コミュニケーション能力の評価基準と目標設定方法

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

経団連の新卒にもとめるスキルのアンケートで、コミュニケーション能力が20年近く1位を継続しています。

逆に言えば、20年たってもコミュニケーションの課題を改善できていない様子がみてとれます。

 

コミュニケーション能力がもとめられる理由は、どんなに他のスキルが高くてもコミュニケーション能力が無ければ仕事が進まないからです。

 

「指示命令を理解できない」「問題があっても報連相しない」などがあれば、仕事がストップします。

 

5GやAI、グループウェアなど、IT技術の発展により、コミュニケーションはとりやすくなったと感じるかもしれません。

 

しかし、上述した経団連のアンケートでは、インターネットが普及したと同時にコミュニケーションの問題が大きくなっています。

 

処理しなければならない情報量が急増したことにより、誤解などミスコミュニケーションが増加したと考えられます。

そこで、コミュニケーション能力の強化がもとめられているのです。

 

ところで、プログラミングなどのスキルは、やればやるほどスキルが上達します。しかし、コミュニケーション能力は、一生使うスキルですが、なかなか上達しない不思議なスキルです。

 

それは人間対人間の答えのない世界で活用されるスキルだからです。

それでも、コミュニケーション能力の強化はもとめられます。

 

そこで課題になるのが「自分のコミュニケーション能力がどれぐらいなのか?」の評価です。

現状を評価できないと、課題も見つけられないからです。コミュニケーション能力強化の目標設定と評価方法について説明します。

 

【コラム】目標設定面談の効果を高めるコミュニケーション能力

【目次】

 

コミュニケーション能力の強化がもとめられる理由

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企業が社員にもとめるスキルとしてコミュニケーション能力が常に上位に挙げられます。

報連相の有無、活発な意見交換の有無によって、会社の生産性が大きく変化する効果を体感的に理解しているからです。

 

 

会社の生産性を改善

社員のコミュニケーション能力のレベルによって会社の生産性が大きく左右されます。社員が問題にぶつかったとしても、報連相が行われなければ対応が遅れます。

 

最悪、問題が隠蔽される問題がでてきます。また、会議においても、参加者の発言が無いのであれば、議論が行われず、創造性が抑制されます。

 

職場のコミュニケーション不足の課題に対する注意点は、部下のコミュニケーション能力の低さを指摘されがちですが、上司の問題の可能性も存在します。

 

内向的な性格、話すのが苦手な部下が存在する一方、否定批判を繰り返す、威圧的で部下に話させない上司も存在します。

企業の不祥事の隠ぺいなどは、たいてい発言しにくい会社の組織風土の中で発生しがちです。

 

 

 

社員の退職や休職を減らす

会社の生産性を低下させる要因として、社員の退職や休職の発生があります。社員の退職や休職が発生する理由にもコミュニケーション能力が大きくかかわっています。

 

もし社員の退職や休職が発生すると、残されたメンバーでその人の分まで仕事をこなす必要が生じます。

 

場合によっては手が回らなくなり、生産性が落ち込むでしょう。

また、同じレベルの人材を補完するには、コストと時間を要します。退職したり休職したりの社員に費やしたコストと時間も無駄になります。

 

このように会社の生産性を低下させる退職や休職の大きな理由になっているのが、職場のストレス要因です。

そして職場のストレス要因として上位に挙げられるのが「職場の人間関係」です。

 

「職場の人間関係」を悪化させる要因が、以下のようなコミュニケーションの質の問題になります。

・パワハラ、セクハラ
・否定、批判
・無視、評価しない
・威圧的な態度

 

これらが発生するとコミュニケーションの質が悪化し、人間関係が悪化します。人間関係の悪化によるストレスの増加によって、社員が退職、休職に追い込まれます。

 

【コラム】チームワークの一体感を醸成するコミュニケーション方法

 

 

 

コミュニケーション能力の基準とは?

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各企業では社員のコミュニケーション能力の強化を課題としています。評価基準に加えたいと考えますが、評価基準の決め方がわからないというところが多いです

 

実際、コミュニケーション能力は複雑です。評価基準が困難な理由を説明します。

 

 

コミュニケーション能力を構成する「話す力」と「聴く力」

評価に大切なポイントは、コミュニケーション能力を構成するものを分解していくです。しかし、分解は困難です。まず最初に分けられるのは「話す力」と「聴く力」に分解されます。

 

「話す力」と「聴く力」のそれぞれ、レベルを分けると次のような例を考えられます。

 

〇話す力
レベル1:たどたどしく話す
レベル2:流ちょうに話す
レベル3:相手が理解しやすいように話す
レベル4:相手に感動を与える

 

〇聴く力
レベル1:相手の話が聞こえている
レベル2:相手の話ている言葉がわかる
レベル3:相手の伝えたい内容がわかる
レベル4:相手が発言していない裏まで読める

 

一例として、以上のようにわけられますが、具体的にどこに当てはめるかは困難です。

 

例えば「話す力」のレベルは、「話してもらわない限り評価できない」が課題です。

 

報連相や発言を積極的に行う人は評価しやすいですが、そもそもあまり話さない人は、「話す力が無いから」なのか、「話しづらい雰囲気の職場だから」なのか判断できません。

 

また、「聴く力」のレベルは、「頭の良さ」「理解力」とくっつけて評価している場合があります。よく「ちゃんと聴いてたのか?」という人がいます。

 

「ちゃんと聴いていたのか?」は、「なんで理解できないのだ?」という意味を含んでいると考えられます。

 

学者さんが話すどんなに難しい理論も「ちゃんと聴いていれば」理解できるのでしょうか?

知識がないテーマに対して、専門用語で話されては、ちゃんと聴いていても理解はできません。

 

ときどき、話し手は自身のコミュニケーション能力の低さを聴き手の責任にしがちです。

 

コミュニケーション能力は、単純に「話す力」「聴く力」だけでなく、「知識量」「理解力」「主観」「客観」が複雑に絡み合うため、評価が難しいのです。

 

 

 

コミュニケーション能力は数値化できない

コミュニケーション能力は数値化が困難です。

 

例えばアメリカのオバマ元大統領のコミュニケーション能力を100点とするなら、池上彰さんは何点でしょう?

林修さんは何点でしょう?そしてご自身は何点でしょうか?そしてその根拠は?と質問されると困るのでは無いでしょうか?

 

コミュニケーション能力は「主観」「客観」が絡み合うため数値化できません。部下の話に聴く耳をもたない上司が、部下のコミュニケーション能力の評価は難しいでしょう。

 

また、「主観」には、好き嫌いの感情が大きく影響します。コミュニケーション能力は個性でもあります。個性が大切なら無理に数値化しようとしない方が良いでしょう。

 

先にコミュニケーション能力を構成するものは複雑と述べました。さらにもう一つの変数が加わります。それは、状況という複雑な変数です。

 

例えば日産自動車の元会長カルロス・ゴーンのコミュニケーション能力は高いでしょうか?不祥事発覚前は高いと評価されていました。現在はいかがでしょうか?

 

本人のコミュニケーション能力が変わっていないにもかかわらず、周りからの見え方が変わると変化するのです。

もしカルロス・ゴーンのような一見コミュニケーション能力の高そうな人材の正しい評価は難しいのでは無いでしょうか。

 

 

 

 

 

コミュニケーションを能力の目標設定方法

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コミュニケーション能力の評価は複雑で難しいです。しかし、社員のコミュニケーション能力の強化をするためには、何かしら評価する方法が必要になってきます。

 

大切なポイントは厳密に評価せず、敢えてあいまいさを許容する、評価する側と評価される側が納得していることが大切です。

 

 

コミュニケーション能力を多面的に評価

コミュニケーション能力を評価するなら、多面的な評価が必要です。ただし、職場の人間関係が良好であるのが前提です。

正直に評価したら人間関係が悪くなるから止めとこうという意識が働けば、正しい評価が行われません。

 

多面評価がオススメの理由。コミュニケーション能力が高いと自己評価している上司も、部下からは「話しかけにくい」と思われている可能性もあります。

 

自分はコミュニケーション能力が高いと勘違いしている部下も存在するでしょう。

 

お互い「主観」「客観」の評価が異なると、良い面では「気づき」を促しますが、悪い面では、相手を悪者にする可能性です。

 

両者の関係性によって「お互い悪く評価」という問題も発生するかもしれません。

できるだけ中立な第三者の評価を加える効果により、評価される側が客観的に自分自身を見つめる内省を促せます。

 

しかし、繰り返しになりますが好き嫌いの主観が強く反映される可能性もあるため、職場の人間関係が良好であることが望ましいです。

 

 

コミュニケーション能力を自分で決める

多面評価もさまざまな問題があるため、結局のところコミュニケーション能力の目標設定は、自分で決めるのが最も望ましいと考えます。

 

コミュニケーション能力は、現状を自己評価してもらい、目指すべき目標設定をしてもらいます。

 

一言でコミュニケーション能力といっても、プレゼンテーション、カウンセリング、ファシリテーションなどさまざまです。

 

本人が目指したいコミュニケーション能力を具体的に言語化、自分自身で数値化してもらいます。

その目標数値に対して、進捗がどのようになっているか見える化で評価が可能になります。

 

この際、目指したいコミュニケーション能力は、「会社側の希望」と「本人の希望」とのすり合わせが必要になります。

 

例えば、「自分のコミュニケーション能力は高い、自分の意見に賛成しない周りが悪い」と自己評価している社員がいたらどうしますか。

 

目標設定に「メンバーからの信頼度」を加えてみると良いでしょう。

 

「メンバーから信頼されているのに、意見に賛成してくれないのはどうして?」のような質問の繰り返しにより、課題が明確化されていきます。

 

課題が明確にならない限り、コミュニケーション能力は改善に進みません。目標設定を自分で行い、現状とのギャップから課題を見つけるのがコミュニケーション能力改善に大切です。

 

この際、責めているようになると相手は反抗的な態度に出ます。課題を見つける内省を促す評価者のコミュニケーション能力がもとめられます。

 

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コミュニケーション能力の目標設定を促すのもコミュニケーション能力

コーチング・コミュニケーション

コロナウイルス感染拡大の影響によりテレワークの活用が広がっています。テレワーク以外もグループウェアなど、社員同士のコミュニケーションツールはひろがっています。

 

急なコミュニケーション量の拡大とともに、コミュニケーションの質の悪化が懸念されています。

 

各企業、社員のコミュニケーション能力向上は必須の課題です。その際、現状の社員のコミュニケーション能力を把握し、強化の取り組みの効果が表れているか評価が大切です。

 

しかし、コミュニケーション能力の評価、目標設定は複雑である課題を説明しました。評価者のコミュニケーション能力が高くないと評価できません。

 

まずは評価者のコミュニケーション能力強化に取り組んでみましょう。

 

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