メンタルヘルスとは~職場でメンタル不調者を出さない~
メンタルヘルスの問題が大きくなっています。
ストレスチェック制度、働き方改革、健康経営などが導入されはじめてしばらくたちますが、精神疾患による労災申請数の増加が止まりません。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、コロナ鬱など、さらなる悪化が懸念されています。
社員のメンタルヘルスが悪化すると、企業の業績にも悪影響を及ぼします。
社内の雰囲気を悪化させます。
企業は、社員のメンタルヘルスマネジメントが欠かせません。
メンタルヘルスマネジメントの方法について説明します。
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【目次】 |
メンタルヘルスがもとめられる理由とは
企業において、社員のメンタルヘルス対策の重要度が増しています。
ストレスチェック制度の義務化や働き方改革など、企業は社員の健康の対策を行っています。
しかし、毎年のように精神疾患の労災申請が増加しています。
メンタルヘルス対策が、追いついていないのが現状です。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、「心の健康」です。
気持ちのバランスとも言えます。
1ヵ月のうち、「気分が落ち込んでいる・疲れている」時間の割合がどれぐらいあるのか。
「気分が落ち込んでいる・疲れている」時間の割合が少ないほど、メンタルヘルスが良好と言えます。
問題は、「目に見えない」という点です。
真面目な人ほど、気持ちを殺して頑張ろうとします。
メンタルヘルスは、気合でどうにかなるものではありません。
メンタルの負荷は、蓄積されつづけます。
蓄積され過ぎると、1日休んだからとって解消されなくなります。
蓄積され過ぎて、溢れると、鬱などにつながってしまいます。
精神疾患の労災を防ぐ
メンタルヘルスの問題が怖いのは、問題が改善するまでが長期間になることです。
だから、メンタルヘルスの問題を発生させないが大切です。
メンタルヘルスの問題は、目に見えにくいのが課題です。
上司の観察力、コミュニケーション能力、リスクマネジメント能力がもとめられます。
精神疾患の労災が発生すると、職場のパフォーマンスが一気に落ち込みます。
それは、管理職として、期待されている成果が出せなくなる状況です。
労災を発生させた場合、管理職の責任は大きいです。
社員のメンタルヘルスの問題を、発生させないようにしなければなりません。
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メンタルヘルス不調者が発生する理由
ストレスチェック制度、働き方改革、健康経営、ホワイト企業認定など、国も会社も、社員のメンタルヘルス対策は行っています。
しかし、全然追いついていない状況です。
メンタルヘルス不調者が、発生する理由について説明します。
職場のストレスランキング
職場のストレスランキングについて、厚生労働省の調査では次のようになっています。
(単位:%)
1位:仕事の質・量(59.4)
2位:仕事の失敗、責任の発生等(34.0)
3位:対人関係(セクハラ・パワハラを含む)(31.3)
4位:役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)(22.9)
5位:会社の将来性 (22.2)
6位:雇用の安定性 (13.9)
7位:顧客、取引先等からのクレーム(13.1)(出典:「厚生労働省」仕事や職業生活に関する強いストレスの有無及び内容別労働者割合:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h30-46-50_kekka-gaiyo02.pdf)
昔は対人関係が大きかったですが、最近は人手不足の影響からか、「仕事の質・量」が大きな割合を示しています。
働き方改革で働く時間を減らされても、仕事にもとめられる「質・量」が大きくなっていたらどうなるでしょう?
国や企業は、「働く時間を減らせ」といいながら、「もっと成果を出せ」とプレッシャーをかけています。
企業にとって、もっとも大切なことが「存続」です。
企業は成果が出ないと、「存続」できなくなります。
「存続」できないと、社員は仕事を失います。
存続するためには、成果を出さなければならない。
成果をだすためには、もっと働かなければならない。
社員の健康のためには、労働時間を減らさなければならない。
これらの矛盾の中で、正解を見いだせず、いつまでもメンタルヘルス改善が進みません。
労働時間を減らしつつ、成果を高める方法を見つけなければなりません。
メンタルヘルスマネジメントの失敗
国や企業が進めるメンタルヘルスマネジメントは、「働く時間を減らす」と「成果の拡大」のトレードオフの関係を同時にすすめています。
問題は、企業間競争が、グローバルに広がっていることです。
日本企業が働く時間を減らしても、外国企業は働く時間を増やして攻勢をかけてきます。
ますます日本企業には、企業間競争の成果に対するプレッシャーが増します。
働く時間を減らして競争力が低下するか、競争力維持のために働く時間を増やしてしまうか。
どちらに転んでも、ストレスの大きい状況が続きます。
働き方改革をすれば、日本企業は生産性を高める活動をするだろうという意図のもとに国は政策を進めています。
しかし、効果を挙げていません。
結果的に、精神疾患の労災申請を増やし続けています。
IT技術を使えば、生産性が高まるといいながら、コロナ関連の影響によって、国の事務処理のIT化が、全然進んでいないのが露呈しました。
生産性改善のないまま、働く時間を減らそうとすると、メンタルヘルスマネジメントの失敗につながります。
精神疾患による労災申請数が減らない、大きな原因と考えられます。
メンタルヘルス不調者を出さない仕組み
メンタルヘルス不調者を抑えるには、実質的には仕事量を減らさないといけません。
それは、経営者のリーダーシップによって、改善していかなければならない課題なので、ここでは保留します。
ポイントは、「仕事の量」だけでなく「仕事の質」です。
理想論を言えば、「仕事が面白ければ、長時間でも働ける」のです。
楽しいことをしていると、「あっという間に時間が過ぎた」という経験があるのではないでしょうか。
もちろん、疲れは蓄積されますので、休むことは大切です。
「仕事が面白くない」「やりがいがない」から、仕事量が多く感じるのです。
いつもと違うに気づく
メンタル不調者を出さないようにする方法は、「いつもと違うに気づく」です。
現実的には、難しいでしょう。
メンタル不調者になる人は、真面目な人が多いと言われていて、そのような人はストレスを表に出さないからです。
上司も、メンタルが強い人と勘違いします。
「いつもと違う」に気づいたときには、手遅れの可能性があります。
だから「いつもと違う」に、どれだけ早い段階で、気がつけるかにかかっています。
直感力、観察力がもとめられます。
また、いつもと違うと気づくには、「いつもの状態」を知っていなければなりません。
つまり、日ごろから、コミュニケーションを密にとっている必要があります。
コミュニケーションを活発に
メンタルヘルスの対策は、職場のコミュニケーションの活発化です。
大切なのは、コミュニケーションの質です。
否定、批判の多いコミュニケーションでは、職場のストレスは、逆に増加します。
情報化社会になって、ますますコミュニケーションが希薄化しているといわれています。
コミュニケーションを活発にする目的は次のとおりです。
・いつもの状態を知る
・社員のストレス要因、不満を知る
・仕事の負荷を分担しやすい環境をつくる
・仕事の壁にぶつかったとき相談しやすい環境をつくる
・仕事のストレスを吐き出せる環境をつくる
など
なんでも話せる発言しやすい職場ほど、モチベーションが高まりやすくなります。
【コラム】仕事のコミュニケーション能力を高める方法~聴く力を強化する~
メンタルヘルスマネジメントに力を入れる
健康経営、働き方改革など、社員の労働環境改善がもとめられています。
それにもかかわらず、精神疾患による労災申請が毎年のように増えつづけています。
今の企業のやり方では、間に合っていないということです。
もっと大幅な改善が、企業にもとめられているということです。
企業は、メンタルヘルスマネジメントの強化が急務です。
なぜなら、企業間競争激化で、社員の抱えるストレスは増えることはあっても、減ることは無いと考えられるからです。
・仕事量増加のストレス
・成果をもとめられるプレッシャー
・会社の将来性に関する不安
・自分自身の将来に対する不安
・職場の人間関係のストレス(テレワークで希薄化など)
などなど、さまざまなストレス要因が強くなると考えられます。
これらのストレスに、さらにコロナ関連のストレスがのしかかります。
メンタルヘルスマネジメントで、カギになるのがコミュニケーション能力です。
職場のストレスは、「人間関係」が原因であるケースが多いからです。
人間関係は、コミュニケーションの質に左右されます。
社員同士、協力し合える関係であればあるほど、ストレスは軽減できます。
職場のコミュニケーションが活発になるような施策に取り組んでください。
弊社では、職場のコミュニケーションの質を改善することを目的とした研修セミナーを実施しています。
ぜひご活用ください。