バーナード組織の3要素【共通目的・協働意欲・コミュニケーション】

さまざまな場面で、経営者や政治家の方々が「ワンチームになろう!」という言葉を使用されています。

感覚的に「ワンチームの状態の方が、仕事の生産性が高まる」とわかっているからです。

 

「ワンチーム」とは、次のような状態を指します。

  • チームワークの強い状態
  • 組織に一体感のある状態
  • 組織力が強化された状態

 

 

残念ながら、「ワンチームになろう!」とのかけ声だけでは、「ワンチーム」になれません。

おそらく、多くの組織で感じられていることではないでしょうか?

 

 

何をすれば、チームワークの良い状態、ワンチームにできると考えていますか?

 

 

ワンチームになる、組織力を強化するヒントとして、「バーナードの組織の3要素」を紹介します。

3つの要素(共通目的協働意欲コミュニケーション)の強化によって、組織力を強化できます。

 

 

 

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【目次】

 

組織を構成するもの

コーチング・コミュニケーション

組織力の強化は、各企業の最大のテーマではないでしょうか?

スポーツなどチームで対戦する場合、能力が拮抗しているなら、チームワークの差が勝敗を左右します。

 

「ワンチームになろう!」とのかけ声で、組織力を高めようとはしますが、それだけでは組織力は高まりません。

チームメンバーの冷めた反応を感じるかもしれません。

 

多くのチームが、「チームワークを大切に!」と言っていますが、「チームワークの強さ」にはバラツキが出てきます。

 

 

組織力を高めるには、まず組織が何で構成されているか、分解して考える必要があります。

 

アメリカの組織論の学者バーナードが提唱した、組織の3要素について説明します。

 

 

 

 

 

 

バーナードの組織の3要素とは

バーナードは、「ただの人の集まり」が組織になるには、次の3つの要素が必要だとしました。

 

・共通目的

・協働意欲

・コミュニケーション

 

これら3つがそろって、初めて組織となります。

 

 

スポーツチームで組織を考えてみるとよいでしょう。

 

「優勝する」という目的があったとします。

メンバー全員が、その目的に共感したとき、「共通目的」となります。

共通目的が魅力的であるほど、「協働意欲」が高まります。

メンバー同士、協力し合うために「コミュニケーション」が必要となります。

 

それぞれの要素が、強ければ強いほど、一丸となれるのです。

 

組織力の強い状態、ワンチームになれるのです。

 

 

 

 

 

 

バーナードの組織の3要素のメリット

バーナードの組織の3要素を使うメリットは、単純化です。

 

組織力組織の一体感団結力チーム力チームワークワンチームなど、組織の状態の良さを表す言葉は、数多く存在します。

 

しかし、どれも曖昧です。

具体的に、何をすれば強化されるのかよくわかりません。

曖昧な言葉で改善しようとしてもうまくいきません。

 

組織の3要素で考えると、具体的に何をすればよいのかわかりやすくなります。

 

 

 

 

会社組織の成り立ちから考えてもよく分かります。

 

最初は、1人で創業したとします。

創業時に存在するのは「目的」だけです。

ビジネスが軌道に乗り出すと、1人では回らなくなります。

 

そこで人を雇います。

2人以上になった時、組織になります。

 

雇った人と目的を共有するために「コミュニケーション」をとります。

目的が、メンバーの「共通目的」になります。

メンバーに協力してもらうために「協働意欲」を引き出します。

 

メンバーが自分勝手に行動すると、チームワークは崩れるでしょう。

 

組織の3要素が強化されるほどに、組織力は強化されます。

 

組織力強化には、これら3つの要素だけを意識すれば良いとわかります。

 

 

 

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バーナードの組織の3要素

コーチング・コミュニケーション

バーナードの組織の3要素について、それぞれ確認します。

Wikipediaでは、バーナードの組織の3要素について、次のように紹介されています。

 

彼は組織をシステムとして定義し、「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」とした。これは公式組織の定義であるが、その成立のための条件として組織の3要素:共通目的(組織目的)・協働意志(貢献意欲)・コミュニケーションを示した。
協働のシステムは公式組織が中核となって物的要因・人的要因・社会的要因が結合したシステムである。組織の3要素の均衡が組織成立の条件であり、存続の前提となる。この均衡を内部均衡という。また、人間にも組織にも、目的達成とそれにともなう満足ということが考えられなければならないが、目的達成の基準は有効性(effectiveness)、満足の基準は能率(efficiency)と定義される(能率という言葉の使い方は一般的なものとは異なる)。管理論はこのような組織論の基礎の上に築かれ、道徳の創造というリーダーシップが導き出される。

(引用:チェスター・バーナード:https://ja.wikipedia.org/wiki/チェスター・バーナード)

 

 

 

 

 

 

 

共通目的

共通目的とは、組織の目的です。

 

例えば、

社員に「何のために、この会社で働いていますか?」と尋ねてみてください。

 

全員が同じ回答をしたなら、社員のベクトルが一致し、組織力が強いといえます。

 

逆に、みんながバラバラの回答をしたとするなら、メンバーが組織より自分の利益を優先する可能性があり、組織力が弱いといえます。

 

お金のために働いている社員は、もっと給料の良い職場があれば転職するかもしれません。

 

メンバーが目指したいと思える「魅力的な共通目的」の策定が大切です。

 

会社の共通目的は、経営理念で表されるケースが一般的です。

 

 

 

 

 

 

 

 

協働意欲

協働意欲は、貢献意欲ともいわれます。

 

モチベーションとも言い換えられます。

 

組織のために、がんばりたい。

共通目的に、協力したい。

このような気持が強いほど、組織力は強くなります。

 

逆に、「だれかがやってくれるだろう」など、非協力的なメンバーがいると組織力は弱くなります

 

 

 

 

 

 

 

コミュニケーション

コミュニケーションは、メンバー同士の情報共有のために、最も重要な要素です。

そして、もっとも複雑で難しい要素です。

 

 

共通目的をメンバーと共有するにも、コミュニケーションは必要です。

いくら魅力的な共通目的があったとしても、メンバーに伝わらなければ、協働意欲は引き出せません。

 

指示命令、報連相、各種提案なども、すべてコミュニケーションで情報共有されます

 

 

コミュニケーションが無いと、組織がどこに向かっているのかわかりません。

コミュニケーションが無いと、現在どのような状況なのか、何をしたらよいのかがわかりません。

 

ミュニケーション不全を起こしていると、チームはバラバラになり、組織力は弱くなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

組織力強化にバーナードの組織の3要素を強化

従業員エンゲージメント

各企業、「ワンチームになろう」など、かけ声で組織力強化をしたいと考えています。

しかし、かけ声だけでは強化できません。

指示されたからといって、「ワンチームに向かってがんばるぞ!」と奮起する社員は少ないのではないでしょうか?

具体的に、何をするか示さなければなりません。

 

 

組織力強化には、バーナードの組織の3要素を強化すれば良いだけです。

 

 

協働意欲、モチベーションは、魅力的な共通目的、質の高いコミュニケーションで引き出せます。

「共通目的」と「コミュニケーション」だけを意識すれば良いのです。

 

 

会社組織にあてはめると、リーダーシップ力コミュニケーション能力です。

 

 

 

 

 

 

 

リーダーシップ力

組織には、共通目的が必要です。

共通目的を指し示すのが、リーダーの仕事です。

 

リーダーシップとは、「共通目的を示し、メンバーのモチベーションを引き出し、状況に合わせて最適な意思決定をすること」です。

 

 

リーダーは、魅力的な共通目的を示して、メンバーの協働意欲を引き出さなければなりません。

共通目的を伝えるのも、メンバーの協働意欲を引き出すにも、コミュニケーション能力がもとめられます。

 

 

 

リーダーが迷っていては、メンバーは不安になります。

また、リーダーが間違った判断すれば、メンバー全員で間違った方向に進むことになります。

 

 

迅速に最適な意思決定を行うために必要なのが、情報収集力です。

情報収集力を高めるために必要なのが、コミュニケーション能力です。

 

これらを総合して、リーダーシップ力です。

魅力的なリーダーであればあるほど、チームをまとめる力が強くなります。

 

 

 

では、リーダーが代われば、どうなるのか?

よく「リーダーが変わると、会社が変わる」といわれます。

 

 

それは現実的な問題です。

多くのカリスマ経営者が、後継者選びに悩みます。

 

 

その時に、重要となるのが、「経営理念(共通目的)」です。

魅力的な共通目的があれば、リーダーが代わっても、メンバー全員が一丸となれる状況をつくります。

 

 

書籍「ビジョナリー・カンパニー」では、経営者が代わっても、持続的に成長を続ける企業が紹介されています。

どの会社も共通するのが、強い「経営理念(共通目的)」です。

 

 

アップルも、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなった後、不安視されていましたが、彼の想いが会社に残りつづけ、メンバーが一丸になっているのでしょう。

 

 

組織をまとめるには、魅力的な「共通目的」が必要です。

 

そして、共通目的をつくり、維持しつづける「リーダーシップ」が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

コミュニケーション能力

組織内で情報を共有するには、コミュニケーションが必要です。

 

リーダーがメンバーの協働意欲、モチベーションを引き出すには、コミュニケーション能力が必要です。

 

 

共通目的を示しても、メンバーが興味を持たなければ協力してもらえません。

 

 

スムーズなコミュニケーションが行われないと、さまざまな問題を引き起こします。

メンバーから正確な報連相が行われないと、正しい意思決定ができません。

メンバーのモチベーションが低いと、正しい意思決定をしても行動につながりません。

 

リーダーシップ力を発揮するにも、コミュニケーション能力が必要です。

 

 

また、メンバー間のコミュニケーションの問題が発生しても、組織が弱くなります。

 

「社員が退職する理由」「社員がメンタルヘルスでダウンする理由」、どちらも人間関係が大きな要因となっています。

 

評価面談の仕方、指示命令の仕方、報連相が無い、パワハラなど、コミュニケーションの取り方が、メンバーに大きな影響を与えます。

 

 

組織力を強化するには、リーダーだけでなく、メンバー全員のコミュニケーション能力強化が必要です。

 

しかし、最優先事項はリーダーのコミュニケーション能力です。

部下が報連相しなくなる原因は、パワハラなどリーダーのコミュニケーション能力に左右されるところが大きいからです。

 

 

 

 

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バーナードの組織の3要素でワンチームに

コーチングスキル

働き方改革、終身雇用制度の崩壊など、働く人の意識がかわりつつあります。

 

転職が当たり前となり、人材の流動性が高まる中、企業は意識的な組織力の強化がもとめられます。

 

IT技術など、ツールの差別化がほとんどできない現在、競合企業に差をつけるなら組織力の強化による差別化が必要だからです。

 

 

組織力強化する方法は、バーナードの組織の3要素を意識するだけです。

 

 

中でも、リーダーシップ力コミュニケーション能力が重要です。

 

シンプルですが、どちらも永遠の課題といわれるぐらい大きなテーマです。

 

 

両方を強化する方法として、コーチング・コミュニケーションの導入をオススメしています。

 

研修セミナーを実施していますので、ぜひご活用ください。

 

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