上司と部下のコミュニケーションの取り方改善方法
上司と部下のコミュニケーションは、多くの職場で課題になっています。
職場のストレス要因、社員の退職理由の上位に「上司との人間関係」があります。
パワハラ、セクハラの問題もあります。
上司になると、部下とのコミュニケーションが大きな課題です。
そのため、出世したくない若手社員も増えているとききます。
コミュニケーションは、信頼関係がすべてです。
信頼関係が低いと、問題が発生しやすくなります。
上司と部下の、コミュニケーションの取り方について説明します。
【コラム】部下のモチベーション低下の理由~退職の決意前に気づく~
【目次】 |
コミュニケーションの役割
コミュニケーションの役割は、情報共有です。
詳しくは、後述します。
多くの場合、コミュニケーションは「伝える」を目的のようにとらえられます。
実際、「伝える」目的で使われるケースが多いです。
いつも「相手に、論理的にわかりやすく伝える」がもとめられます。
上司側、部下側にもとめられるコミュニケーション能力を紹介します。
上司側
・指示、命令を伝える
・会社の方針を伝える
・評価結果を伝える
・疑問点を質問として伝える
など
部下側
・報連相として伝える
・提案を伝える
・進捗状況を伝える
・疑問点を質問として伝える
など
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
コミュニケーションの基礎知識
コミュニケーションは、一般化しすぎて、わかっているようでわかっていないスキルです。
コミュニケーションって具体的に何?
会話(カンバセーション)との違いは何?
と質問されると、答えられない方が多いです。
コミュニケーションの目的
コミュニケーションの目的は、情報共有です。
話し手と聴き手が、全く同じ情報を持った時、初めてコミュニケーションがとれたとなるのです。
だから「メールを送っといたから」「LINEした」は、コミュニケーションが完了していないのです。
「前に言ったでしょ」というのは、伝わっていなかったので、コミュニケーションを完了させてなかったことになります。
「そんなつもりで言ったのではないのに、相手を怒らせてしまった」も同じです。
多くの方が「発言した時点」で、コミュニケーションを完了したと勘違いします。
コミュニケーションの問題が、発生する大きな原因です。
コミュニケーション3つのルール
コミュニケーションには、次の3つのルールがあります。
双方向
コミュニケーションは、送信と受信の双方向があって初めて成立します。
「話す・伝える」だけでなく、「聴く」が必要なのです。
では、「聴く力」を強化するために、どのようなトレーニングをしますか?
誤解を無くす(データの完全性)
メールやLINEなど、コミュニケーションで大切なのは、改ざんされないことです。
送り手が発信した内容は、そのままの状態で受け手に届かなければなりません。
人同士のコミュニケーションは、これが難しいです。
人それぞれ、言葉に含まれる意味が異なるからです。
「できるだけ早くおねがいします」とメールで届いたら、「できるだけ早く」をどれぐらいの期間と捉えるでしょうか?
上司の「それぐらい簡単だよ」は、部下にとっても簡単でしょうか?
コミュニケーションは、言葉のあいまいさを乗り越えて、情報共有できなければなりません。
能力の低いほうに合わせる
コミュニケーションは、相手に合わせなければなりません。
そして、知識や能力の低い方に合わせなければなりません。
走りの遅い人が、速い人に合わせて走られないのと同じです。
例えば、日本語のわからないアメリカ人とコミュニケーションをとるなら、英語で伝えなければなりません。
子どもとコミュニケーションをとるなら、子どもにわかる言葉で伝えなければなりません。
「相手のためを想って伝えている」も、主観的になっている場合があります。
相手にとっては「有難迷惑、恩の押し売り」のように感じる場合があります。
相手が何を望んでいるか、知識と能力も含めて、知る必要があります。
そのために必要な力が、「聴く力」です。
「聴く力」を強化するために、何をしますか?
コミュニケーションの課題と対策事例
上司が部下とのコミュニケーションで、よくある課題について、例を挙げて説明します。
悪い評価を伝える
上司が部下とのコミュニケーションで悩むのは、評価面談の時です。
良い評価を伝えるのは楽ですが、悪い評価を伝えるのは難しいです。
伝え方によっては、部下のモチベーションを下げてしまいます。
部下が納得できない場合は、次のような事例があります。
そもそもの目標が高すぎる
目標管理制度のデメリットであります。
目標を高く持てば持つほど、達成へのハードルは高くなります。
「目標は高く持ちなさい。けど達成できなかったら評価を下げます」では、大きな矛盾があります。
だから、目標管理制度では、社員は低めの目標を設定しようとします。
そして、会社全体の競争力が低下していきます。
上司は、部下が達成できなかったとき、評価に納得ができるような根拠を示す必要があります。
相対評価の壁
多くの企業が、相対評価を取り入れています。
総人件費を抑える目的です。
そのため、どんなに頑張っても、同僚との比較で変わっていなければ、評価が変わりません。
業績の悪い部署に配属されたら、どんなに頑張っても業績に良い部署より評価が低くなります。
上司のマネジメントの失敗によって、部署の業績がさがったら、部下の評価も下げられる状況が発生します。
部下は納得がいかず、モチベーションが低下します。
大きな組織であればあるほど、不公平感が大きくなります。
これは、どうしようもないジレンマです。
この問題を解決するには、上司と部下の信頼関係を強化するしかありません。
・この上司が言うのだから仕方がない
・この上司に力になりたい
上司が日々どのような努力をしているのか、部下のことをどれだけ考えているのかが、部下に共感されなければなりません。
それには、普段どれだけ本音でコミュニケーションを密にできているかにかかっています。
本人がやりたくない仕事を任せる
指示命令の仕方も、上司を悩ませます。
上から命令したら良いのか、お願いベースで下手に出た方が良いのか。
それは相手の性格と、上司の期待によって変わります。
指示命令が強い上司の下では、指示待ち社員が増えるかもしれません。
部下に主体的、積極的に行動してほしいのであれば、仕事の任せ方に工夫が必要です。
会社で仕事をする以上、本人がやりたくない仕事を任せなければならないことがあります。
やりたくない仕事をさせられて、達成できなかったからと、評価を下げられたらたまりません。
仕事には、本人の納得性が重要です。
・「なんで私に頼むんだ?」と部下が不満をもつチーム
・「チームのために誰かがやらなきゃ」と主体的に行動する部下がいるチーム
どのようなチームづくりができているか、上司のチームビルディングのスキルに左右されます。
「部下を動かすコミュニケーションスキル」などが存在しますが、小手先で部下は変わりません。
企業風土そのものを、変えていくぐらいの行動が必要です。
やはり、普段どれだけ本音でコミュニケーションを密にできているかにかかっています。
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信頼関係がすべて!
上司と部下のコミュニケーションの課題は、常に存在します。
おそらく無くならないでしょう。
しかし、その問題の大きさと頻度は、改善できます。
すべては、信頼関係ができるかどうかにかかっています。
極端に表現すれば大きな差を感じると思います。
・嫌いな上司から受ける指示命令
・好きな上司から受ける指示命令
同じ内容の言葉でも、部下の受け取り方は変わります。
上司と部下のコミュニケーションの改善。
上司にもとめられるのは、職場の信頼関係づくりです。
信頼関係づくりに必要なのもコミュニケーションです。
信頼関係をつくるコミュニケーションの重要な要素が「聴く力」です。
「聴く力」の強化におすすめの方法が、コーチング・コミュニケーションのトレーニングです。
コーチング・コミュニケーションの研修セミナーを実施していますのでご活用ください。