中小企業のブランド戦略~自社ブランドを育成する~
中小企業の生産性の低さが、問題となっています。
中小企業の生産性が低い原因は、価格決定権がないからです。
価格決定権が無いのは、他社でも購入できる商品、サービスを扱っているからです。
中小企業にもとめられるのは、他社からは購入できない自社ブランドの商品、サービスの開発です。
企業間競争が激しくなる中、自社ブランドを持っている会社と、持っていない会社の経営力の差は、大きくなってくるでしょう。
自社ブランドを持っていないという状況は、顧客のファン化が難しく、スイッチされやすい状況にあるからです。
自社ブランドの育成が望ましいですが、そう簡単にできるものではありません。
自社ブランド育成について説明します。
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【目次】 |
中小企業と自社ブランド
中小企業では、ブランド力が弱く、自社ブランド商品サービスを持っていないところが多いです。
しかし、中小企業だからと妥協せずに、自社ブランドの育成を目指すことが大切です。
自社ブランドを育成するメリットについて説明します。
価格決定力と収益性改善
中小企業の多くは、価格決定力がありません。
取引価格をおさえられて、収益性が低い状態になります。
収益率が低いので、人件費を抑えなければならなくなります。
給料が低く設定されるので、人材確保に苦しみます。
価格決定力がないと、経営に悪影響があるのです。
依存度の低下
自社ブランドを持っているのは、他社との差別化ポイントの一つです。
絶対とは言えませんが、自社ブランドには品質保証機能などがあります。
このブランドだったら、おそらく安心だろうという品質保証です。
自社ブランドが確立されていると、複数の販売先に販路を拡大できます。
下請けとして1社に依存している場合、親会社が業績不振になったと同時に、会社が傾きます。
親会社の海外進出など、戦略変更の影響も受けます。
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自社ブランド育成を止めるもの
自社ブランドが確立できると、さまざまなメリットが得られます。
収益性改善が期待でき、新たな投資ができるようになります。
多くの経営者が自社ブランドを確立した方が良いと分かっているのに、どうして進まないのでしょう。
時間が無い
特に下請け中小企業をみていて感じるのは、忙しすぎるという点です。
親会社からのコストダウン要請にこたえているうちに、効率性は追求できています。
しかし、販売価格も低下しているので、収益性は低いままです。
1個当たりの利益額が減るので、量を増やさないと、総利益額を確保できません。
そして、薄利多売になる傾向が強まります。
自社ブランドの開発に着手する時間が確保できないぐらい、生産に全力を尽くします。
失敗への恐れ
特に下請け中小企業を見ていて、もう一つ感じる点は、親会社への強すぎる警戒です。
価格を上げることによって、仕事を減らされる報復への警戒で身動きが取れなくなっています。
1社に依存するリスクがわかっていながら、抜けられないジレンマに陥っています。
また、薄利多売で経営資源が限られ、ギリギリのところで経営していると、失敗が許されない雰囲気になります。
余裕があるうちに、新たなチャレンジをしていればよかったのですが、依存しているうちに、経営状態が悪化し、新しいチャレンジに恐れを感じるようになっています。
ビジョナリー経営を取り入れる
自社ブランドは、作ろうと思って、すぐにできるものでは無いです。
難関が多いので、経営者の信念の強さがもとめられます。
対処療法的な問題解決型経営よりも、未来志向型のビジョナリー経営の導入をオススメします。
理想的なビジョンを具体化する
まずは、どのような会社に成長させたいのか、ビジョンの具体化が大切です。
10年後、どのような会社になっていたいのか。
下請けでも規模を追求できたら価格決定力がつきますので、下請けがダメなわけではありません。
しかし、収益性が高い会社にしたいのなら、どのような形で収益性を高くするか、方向性は決める必要があります。
ビジョンが無いと、場当たり的になるからです。
そして、計画が無いと、計画通りに進んでいるのかわかりません。
結局楽な方に流れてしまうので、気づいたときには手遅れになってしまいます。
まずは、ビジョンを具体化するところから始めましょう。
小さなチャレンジを積み重ねる
多くの経営者が、それは難しいだろうと、チャレンジをあきらめます。
日本企業が諸外国の企業よりも競争力が落ちてきているのは、保守的になりチャレンジしなくなったからです。
そして、たいていチャレンジしにくい仕組みになっています。
「チャレンジしなさい」といいながら、失敗したら給料が下がる仕組みになっています。
チャレンジとは、「やった経験のないことをやる」なので、失敗する可能性が高いです。
チャレンジが、デメリットにつながるなら、だれもチャレンジしないでしょう。
逆に、大きな失敗をすると、立ち直れなくなります。
失敗しても被害が小さい要素に分解して、チャレンジをマネジメントすることが大切です。
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自社ブランドを育成しよう
競争環境がグローバルに広がる中、外国からさまざまな企業が日本に参入してきます。
2025年後継者問題もあり、日本の企業はどちらかというと攻められる側にまわります。
しかし、守ってばかりいては、いつか破られてしまいます。
外国企業の参入にも、ブレナイ会社の育成が必要です。
その時、自社ブランドを持っていると強いでしょう。
ぜひ、自社ブランドを構築してください。