中小企業の生産性が低い理由~不要論と再編の必要性~

菅政権に代わってから、地方銀行再編中小企業再編などの声が聞こえてきます。

 

中小企業不要論なども、ネットニュースでよく見かけます。

日本企業が生産性低いのは、中小企業が足を引っ張っているからだという主張です。

 

 

中小企業不要論というよりも、ゾンビ企業不要論と言い換えたら良いのに。

 

生産性の高い中小企業も存在するので、誤解を与えているように感じます。

 

 

日本の生産性が低いのは、実際には大企業の責任だと感じています。

 

 

大企業は、商品、サービスの価格を上げられないので、コストダウンで生産性を高めようとします。

コストダウンのために、中小企業に値下げ圧力をかけるから、中小企業の生産性が低くなるのです。

 

 

大企業が、内部留保を優先して、賃金を上げないから、物価が上がらないのです。

 

おそらく携帯電話料金の値下げも、非正規社員の増加や中小企業の収益悪化など、しわ寄せが広がるでしょう。

 

 

中小企業の生産性が低い理由について説明します。

 

 

GoToキャンペーンなど、コロナ対応の後手後手感や、日本政府のデジタル化の遅れなど、問題が大きくなってから初めて行動する

 

政府自体の生産性の低さが、日本全体の生産性の低さを表しているように感じます。

 

 

 

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【目次】

 

中小企業不要論や再編の必要性

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

デービッド・アトキンソン氏の中小企業不要論、菅政権の中小企業再編の話など。

 

中小企業の存在を、問題視するニュースが多くなってきました。

 

中小企業が悪者なのか?

なぜ中小企業対策が注目されるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

日本企業の生産性は低い

日本企業の生産性の低さが、問題になっています。

公益財団法人日本生産性本部が発表した労働生産性の国際比較によると、次のようになっています。

 

日本の時間当たり労働生産性は、OECD加盟36カ国中21位

日本の1人当たり労働生産性は、OECD加盟36カ国中21位

日本の製造業の労働生産性は、OECDに加盟する主要31カ国中14位

(参考:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較」:https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html)

先進7カ国で比較すると、日本の生産性は最下位の状態が続いています。

 

生産性はアベノミクスで景気回復期でも、改善しませんでした。

 

その日本の生産性が低い原因が、中小企業のせいだと指摘されています。

 

 

 

 

 

 

 

中小企業のせい?

日本企業の99.7%が、中小企業です。

 

大部分を占める中小企業が足を引っ張っているという考え方が中小企業不要論、中小企業再編の主張へとつながっています。

 

はたして、すべて中小企業の責任なのでしょうか?

 

中小企業の生産性を高める方法は、コストダウン売上アップです。

 

中小企業は人件費も削ってでも、大企業のコストダウン要請に応えてきました。

コストダウンは、限界に近づいています。

 

おかげで、日本は外国企業に比べて、賃金が上がらない状況が続いています。

 

売上アップには「価格アップ」と「販売数量アップ」が必要です。

 

 

価格アップは、大企業による値下げ要求によって価格を上げられません。

 

販売数量アップは、大企業の販売力と成長性に左右されます。

 

 

大企業のせいで、生産性が上がっていないともいえます。

 

 

日本のGDPの多くを占める個人消費が増えないのも、大企業が内部留保を優先し賃金をアップしないからです。

 

個人消費が増えないから、企業の売上が上がらない。

企業の売上が上がらないから、コストダウン圧力が強くなる。

コストダウン圧力が強いから、中小企業は価格をたたかれる。

 

だから中小企業の生産性が低くなる。

 

そして、中小企業はさらに人件費をコストダウンするので、良い人材が集まらず生産性が低下する。

 

悪循環がまわりつづけます。

 

 

日本企業の生産性が低い原因は、大企業が非正規雇用を増やすなど、賃金を上げないからともいえます。

正確には、コスト競争に巻き込まれているため、賃金を上げられないのです。

 

コスト競争に巻き込まれるのは、大企業のイノベーション力の低下が原因です。

 

中小企業だけのせいとはいえません。

 

 

大企業が、賃金を上げられないのは、日本では正社員を簡単に解雇できないからです。

 

業績悪化しても、正社員に給料を払い続けなければならないので、もしもの時のための内部留保に回すのです。

だから、正社員よりも、簡単に解雇できる非正規社員が増えるのです。

 

さまざまな理由が複雑に絡み合って、日本の生産性を低下させます。

 

 

国は、強制的に可処分所得を増やそうと、最低賃金アップや同一労働同一賃金、携帯電話料金の値下げに動いているのです。

 

景気が悪くなっている中、消費税増税して消費を抑制するなど、政策に矛盾を感じますが。

 

 

大企業の内部留保に税金をかける案がありましたが、実施してみたら良いのでは?と思います。

 

 

 

 

 

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中小企業の生産性が低い理由

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

日本企業の生産性が低い理由は、大企業にも責任があります。

 

大企業が生産性を高めるのに、人件費を低く抑えようとするのは何故なのか?も突き詰める必要もありますが、ここでは中小企業に注目します。

 

なぜなら、やはり中小企業の生産性は低いからです。

もちろん生産性の高い中小企業も存在します。

約400万社の中小企業、全体でみれば、生産性が低いです。

 

中小企業の生産性が低くなる理由を説明します。

 

 

 

 

 

規模・範囲の経済性

中小企業の生産性が低くなる理由として、規模の問題があります。

 

規模の経済性という考え方があります。

 

製品や材料を仕入れる場合、大量仕入れができるほど、コスト単価は低くできます。

生産も、生産量を大きくして、大量生産できるほど、効率が良くなり、単価を低く抑えられます。

 

つまり、企業の規模が大きいほど、生産性を高められるのです。

 

 

 

また、範囲の経済性という考え方もあります。

 

材料の調達から、商品の販売までの川上から川下までの、どこまでカバーしているかによって、中間マージンがとられず生産性を高められます。

 

また、食料品や書籍、文房具、チケット販売を別々の店舗で行うよりも、コンビニエンスストアのように一つの店舗で販売した方が場所を有効活用して生産性を高められます。

 

範囲の経済性は、範囲が広いビジネスを行っている企業ほど、同じ業務は共有できるなど、生産性を高められるという考え方です。

 

 

だから中小企業の再編規模の拡大が期待されているのです。

 

 

 

 

 

若者の大企業志向

中小企業の生産性が高まらない理由に、「理想的な人材が集まらない」があります。

 

中小企業は一般的に、大企業よりも賃金や福利厚生が低いです。

経営の安定性も中小企業の方が低いです。

だから若者の多くは大企業志向になります。

 

新型コロナの影響により、その傾向はさらに強くなるかもしれません。

 

ビジネスは結局、人材が動かします。

売上を上げるのも人材です。

商品を開発するのも人材です。

コストダウンを考えるのも人材です。

 

 

人材のレベルが、生産性を左右します。

 

理想的な人材を集めるのが難しい中小企業は、生産性が低くなりがちです。

 

 

 

 

 

 

 

 

中小企業の生産性を高める方法

コーチング・コミュニケーション

中小企業の生産性を高める方法として、中小企業不要論再編の促進は一理あります。

 

生産性を高める方法は、規模と範囲の経済性の追求が基本となります。

 

 

 

 

 

 

中小企業の再編

コストダウンが限界を迎えた中小企業が、生産性を高めるには、売上アップを狙う必要があります。

売上アップを狙う方法は、価格アップ、もしくは販売数アップです。

 

 

まず価格アップについて、価格決定力が必要です。

 

 

価格決定力が無い理由は、他の会社からも購入できるからです。

 

その価格なら、他の会社から購入するからいいよとなるのが、価格を上げられない大きな要因です。

 

 

再編によって、競合企業が一つに合併すれば、価格交渉力が強化されます。

他の会社から購入するからいいよ」と言えなくなります。

 

乗り換え先が無くなるので、価格決定力が高まります

 

合併すれば、顧客も取り入れられます。

販売数量アップも期待できます。

 

 

大量生産、大量販売できると、規模の経済性がはたらき、生産性が高まります。

 

生産性アップに、中小企業の再編を促そうとする理由です。

 

 

 

中小企業単独で生産性を高めるには、他の会社にマネのされない価値の高い商品を開発して、価格決定力を高めるしかありません。

 

中小企業もイノベーションを起こさなければなりません。

 

しかし、考え方が古い企業ほど、変われないかもしれません。

 

 

 

 

 

新陳代謝を促進する

日本は、世界的に見ても長寿企業が多い国です。

 

技術を極める、品質を高める、コストダウンなどには有利に働くかもしれません。

 

しかし、逆に考えると、新しい会社が生まれてくる壁になります。

人口減少により、市場が縮小すると、その傾向がさらに強くなります。

 

補助金などの支援で、本来ならつぶれてもおかしくない会社を守ってきたのも長寿企業が多い理由かもしれません。

ゾンビ企業と表現される場合もあります。

 

国は、雇用を守るのと、ゾンビ企業を退場させるのを、バランスよく調整しなければなりません。

今までは、雇用を守るのを意識しすぎて、ゾンビ企業を増やしてしまいました。

7割の企業が赤字で、法人税を払っていないという噂も聞きます。(未確認)

新陳代謝を促せず、日本企業の競争力を停滞させてしまった感があります。

結局、雇用は守れたけど、賃金低下により、貧困の問題を発生させているように感じます。

慌てて、最低賃金をアップしようとしていますが。

近年は、日本人人材より、外国人人材に魅力を感じる企業も増えています。

日本の政策で本当に日本人の雇用を守れるのか疑問です。

 

ゾンビ企業が、変にシェアを持っていると、新規参入の壁になります。

いっそ消えてくれた方が、ゾンビ企業の顧客は、新しい取引先を探す必要が生まれます。

 

 

上述したように、その価格なら、ゾンビ企業から購入するからいいよ」となっていたのが、ゾンビ企業が消えることで解消されるのです。

 

生産性の低い中小企業を無くしてしまった方が、ベンチャー企業が成長しやすいのではないか。

中小企業(ゾンビ企業)の不要論がでてきました。

 

 

中小企業不要論に対しては、大きな反論も聞こえます。

たしかに、大企業のせいと思える部分も多いので、理不尽にも感じます。

 

しかし、中小企業不要論を跳ね返すには、中小企業みずから、生産性を高くできると証明しなければなりません。

 

そして、今な政策のままでは、日本の競争力が失われていくのも明らかです。

 

 

また、生産性の低い中小企業が小手先で改善しようとしても、生産性は高くできません。

なぜなら、他の中小企業が同じレベルで改善したら、相対的に改善度はゼロになるからです。

 

生産性を改善するには、これまでのやり方を一掃するぐらい革新的な改革が必要です。

 

 

 

 

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成長しやすい環境づくりを

コーチング・コミュニケーション

日本企業は、バブル崩壊後以降、ずっと生産性が低迷しています。

アベノミクスなど、さまざまな施策を投入しても効果が上がりません。

 

「生産性の低い会社を消せば、新陳代謝が起こって日本全体の生産性が高まるのでは」との考え方が、中小企業不要論につながっています。

 

ゾンビ企業不要論なのに、中小企業とひとくくりにしてしまうから誤解を与えているように感じます。

大企業も、スタートアップ時は中小企業を経由します。

中小企業不要論では、ベンチャー企業も不要と誤解を与えるかもしれません。

 

 

実際は、大企業も生産性が高くないと考えることもできます。

 

生産性を高める方法は、コストダウン売上アップです。

 

大企業が生産性高める方法として、中小企業に値下げ圧力をかけます。

だから、中小企業の生産性が低迷しているのです。

 

 

大企業が、世界シェアの取れる競争力のある商品、サービスを開発しない限り、生産性を高められません。

 

 

実際、日本製品の世界シェア、競争力は減少傾向です。

株式の時価総額ランキングも50位以内にトヨタ自動車しか入っていません。

1989年時点は、32社もランクインしていたのにです。

(参考:平成最後の時価総額ランキング。日本と世界その差を生んだ30年とは?:https://media.startup-db.com/research/marketcap-global)

 

 

人口減少傾向にある日本でしか売れない商品を作っていたら、その傾向はますます強くなるでしょう。

 

大企業にイノベーションを起こしてもらう必要があります。

しかし、バブル崩壊後以降、ほとんど何もできていない大企業にはあまり期待できません。

 

それよりも、成長意欲のある中小企業の方が、イノベーションを期待できます。

 

中小企業不要論というよりも、ゾンビ企業不要論ユニコーン企業必要論などに政策を切り替えてほしいと感じます。