コーチング・コミュニケーションの方法と注意点

経営者や管理職は、部下の育成、チームワーク強化など、人材の問題に悩まされることが多くあります。

 

その課題を解決するために、組織力強化、コミュニケーション力向上などの研修を受講してきたかもしれません。

しかし、効果が無かったというケースが多いのではないでしょうか?

 

 

狙いは間違っていません。

間違っているのは、コミュニケーション力が、数回の研修受講だけで理想のレベルになると思い込んでることです。

また、コミュニケーション力とは、「相手を説得する力」「言いくるめる力」「思い通りに相手を動かす力」と思い込んでることです。

 

人は、自分自身をコントロールしようとする人には警戒します。

 

 

 

ここ数年、部下のモチベーションを引き出すために、コーチングというスキルが注目されています。

多くの会社で管理職研修で学ぶのではないでしょうか。

 

コーチングスクールも多く存在します。

 

 

そのため、「コーチングスキルコミュニケーションスキルを強化しなければ」と考える方が多くなってきていると感じています。

 

「強化しなければ」と考えながらも、コーチングもコミュニケーションも、具体的にどうなることが「強化された状態」なのかよくわかっていないケースが多いです。

 

 

「コミュニケーションスキル」に関しては、「話が上手くなること」と考えている方がおられます。

「コーチングスキル」に関しては、「質問力が高いこと」と考えている方がおられます。

 

どちらも、それだけでは不十分です。

 

 

コーチングとコミュニケーションの基礎知識について説明します。

 

 

人材の課題を改善するためには、コーチングスキルを活用したコミュニケーションスキルを習得しなければなりません。

 

 

 

【コーチング・コミュニケーション入門セミナー】

 

 

【目次】

 

コーチングとは

コーチング・コミュニケーション

コーチングとは、クライアントの課題解決をサポートするスキルです。

 

よくティーチング(教える)と比較されますが、目的は同じです。

ただし、課題解決のアプローチ方法が異なります。

 

 

【ティーチング】

先生が答えを持っている。

クライアントに指導、アドバイスを行う。

メリット:課題解決が早い。

デメリット:未知の課題に対しては教えることができない。

 

 

 

【コーチング】

クライアントが答えを持っている。

コーチがクライアントから答えを引き出す。

原則アドバイスは行わない。

メリット:考える力を養うので、未知の課題に対して問題解決力が強化される。

デメリット:答えを教えてもらえないため、課題解決に時間を要する。

 

 

 

ティーチングとコーチングのメリット・デメリットは、お互い補完関係にあります。

 

上手な使い分けがもとめられています。

 

 

コーチとクライアントの面談を、コーチングセッションといいます。

コーチングセッションでコーチが活用するスキルを、コーチングスキルといいます。

 

 

 

 

 

 

コーチングセッションの方法

コーチングセッションとは、コーチとクライアントの面談です。

 

コーチングスクールなどでは、30分間のセッションを練習するケースが多いです。

 

コーチングセッションで、クライアントの話をしっかり聴きながら、クライアントの気づきを引き出します。

 

そして、セッションの最後に、次のセッションまでの行動を宣言してもらいます。

 

 

行動の宣言までが、コーチングセッションです。

 

 

 

コーチングセッションの後、行動⇒コーチングセッション⇒行動⇒コーチングセッション⇒行動⇒・・・を繰り返して、クライアントの課題解決の達成をサポートします。

 

 

コーチングは、コーチングセッション1回で課題解決しないのが前提です。

そのため、継続的にコーチングセッションを繰り返します。

 

 

この一連のコーチングセッションと行動の繰り返しコーチングと呼びます。

 

 

 

コーチングセッション自体の話の流れは、GROWモデルに沿う方法が一般的です。

 

GROWモデルとは、次の単語の頭文字をとったものです。

 

Goal(ゴール)

Reality(現状)

Option(選択肢)

Will(意思)

 

GROWモデルのコーチングセッションの流れは、次のような流れになります。

 

1.課題解決をしたゴールの状態を明確にする

2.そのゴールに対して現状を明確にする

3.ゴールと現状のギャップを埋める行動(選択肢)を明確にする

4.次のセッションまでの行動の意思を宣言する

 

最後に必ず、行動を促すがポイントです。

 

 

 

 

 

 

コーチングスキルとは

コーチングスキルとは、コーチングセッションで活用されるスキルで「傾聴」「質問」「フィードバック」で構成されます。

 

クライアントに、本音でたくさん話してもらって、気づきを引き出すスキルです。

 

それぞれのスキルの役割は、次のとおりです。

(傾聴について、辞書で調べると「耳を傾けて聴く」のように出てきますが、コーチングの傾聴は異なります)

 

 

傾聴】本音でなんでも話せる環境をつくり、本音の発言を引き出す

 

質問】クライアントの視点をコントロールして気づきを引き出す

 

フィードバック】クライアントに対してコーチが感じたことを返して気づきを引き出す

 

 

クライアントに自分の考えについて、内省アプトプットを繰り返しながら、整理を促していきます。

 

視野を広げながら思考を整理することにより、気づきが引き出されやすくなります。

 

また、思考力の強化につなげられます。

 

 

 

 

【チームビルディング・コーチング研修】

 

 

 

 

コミュニケーションとは

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

コミュニケーションとは、言葉が一般化しすぎて、具体的に説明できる人が少ないように感じます。

コミュニケーションカンバセーション(会話)の違いを説明できますか?

 

 

 

 

コミュニケーションの目的は、情報共有です。

 

話し手と聴き手が、同じ情報を持ったときに、「コミュニケーションがとれた」と表現します。

 

「何回言ったらわかるんだ」「前に言いましたよね」「そんなつもりで言ったのではない」が発生するのは、コミュニケーションをとっていないからです。

 

 

コミュニケーションは、話す力聴く力の双方向があって、初めて成立します。

 

そして、大切なポイントは「話し手は、聴き手のレベルに合わせて伝える必要がある」です。

 

 

子どもに伝えるには、子どもが理解できるような言葉で伝えなければなりません。

 

そのため、コミュニケーション力を強化するためには、相手のことを理解する力が必要なのです。

 

 

部下のころは「話す力」の強化がもとめられますが、上司になると「聴く力」の強化がもとめられます

 

 

 

 

 

 

話す力とは

話す力とは、自分の考えを相手にわかるように伝える力です。

 

多くの方が「コミュニケーション能力=話す力」のように解釈しているように感じます。

 

実際に、コミュニケーション能力を高めようとする人は、話す力ばかり強化しようとします

 

 

子供のころから「スピーチ」「面接」「討論」「プレゼンテーション」など、さまざまな場面で自分の考えをどうやったら相手に伝えられるかと練習してきています。

 

ほとんどの方が、話す力は強いと考えています。

 

 

大切なポイントですが、話す力が機能するかどうかは、相手のレベルに合わせられるかどうかにかかっています

 

相手のレベルに合わせられないと、伝わらないからです。

 

 

相手のレベルに合わせられるかどうかは「聴く力」にかかっています。

 

 

 

 

 

 

聴く力とは

聴く力とは何でしょうか?

聴力のことでしょうか?

 

「ちゃんと聴いてたのか?」

ちゃんと聴いていたら、子供でも大人の難しい話がわかるのでしょうか?

 

 

聴く力は、「理解力」「頭の良さ」と同じような意味で使われるケースが多いように感じます。

 

では「聴く力」を強化する方法は、勉強することでしょうか?

 

 

この使い方も間違っていないのかもしれません。

しかし、「聴く力がある=聴き上手」の意味で、とらえてもらえる方が良いでしょう。

 

聴く力がある人=話しやすい人」です。

 

 

 

上述したように、「話す力」が発揮されるには、相手のレベルに合わせられる必要があります。

 

相手のレベルに合わせるには、相手をよく知る必要があります。

 

相手をよく知るには、相手から情報を収集する必要があります。

 

 

そのためには、相手に、本音をたくさん話してもらう必要があるのです。

 

嘘の話をたくさんしてもらっても意味が無いからです。

 

相手に本音をたくさん話してもらう力が「聴く力」です。

 

 

 

 

話す力が情報発信力とすれば、聴く力は情報収集力です。

 

「部下が報連相をしない」「部下が会議で発言しない」のであれば、「聴く力」が弱いのかもしれません。

 

 

コーチングスキルは、クライアントに本音でたくさん話してもらって、気づきを引き出すスキルです。

 

コーチングスキルの強化で、「聴く力」が強化できるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コーチング・コミュニケーションとは

コーチング・コミュニケーション

コーチング・コミュニケーションとは、コーチングスキルを活用したコミュニケーションです。

 

コーチング自体がコミュニケーションスキルと捉えられる場合も多いですが、敢えてコミュニケーションという言葉に重点を置いています。

 

「聴く力」に重点を置いたコミュニケーションスキルと捉えることもできます。

 

 

 

 

 

 

コーチング・コミュニケーションの目的

コーチング・コミュニケーションの目的は、「職場内のコミュニケーションを活発にしよう」です。

 

組織風土改善のためのコミュニケーションスキルになります。

 

 

コミュニケーションは、話す力、伝える力と捉えられるケースが多いように感じます。

職場で発生するコミュニケーション不足は、「聴く力」不足による影響が大きいです。

 

 

報連相が無いのは、報連相させない空気があるからかもしれません。

会議で発言が無いのは、発言するのにデメリットがあるからかもしれません。

 

 

本音でなんでも話せる環境」が無いと、コミュニケーション不足に陥ります。

「本音でなんでも話せる環境」づくりは、コーチングでは必須のスキルになります。

 

 

コミュニケーション不足に陥ると、仕事の生産性が低下します。

仕事の生産性が低下すると会社の業績に影響を与えます。

 

 

職場のコミュニケーションが活発かどうかは、経営者、管理職の責任になります。

また、コミュニケーション不足は、人間関係の悪化につながります。

 

 

社員の退職理由の上位は、人間関係です。

社員がメンタルヘルスを悪化させる、職場のストレス要因の上位も人間関係です。

 

 

社員の退職・休職が発生すれば、職場の雰囲気が悪化します。

職場の雰囲気の悪化は、チームワークを低下させます。

 

 

チームワークの低下も仕事の生産性を低下し、会社の業績に影響を与えます

 

職場のコミュニケーションの質と量の向上が求められています

 

コーチング・コミュニケーションを取り入れて、「本音でなんでも話せる環境」をつくることを推奨しています。

 

 

 

 

 

 

トレーニングが必須

コーチング・コミュニケーションでカギになるのは「聴く力」です。

 

「聴く力」と聴くと、「黙って集中して聴けば良い」と考えるかもしれませんが、そうではありません

 

信頼されていない上司が、いくら耳を傾けたからといって、部下は本音を話しません。

 

「聴く力」の発揮には、信頼関係構築から必要になってきます。

 

 

 

聴く力の強化には、コーチングスキルの「傾聴力」「質問力」「フィードバック力」の強化が必要です。

しかし、それぞれが奥の深いスキルです。

 

「聴く力」も、「話す力」と同じぐらいトレーニングが必要と意識が大切です。

 

 

 

 

【コラム】傾聴力・質問力とは~トレーニングとコーチング・コミュニケーション

 

 

 

 

 

 

コーチング・コミュニケーションスキルを学ぼう

コーチング・コミュニケーション

管理職になると、部下との面談やコーチング、職場のコミュニケーションなど、課題に感じる場合が多いです。

 

多くの会社が、社員にもとめるスキルとして、コミュニケーションスキルを挙げています。

 

コミュニケーションスキルは、「どのように伝えたら相手は理解してくれるのか」の意識をしがちです。

 

しかし、どうしたら相手を理解してあげられるのかの意識も大切です。

 

 

職場のコミュニケーションを活発にするには、発言しやすい職場づくりがもとめられます。

近年、キーワードとして挙がっている「心理的安全性(psychological safety)」を作ることと同義だと考えています。

 

発言しやすい職場づくりにオススメなのがコーチング・コミュニケーションの導入です。

 

ぜひ、コーチング・コミュニケーションを学んでください。

 

 

 

【コラム】エグゼクティブコーチングとは~意思決定の支援方法~