけられます。
経営課題が明確である
経営課題が明確である場合は、その課題を直接Googleに入力して検索してみてください。
おそらく、その課題の相談に応じてくれる相談先が数多く見つかると思います。
経営が行き詰っている場合は、事業再生の専門家、中小企業診断士、商工会議所。
補助金、助成金であれば、社会保険労務士、中小企業診断士、商工会議所などが出てくるでしょう。
WEBマーケティング関連であれば、ホームページ制作会社や動画制作会社が出てきます。
問題は数が多すぎる点かもしれません。
実際、どこが良いかは、ホームページからはわかりません。
短期的な課題は、早く選ばなければならないことがリスクになってきます。
やはり、良い相談先を見つけるにも、早め早めに経営課題を処理しておくことが大切です。
不明確もしくは長期的な経営課題
経営課題がわからない場合は、「経営診断、地名」で検索すると、経営診断をしてくれるコンサルティングサービスが見つかるでしょう。
長期的な経営課題に対応してくれる相談先を探すのは、「顧問契約」をしてくれるところになるでしょう。
パートナー型コンサルティングと呼ばれるケースがあります。
経営課題を早め早めに処理するためにも、プロジェクト型コンサルティングよりも、パートナー型のコンサルティングの優先をオススメします。
経営課題は、後手後手に回るほど大きくなります。
大きくなると対処に多くの経営資源が奪われ、経営が不安定になるからです。
また、コンサルティングサービスは、費用面を気にされる方が多いです。
形が見えないサービスであるので、お金を使うことに躊躇してしまいます。
コンサルティングサービスを活用するときは、消費でなく、投資という考え方が大切です。
300万円かけたとしても、300万円利益が増えたならどうでしょう。
それが今後、毎年続くとしたらどうでしょうか。
リターンを増やすためにコンサルティングサービスに投資する。
投資しなかったら得られるはずだったリターンを失う、機会損失という考え方も大切です。
もちろん、コンサルタントの能力もさまざまなので、必ずリターンが得られるわけではありません。
景気の変動もあるでしょう。
IT投資などによって、利益が逆に減るケースもあるでしょう。
長期的視点に立ち何が大切なのかを考える視点と、自社と相性の良いコンサルティングサービスを早めに見つけておくのがもとめられます。
経営相談に行くときの注意点
企業経営は、さまざまな要因によって振り回されるので、とても複雑です。
だから悩んだときは、気軽な相談をオススメします。
経営者の仕事は、意思決定です。
相談するしないも意思決定です。
その意思決定によって、会社の将来が決まるからです。
しかし経営相談したからといって、必ず問題が解決するわけではありません。
経営相談に行くときの注意点を説明します。
相談先によって対応力は異なる
経営コンサルティングサービスは、人によって品質がばらつきます。
ユニクロのように、どのお店でも同じものが購入できるわけでは無いです。
そして、どんなに優れたコンサルタントでも、クライアントとの相性もあります。
自社に最適な経営コンサルティングサービスは、すぐに見つかるわけではないという注意点があります。
またコンサルティングのアプローチ方法もそれぞれです。
コンサルタントの知識と経験を、積極的に与えてくれるアドバイス型アプローチもあれば、クライアントの考えを引き出して整理するコーチング型のアプローチもあります。
どちらが良いかは、クライアントの好みがあるでしょう。
また、長期的な課題に対応するコンサルタントは、短期的な課題に対応する専門家につなげるサービスとセットと考えるのが大切です。
一人の経営コンサルタントが「資金繰り」から「商品開発」「人事評価制度設計」「ホームページ作成」などすべてを対応できません。
例えば、長期戦略の中で、人事評価制度を整えた方が良いと決まったら、社会保険労務士に依頼するかもしれません。
ホームページのリニューアルが必要となったら、ホームページ制作会社に依頼します。
パートナー型コンサルタントは、対応できない課題は、専門家を紹介するなどします。
目の前のことだけでいっぱいにならないように
経営相談は、長期的視点に立つが大切です。
商品開発の相談に行った、次の日に画期的な商品が誕生するケースは、ほぼありません。
すぐに結果が出ないからと辞めてしまうと、得られるはずだった結果を失うとなります。
繰り返しになりますが、先行投資的な捉え方が必要です。
一般的に、目の前の課題の対応に意識がとられるケースが多いです。
しかし、全体を俯瞰してみれないと、根本的な問題解決になりません。
商品の魅力がないのに、販促活動に力を入れても効果が現れないでしょう。
社員が定着する仕組みがないのに、採用ばかり力を入れても効率が悪くなります。
販売先を拡大していないのに、高性能な機械を高額で購入してしまって、資金繰りが悪化するといった例も見られます。
何が根本的な問題になっているのか、広い視点で見るのが大切です。
その広い視点を提供するのが、パートナー型のコンサルタントと捉えてください。
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早めに相談が大切
新型コロナウイルスの感染拡大による影響によって、新型コロナ関連倒産が増えています。
おそらく廃業も増えているでしょう。
もし経営が危機的状況に陥っていたら、短期的な経営課題を解決してくれるサービスにお願いしないといけないでしょう。
しかし、販路開拓といっても、世界全体が危機的状況に陥ると難しい面も大きいでしょう。
だから外部環境の影響を抑えるのに、リスクマネジメントも取り入れながら、長期的な視点で経営課題と向き合うのが大切です。
また、上述したように、会社の健康も人間の健康も同じです。
弱っている人を回復させるよりも、元気な人をさらに活動的にする方が効率が良いのです。
早め早めに対応するためにも、パートナー型のコンサルティングサービスの活用をオススメします。