仕事の「見える化」の目的と効果~改善には数値化を~

日本企業は、生産性改善が大きなテーマとなっています。

 

国も生産性を向上させる為の政策を増やしています。

 

 

「働き方改革の導入」の影響で、従業員の労働時間を減らす方向へとシフトしています。

一方、企業間競争が激しくなるにつれて、「仕事が増える」という状況が続いています。

 

 

そのような状況が続くと、従業員である社員は、目の前の仕事に手いっぱいになり、逆に仕事が非効率になってきます。

 

仕事の生産性を高めるには、業務改善が必要です。

 

 

業務改善を行う際、効果的な方法に見える化」があげられます。

 

「見える化」ができない限り、改善ポイントがわからないからです。

 

 

 

 

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【目次】

 

仕事が非効率と感じたら「見える化」を

コーチング・コミュニケーション

会社の従業員たちは、人手不足の影響で仕事量が増えているにも関わらず、仕事にスピードが求められます。

 

仕事に追われ始めると、目の前の仕事で手いっぱいになり、視野が狭くなりがちです。

 

 

気づいたときには事業戦略の見直しや人材育成など、企業活性化に大切な仕事が手遅れになる可能性があります。

 

このような状況は意思決定におけるグレシャムの法則と呼ばれています。

 

 

仕事で手が回らないと感じているときこそ、手遅れにならないよう早め早めの対応が大切です。

 

対処方法として、「見える化」について説明します。

 

 

 

 

 

 

 

見える化とは

「見える化」とは、仕事の状況などを、「誰が見ても分かる形に、表現しなおすこと」をいいます。

 

仕事の現状を「見える化」によって、「できている仕事」と「できていない課題」が明確になります。

 

「見える化」といっても、さまざまな種類が存在します。

 

・理想の状態を「見える化」

・現在の状態を「見える化」

・業界内での位置づけを「見える化」

・個人やチームレベルの仕事の状況を「見える化」

 

 

決算書類なども、会社の状況の「見える化」ツールの一つです。

 

このコラムでは、とくに個人やチームレベルの仕事の状況の「見える化」について、説明します。

 

 

 

 

 

 

 

見える化の効果

「見える化」によって得られる効果を、次に挙げます。

 

・理想の状態と現状のギャップが明確になる

・課題とやるべき仕事が明確になる

・やらなくてよい仕事も明確になる

・改善案が見つかる

・問題が発生している場所が明確になる

 

以上のような効果で、業務改善の行動ができるようになります。

 

 

 

 

 

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見える化を実践

コーチング・コミュニケーション

「見える化」を進める方法について説明します。

 

「見える化」に絶対的なルールが存在するわけではありません。

 

当コラムの本文を参考に、自社に適した方法で取り組んでください。

 

ここではトヨタ方式の「見える化」を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

見える化の進め方

トヨタ方式の「見える化」の進め方は、次の通りです。

1.理想の状態を明確にします

2.理想の状態に対する現状を明確にします

3.理想と現状のギャップから、ギャップを埋める行動を明確にします

4.行動の進捗を確認する指標を決めます

5.指標が常に目で見て確認できる工夫をします

6.PDCAが回せる仕組みをつくります

 

 

とくに重要なポイントは2つです。

 

 

まず、「理想の状態を明確にするところから始める」です。

 

現状からスタートすると、現状の「できること」「できないこと」に意識が向いて、理想の状態のレベルを低く抑えてしまう可能性があるからです。

 

 

次に、「社員がPDCAの回せる仕組みを作る」です。

 

「見える化」できても、1度で改善されるわけではありません。

 

改善され続ける仕組みをつくった結果、業務に追われて視野が狭くなる状況や、再び見えない状態になる問題の予防が可能となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

SMARTの法則を活用

「見える化」で重要なポイントは、まず「理想の状態を明確に」です。

 

理想の状態を明確化にする際、SMARTの法則を活用します。

 

SMARTの法則とは、次の5つの単語の頭文字をとったフレームワークです。

 

 

Specific:「具体的になっているか?」

Measurable:「計測可能なように数字で表現しているか?」

Achievable:「達成可能なレベルになっているか?」

Relevant:「会社の方向性に沿っているか?」

Time-bound:「いつまでに達成するのか?」

 

 

理想の状態が具体的で「数字で表されている」が大切です。

 

それは、PDCAを回す際、進捗状況を確認するためです。

また、その状態が達成可能かどうか、いつ達成できるかまで決めます。

 

なぜなら、取り組んでも効果が上がらないと感じる問題に、メンバーのモチベーションが上がらないからです。

 

会社の方向性と改善活動の方向性が合っているのも、「見える化」による改善活動の効果が現れる大切な要素です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見える化の注意点

コーチング・コミュニケーション

「見える化」で改善が達成できれば、生産性の向上、収益性の向上につながります。

 

しかし、その過程では、社員の大きな負担となります。

 

管理職は、「リーダーシップを発揮して実行」が大切です。

 

その他、「見える化」を進める上での注意点を説明します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見える化がゴールではない

「見える化」は効果的な手法ですが、それ自体が目的ではありません。

仕事が煩雑になった状況を解消し、生産性を向上させる課題解決が目的です。

 

 

業務の改善に「見える化」を実施しても、部下が仕事を抱えすぎて、着手できない状況であれば、いつまでも前進しません。

 

また、「見える化」できたに満足して、改善活動に移行できない状況でも、生産性の改善につながりません。

 

 

管理職は、社員が改善活動の実施しやすい環境を整える施策が大切になります。

 

また、PDCAを活用し、改善方法自体も必要であれば見直します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優先度を決める

「見える化」を進める上で、「優先度を決める」が大切です。

 

実施項目について「効果」「難易度」「要する時間」で重みづけします。

 

以下の考え方を参考に、優先順位を決めます。

 

 

・効果が大きくても難易度が高すぎる作業は後回しにします。もしくは、細分化して少しずつ進める、外注など工夫します。

・効果が大きくて、時間がかかる作業も同様に考えます。

・難易度が低くて、効果の大きい作業を優先的に実施します。

 

 

早く効果が上がる作業を優先的に進める施策によって、「見える化」による改善活動の生産性自体も向上します。

 

 

 

 

 

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「見える化」にとりかかろう

コーチング・コミュニケーション

企業を取り巻く環境変化のスピードが増す中、その環境変化に合わせて、仕事の仕方も変化させていく取り組みがもとめられています。

 

「見える化」の最大の壁は、「仕事が落ち着いたらやろう」という考えに陥りやすいことです。

 

どうしても、目の前の仕事が気になるからです。

 

 

管理職がリーダーシップを発揮して乗り越え、できるだけ早く「見える化」に着手しましょう。