リーダーシップ理論~モチベーションを引き出す~
「経営者が変わると、会社が変わる」と言われます。
業績が伸びている会社と、不祥事などで経営不振に陥っている会社の経営者のリーダーシップは、何が違うのでしょうか?
リーダーの意思決定によって、会社は成長するか、衰退するかが決まります。
慎重になり過ぎ、決められないで後手後手に回ってきたのが、日本企業の特徴です。
今後、会社を成長させていくためには、どのようなリーダーシップが必要なのでしょうか?
【コラム】コミュニケーション能力が低いのは上司と部下のどちら?
【目次】 |
リーダーシップとは
リーダーシップとは、さまざまな定義があるようです。
一般的には「方向性を示して、メンバーを引っ張っていく力」となるでしょうか。
しかし、理想と現実は、大きく異なるようです。
リーダーシップの理想
理想的なリーダーシップとは、どのようなものでしょうか。
リーダーが魅力的な目標を示し、その目標達成に果敢に意思決定をし、メンバーを引っ張っていく。
有言実行する姿に惹かれ、メンバーも全力で協力する。
リーダーに認められるのが、メンバーにとっての誘因になっている。
そのようなカリスマ的リーダーシップが理想的ではないでしょうか。
リーダーシップの現実
理想とは裏腹に、リーダーシップの現実は、大きくかけ離れているでしょう。
全てではありませんが、業績が悪くなっている会社のリーダーは、次のような状態に陥っているかもしれません。
目標を決めても、メンバーにとっては他人事になる。
外部環境の変化に保守的になり、意思決定を先延ばしにする。
発言と行動が異なり、メンバーの不満がたまる。
できるだけ余計な仕事を振られないようにリーダーと関わらないようにする。
その結果、離職率の増加、ストレスの増加によるメンタルヘルスのダウンなど、生産性を落とし、業績を悪化させていく。
有名企業のカリスマ的リーダーならまだしも、雇われでたまたま管理職になった立場であったり、後継者の立場である場合、理想的なリーダーシップをとるには時間がかかるかもしれません。
会社の業績は、リーダーシップのあり方で大きく左右されます。
リーダーシップ論
「理想的なリーダーシップとは、どのようなものか」を、研究したものがリーダーシップ論です。
そのリーダーシップ論の種類がさまざま存在するので、理想的なリーダーシップのあり方の難しさを感じます。
理想的なリーダーは、カリスマ経営者的なものかもしれないし、仕組みづくりがうまい経営者かもしれません。
外部環境によっても、望ましいリーダーシップは変わるという理論もあります。
リーダーシップ論は、最初、経営者の個人的特徴から分析しようとした「資質特性論」から始まりました。
しかし、失敗に終わっています。
次に「行動類型論」→「状況適合論」へと移りました。
その後、さらに議論は続いています。
行動類型論
リーダーの行動について、ふさわしい行動パターンを割り出そうとしました。
【レビンのリーダーシップ類型論】
民主型リーダーシップ:リーダーは援助し、集団で討議して決定する
独裁型リーダーシップ:リーダーがすべてを独裁的に決定する
放任型リーダーシップ:すべてを個々人で自由決定する
【オハイオ研究】
リーダーの行動として「配慮(関係志向)」と「構造設定(課題志向)」の2つのタイプがあります
【ミシガン研究】
独善的専制型
温情的専制型
相談型
参加型(理想型)
【マネジリアルグリッド】
リーダーの関心を生産への関心と人間への関心という2つの軸でとらえて類型化しました。
9・9型のチームマネジメント型を理想とした。
状況適合論
状況の特性によって、有効なリーダーシップスタイルが異ります。
【フィドラーの状況適合論】
状況が、リーダーにとって好意的と非好意的の両極の場合、タスク志向のリーダーシップが高い業績をもたらします。
状況が、リーダーにとってそのいずれでもない場合は、人間関係志向のリーダーシップが高い業績をもたらします。
【ハーシーとブランチャードのSL理論】
リーダーシップの有効性は、部下の成熟度に依存します。
部下の成熟度が低い場合は、タスク志向。
成熟度があがるにつれて、人間関係重視に移行します。
部下が完全に自律性を高めると、タスク行動も人間関係も最小限にとどめる。
【ハウスの目標-経路理論(パス-ゴール理論)】
リーダーの職務は、部下の業務目標の達成を助けることであり、必要な方向性や支援を与えます。
組織力を高めるリーダーシップ
リーダーシップのあり方は、企業の状態、従業員との関係、景気動向などさまざまな要因で変わります。
しかし、どんな状況でも変わらないのは、大きく2つと感じます。
方向性を示し、外部環境変化に合わせて柔軟に意思決定をする力と、メンバーのモチベーションを引き出す力です。
最低限この2つは必要でしょう。
リーダーシップと意思決定力
リーダーシップに、意思決定力は必要です。
迷って迷って決められないリーダーのもとでは、メンバーが不安になります。
当然間違った判断しても不安になります。
しかし、間違ってもすぐに間違いを認め、軌道修正の意思決定ができるなら問題はありません。
常に正しい意思決定は、困難だからです。
日本のリーダーは常に正しい意思決定をしなければと、慎重になり過ぎて経営判断が遅れるケースが多いです。
正しい意思決定をしなければと、「先延ばしにする」という間違った意思決定をしているのと同じになります。
リーダーに必要なのは、情報収集力と考え方を切り替えられる柔軟性です。
自分の考えに固執せず、参謀を用意しているリーダーの方が望ましいと考えます。
モチベーションを引き出すリーダーシップ
企業は、組織で仕事をします。
それは、一人では仕事がこなせないからです。
メンバーの積極的な協力があるかどうかで、企業の業績は大きく変わります。
メンバーの積極的な協力を引き出せるかどうかは、リーダーシップに大きく影響されます。
積極的な協力が引き出せるかは、給料によると考えるリーダーもいますが、そうではありません。
給料の低い中小企業よりも、高い給料を与えているはずの大企業も、業績不振で倒産するケースがあります。
メンバーのモチベーションを引き出せるか、失わせるかリーダーシップのあり方が問われます。
【コラム】一体感の醸成方法~チームワークとコミュニケーション~
リーダーシップに必要なコミュニケーション能力
会社の将来性は、リーダーシップのあり方に大きな影響をうけます。
リーダーシップに必要なのは、意思決定に必要な情報を収集する力とメンバーのモチベーションを引き出す力です。
それをまとめると「コミュニケーション能力」になります。
コミュニケーション能力は大きく分けて、「話す力」と「聴く力」に分けられます。
多くのリーダーは、「話す力」のレベルは高いです。
しかし「聴く力」がまだまだ課題に感じます。
ぜひ「聴く力」コミュニケーション能力を高めて、リーダーシップを強化してください。