ポーターの競争戦略、ファイブフォース分析、バリュー・チェーンとは
経営戦略を考えるとき、必ずといってよいほどポーターのフレームワークを活用します。
経営分析をする際、とてもシンプルで使いやすいフレームワークだからです。
このコラムでは、ポーターの基本の競争戦略、ファイブフォース分析、バリュー・チェーンについて説明します。
とてもシンプルでわかりやすいですが、さまざまな要素が複雑に絡み合うので、結論を導き出すのはとても難しいです。
「これらのフレームワークを使って、大きく成長している」という企業が、少ないことからわかります。
まずは使い慣れることが大切です。
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【目次】 |
ポーターの競争戦略とは
ポーターの競争戦略には、3つの基本戦略があります。
「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つです。
実際には、「集中戦略」は、他の2つの戦略と組み合わての4つになります。
コストリーダーシップ戦略
製品やサービス生産の、低コスト化を追求する戦略です。
取引先の見直し、生産方法の見直し、規模の経済性、範囲の経済性などを活用し、低コストを追求します。
コストリーダーシップ=低価格戦略ではありません。
競合企業が価格競争を仕掛けてきても、絶対に勝てる状態を確保し牽制することです。
コストリーダーシップ戦略で収益性を向上すると、さらなるコストダウンの投資を行えます。
差別化戦略
差別化戦略は、他社製品、サービスとの違いを前面に出す戦略です。
この品質やサービスが欲しければ、この商品を買うしかないという状態をつくりだす戦略です。
アップルが典型例になります。
逆の戦略が、同質化戦略です。
100均の商品のように、「ブランド品を買わなくてもこれで十分」と思わせる戦略です。
差別化しても、ヒットするとマネされます。
理想ではありますが、難しい戦略です。
特に日本企業は苦手です。
不要な機能をつけて差別化しようとします。
集中戦略
集中戦略、専門化する戦略です。
ホームセンターのように、なんでもそろっているという安心感を作る戦略もあります。
一方で、ある分野のマニアックな商品が欲しい場合は、専門店の方が安心できます。
基本的に手を広げすぎると、管理が複雑になりやすく、コスト的に不利になります。
専門の分野に特化して、規模を追求した方が、コスト的にも有利な立場を構築しやすいです。
集中戦略は、他の2つの戦略と組み合わせて使います。
ある分野に集中して、さらにコストリーダーシップ戦略をとる。
製品やサービスを差別化したうえで、集中戦略をとる。
集中すればするほど、生産性はよくなりますが、リスク分散ができなくなります。
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ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析は、会社を取り巻く脅威について分析するものです。
会社経営は、常に5つの種類の脅威にさらされています。
「競合企業」「新規参入」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「代替商品」の5つの脅威です。
それぞれの項目についてリストアップし、それぞれについて対策を練ります。
競合企業
すでに競争関係のある企業の脅威です。
他者が自社製品、サービスより良い商品を販売してきたら、自社の業績は大きな影響をうけます。
競合企業には、上述した3つの基本戦略で対抗します。
競合企業に対して差別化された商品、サービスを低コストで提供する戦略がもとめられます。
新規参入の脅威
現在の市場が魅力的であればあるほど、新規参入企業が増えます。
新規参入企業が増えれば増えるほど、自社のシェアが低下し、価格競争が激しくなり、業績に悪影響があります。
新規参入に対しては、参入障壁を作って対抗します。
基本はコストリーダーシップ戦略で、この価格で参入するのは無理と思わせます。
それでも差別化して参入してきた企業に対しては、その差別化を模倣し、同質化戦略で防ぎます。
IT業界は、新規参入が激しい業界です。
最初に一気にシェアを確保し、デファクトスタンダードを獲得して、新規参入を防ぎます。
売り手の交渉力
材料やサービスを購入するとき、相手企業の規模が大きい、もしくは独占している場合、コスト交渉力が、相対的に弱くなります。
大量購入を約束させられると、経営のリスクになります。
代替の材料、サービスをさがし、仕入れ先を多角化し、依存しないようにします。
買い手の交渉力
大量購入してくれる会社の交渉力は、大きなコスト要因になります。
イオンやアマゾンなど、売上の大きい小売サイトで販売しようとすると、値下げ要求がきつくなります。
商品やサービスの魅力を高め、逆に「商品やサービスを扱わせてくれ」と、向こうからお願いされる状態にすることが大切です。
代替品の脅威
新規参入ではなく、自社の商品、サービスそのものが不要になる商品やサービスの登場です。
デジタルカメラからスマートフォン、テレビからYouTube、はんこから電子印鑑のように、技術革新によって、従来の商品、サービスが不要になる場合があります。
時代の流れを見極めて、残存者利益を狙うのか、撤退するのか経営戦略を立てることが大切です。
バリュー・チェーン(価値連鎖)とは
バリュー・チェーン(価値連鎖)について。
顧客に与えられる価値は、商品そのものだけでなく、生産含む全過程で生まれる付加価値の連鎖によって決まります。
例えばネットショップで言えば、商品の品ぞろえという価値、納期が短いという価値、商品そのもの価値これらを総合して価値が決まります。
だから、各過程に分割し、それぞれ付加価値を高めようという考え方です。
ポーターは、企業活動を主活動と支援活動にわけています。
主活動
主活動とは、次の活動です。
・購買物流
・製造
・出荷物流
・販売、マーケティング
・サービス
商品、サービスを生産してから、顧客に届けるまでの活動です。
支援活動
支援活動とは、次の活動です。
・全般管理
・人事労務管理
・技術開発
・調達活動
主活動全般に関わりのある活動です。
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ポーターのフレームワークを活用しよう
ポーターのフレームワークは、経営戦略、経営状況を確認、整理するとき、とても便利です。
経営コンサルタントが、基本的に使うフレームワークです。
経営者も、日常的にポーターのフレームワークを意識できると、納得性の高い戦略を計画できます。
ただし、注意点としては、「競争相手がいる」ということです。
競争相手も、ポーターのフレームワークを使ってきたら、とたんに難しくなります。
しかし、無策で対抗するよりは、マシでしょう。
ポーターのフレームワークを積極的に活用しましょう。