経営者自身のストレスマネジメント、メンタルヘルスケアを
社員のメンタルヘルスの問題、がニュースで取り上げられることが多いです。
一方で、経営者のストレスの大きさを忘れていませんか?
特に中小企業の経営者は、仕事で大きなストレスを抱えます。
基本的に、経営者はストレス抵抗力が強いです。
しかし、ストレス要因はそれ以上に強いです。
経営者のメンタルヘルスは、会社のパフォーマンスの改善に非常に重要です。
経営者が抱えるストレスの要因といえば、「会社の業績」「資金繰り」「離職率」「人材育成」など、経営に関わる要因が大半です。
経営者のためのストレス対処法を説明します。
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【目次】 |
経営者も例外ではない?会社のストレスの状況
ストレスチェック制度や働き方改革など、従業員の健康を守る動きが活発になっています。
その裏で、経営者自身のメンタルヘルスは、あまり語られません。
経営者にも、個人保証の借金や経営責任、社員とのコミュニケーションなど、さまざまなストレス要因があります。
メンタルヘルスの問題
会社でのメンタルヘルスに関する問題について、耳にする機会が増えています。
厚生労働省の「H29(2017)年度過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の労災申請が2013年に1,409件だったのが、2017年は1,732件と、毎年のように増加しています。
インターネット上でも、「ブラック企業」「パワハラ」「セクハラ」などのキーワードを、目にする機会も多くなりました。
「50人以上の事業所に対するストレスチェックの義務化」「働き方改革」「健康経営」など、国は政策で従業員の健康を守ろうと動き始めました。
社員にフォーカスされるケースが多いですが、経営者も例外ではありません。
Wrike株式会社が行った調査結果によると、経営・役員層の「とてもストレスを感じる」「ストレスを感じる」の合計が46.1%になりました。
(参考:調査概要)
調査会社:Wrike株式会社
調査対象:全国18~64歳の男女1,034名(男性442名、女性592名)(人口構成比と本調査対象者の出現率に合わせて割付)※自営業を除く会社員が対象
調査方法: インターネットリサーチ
調査日: 2018年11月29日(木)~11月30日(金)
職場でのストレス要因ランキング
Wrike株式会社の調査結果による、ストレス要因のランキングを紹介します。
1位 仕事量が多すぎる(14.5%)
2位 コミュニケーションが足りていない(11.4%)
3位 上司が威圧的で細かい仕事まで指示を出す(9.4%)
4位 チームメンバーが自分の職務を果たさない(9.2%)
5位 業務の責任が不明瞭である(8.9%)
特に経営層は、「コミュニケーションが足りていない」と感じている割合が、多い結果になっています。
4位の「メンバーが指示に従わない」、5位の「責任の所在が不明確である」なども、コミュニケーションが足りていないと感じる要因なのでしょう。
理由は、「成果を出さなければならないのに、スムーズに進まない」がストレスになっていると考えられます。
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会社でストレスの発生要因
社員がストレスを感じて、仕事がうまく回らなくなる点は、経営者のストレスとなって返ってきます。
ストレス要因
会社のストレス要因について、厚生労働省の調査結果は次の通りです。
1位 仕事の質・量(62.6%)
2位 仕事の失敗、責任の発生等(34.8%)
3位 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)(30.6%)
4位 役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)(23.1%)
5位 会社の将来性(22.1%)
6位 事故や災害の体験(2.4%)
7位 雇用の安定性(14.0%)
(出典元:『厚生労働省』平成29年労働安全衛生調査(実態調査)労働者調査:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_kekka-gaiyo02.pdf)
数年前まで、1位であった「対人関係」が3位になり、「仕事の質・量」が1位になっています。
人手不足の傾向が強まった点、働き方改革で労働時間が削減された点から、短い時間で量をこなさなければならなくなったことが原因と考えられます。
人手不足感の強い会社では、経営者へのストレスは大きくなります。
人手不足の影響で、社員の負担が大きくなっています。
社員が辞めてしまうと、生産性が低下し業績が落ち込みます。
最終的には、経営者の経営責任が問われる事態になるからです。
最近は、水害などの自然災害も毎年のように発生しています。
会社が被災した経営者のストレスは大きいです。
経営者は、さまざまなストレス要因にさらされています。
ストレスは物事のとらえ方で変わる
会社には、さまざまなストレス要因が存在します。
経営者、社員のメンタルヘルスにとって、大きな負担です。
しかし、ストレスの大きさは、人それぞれ違うのです。
要因となる出来事に「ストレスを長期化させる人」もいれば、「まったく気にしない人」もいます。
人によっては、ストレスにならないケースもあるのです。
一方で、「長時間労働がストレス」とみられるケースが多いですが、「仕事が好きな人」にとっては、「働く時間を短くされることがストレス」になります。
ストレスとなる要因をどのように捉えているか、「正しい認識」が大切です。
ストレスへの対処方法
ストレスは、「出来事」⇒「出来事をどのように捉えるか」⇒「ストレスと感じる」の流れで発生します。
対処法を次に示します。
・「出来事」が発生しないように取り除く
・「出来事」の捉えかたを変える
・「ストレスを感じた」後に解消する
ストレス要因を取り除く
ストレス要因を取り除くことにより、ストレスにならないようにできます。
たとえば次のような方法です。
・仕事量が多い⇒「仕事の作業工数を減らす」「仕事を分担」など
・仕事の失敗⇒「リスクを分散」「連帯責任」など
・意見が合わない⇒「採用基準を明確に」「納得いくまで話し合う」など
ストレス要因を、なくなるように取り組みます。
経営者も、一人で抱え込まずに社員を信頼して相談するのが大切です。
また、外部の専門家などの活用も改善方法になります。
「経営者は孤独」と言われる方もおられます。
孤独になるかどうかは、経営者の考え方次第です。
ストレス要因の捉え方を変える
同じ要因でもストレスに感じる大きさが違います。
極端にいえば、ストレスと感じない捉え方をすれば、ストレスになりません。
たとえば次のような捉え方です。
・仕事の失敗⇒「ダメなやり方がわかった」「失敗は、チャレンジしている証拠」
・ネガティブな社員⇒「慎重で注意深い社員」「自分と違う視点を与えてくれる社員」
・業績の悪化⇒「経営改善に取り組むチャンス」「危機感を社員と共有のチャンス」
捉え方を変えれば、次の行動も変わります。
捉え方を変えることを、リフレーミングと言います。
ストレス解消法
ストレスに感じてしまったら、いつまでも引きずらないように早めの解消が大切です。
たとえば次のような方法があります。
・適度な運動
・しっかりと睡眠をとる
・読書
などです。
ポイントは、ストレスで悩んでいる状態から、一旦解放される点です。
上の4つは、実践している間、ストレス要因のことを忘れて集中します。
ストレス要因について考えている時間を減らすため、ストレスが軽くなります。
また、「悩みを他人に聴いてもらう」も有効です。
「カウンセリングを受ける」もしくは「信頼できる相談相手に話をきいてもらう」と、ストレスが軽減されます。
一人で抱え込むとストレスの解消が遅くなります。
お酒やギャンブルなどでのストレス解消は、避けるのが望ましいです。
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経営者はストレスと上手につきあおう
会社の経営は、「業績」「社員」「顧客」など、多くのストレス要因と関わります。
しかし、ストレス要因はマイナス面ばかりではなく、存在するからこそ緊張感をもって経営ができるというプラス面も存在します。
適度なストレスを感じながら、要因を上手にコントロールしての経営が大切です。