コーチング型マネジメントとは~リーダーシップのあり方~
コーチング型マネジメントが注目されています。
注目される理由は、従来の指示・命令型のマネジメントでは、うまくいかないケースが増えてきたからです。
指示・命令が無いと動かない社員ばかりになると、上司の負担は大きくなります。
部下の主体的、積極的な行動を促す方法として、コーチング型マネジメントが期待されているのです。
しかし、コーチング型マネジメントにもデメリットが存在します。
コーチング型マネジメントの特徴を説明します。
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| 【目次】 |
コーチング型マネジメントとは
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コーチング型マネジメントとは、その名の通り、コーチングスキルを活用したマネジメント方法です。
従来の指示・命令型のマネジメントと区別するために使われています。
指示・命令型のマネジメントに絶対的なルールが無いように、コーチング型マネジメントも絶対的なルールは無いです。
コーチング型マネジメントの概要を説明します。
コーチングとマネジメント
コーチングとは、相手の話から気づきを引き出し、モチベーションを高め、主体的な行動を促すスキルです。
ティーチング(教える)の反対語のように、捉えてもらってよいです。
従来のマネジメントといえば、「上司が部下に仕事を教え、指示・命令で管理する」が一般的でした。
効率的なマネジメント方法でしたが、「教えてもらってない仕事はやらない」「指示・命令があるまで動かない」などの逆効果がでてきました。
仕事量が増加する中、上司も逐一、部下ごとに指示・命令を出せなくなってきました。
そのため、部下の主体性を引き出す、コーチング型マネジメントが注目されています。
メリット・デメリット
コーチング型マネジメントの、メリット・デメリットを紹介します。
指示・命令型のマネジメントのメリット・デメリットとは、逆になります。
補完関係にあると考えてください。
【メリット】
・部下のモチベーションアップ
・部下の主体性、積極性アップ
・部下の思考力アップ
・チームワーク強化
【デメリット】
・効果が現れるまで時間がかかる
・部下ごとに効果がばらつく
・上司のコーチングスキルに効果が左右される
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コーチング型マネジメントが期待される理由
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コーチング型マネジメントが期待される理由は、仕事量が増えたからです。
上司が、部下にかまってられなくなってきました。
・少子高齢化による人手不足
・働き方改革による労働時間の減少
・競争がグローバルに広がり、仕事量が増加
・IT技術の進化、通信速度のアップにより、処理しなければならない情報量が急上昇
・上司もプレーヤーとして仕事を抱えている
部下の主体性をひきだす必要が出てきました。
主体性・積極性を重視
やる気のない社員とモチベーションの高い社員では、生産性の高さに差が出ます。
上司がチームをマネジメントする上で、モチベーションマネジメントは重要な要素です。
モチベーションは、「やる気を出せ!」では高まりません。
モチベーションを高めるには、コーチングスキルが欠かせません。
チームの生産性を高めるために、コーチング型マネジメントが必要とされているのです。
考える力の強化
指示待ち社員が主体的に動けないのは、「考える力」が弱いからです。
わからない課題にぶつかったとき、思考が停止するから動けなくなるのです。
従来のティーチング、指示・命令は、言われた通りに行えばよいだけなので、考える必要が無かったのです。
日本の教育全般が、暗記型教育、詰込み型教育と呼ばれ、考える力を弱くすると問題視されるようになりました。
そのためセンター試験が廃止され、課題解決力を問う共通テストに切り替えられました。
コーチングは、原則「教える」をしません。
質問を投げかけて、「自分で考える」を促します。
「考える」を積み重ねるうちに、「考える力」が強化されます。
コーチング型マネジメントの注意点
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コーチング型マネジメントは必要とされていますが、実際に採用は進んでいません。
その理由は、難しいからです。
コーチング型マネジメントで、すべてがうまくいくわけではないです。
コーチング型マネジメントがうまくいかない。
だから、指示・命令型マネジメントに戻るを繰り返します。
結局、コーチング型マネジメントは、広がっていません。
万能ではない
コーチング型マネジメントを採用すると、すべてがうまくいくように説明されるケースみられます。
しかし、万能なスキルでは無いです。
指示・命令型のマネジメントとコーチング型マネジメントは、補完関係にあります。
どちらのマネジメント方法が優れているかどうかではなく、両方必要なのです。
どちらかに偏りすぎると、デメリット面が現れてきます。
コーチング型マネジメントは、効果が現れるまでに、時間がかかります。
ビジネスの世界は、スピードがもとめられます。
コーチング型マネジメントを採用しても、結局「指示・命令した方が速い!」となって、挫折します。
コーチング型マネジメントは、人材育成や経営戦略など、「重要だが緊急ではない課題」に限定する方が望ましいです。
トレーニングが必要
コーチング型マネジメントは、「明日から採用する」といって効果が挙げられるほど、簡単なマネジメント方法ではあいません。
1~2年間のコーチングスキルのトレーニングが必要です。
1日から2日程度の企業研修を受けた程度で、部下のモチベーションを自在にコントロールできるようにはなりません。
傾聴力、質問力、フィードバック力含めた、聴く力の強化が必要です。
コーチングスキルの特徴は、「知っている」と「できる」のギャップが大きいです。
研修で学んだように、指示・命令ではなく、傾聴・質問でマネジメントしても、部下の主体性・積極性はいきなり上がりません。
「指示・命令の方が速い」となり、コーチング型マネジメントが失敗します。
コーチングスクールの資格を持っている人でもなかなか難しいのです。
効果に焦らず、長期的な視点でトレーニングを行ってください。
リーダーシップのあり方が大切
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コーチング型マネジメントの特徴について説明してきました。
社員の主体性、積極性がもとめられる中、とても重要なマネジメント方法です。
結論的にいえば、リーダーシップのあり方、部下との関係性の問題です。
逐一細かく「あーしろこーしろ」と指示を出すリーダーであれば、部下はやる気をなくすかもしれません。
しかし、尊敬できるリーダーであれば、指示もらった方が安心するかもしれません。
なんでも部下の主体性を重視するリーダーであれば、部下のモチベーションは高まるかもしれません。
しかし、責任をすべて部下に持ってくるのであれば、ストレスが大きくなるかもしれません。
リーダーシップに、絶対的な正解はありません。
「部下とどのような関係性を築きたいのか」から、「リーダーシップのあり方を考える」が大切です。
その上で、コーチング型マネジメントが必要であれば、徹底的にトレーニングを行ってください。