仕事のモチベーションアップ方法~社員の士気を高める~
モチベーションアップ方法は、本屋にもインターネットにも数多く存在します。
それにもかかわらず、「社員のモチベーション問題」が無くならないのはどうしてでしょう?
この疑問を解消しないかぎり、効果の無い方法を繰り返すことになります。
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リーダーのために、社員の士気を高めるモチベーションアップ方法について説明します。
重要なポイントは、モチベーションを低下させるような企業風土なのか、モチベーションを向上させるような企業風土なのかです。
そして、企業風土をつくるのは、リーダーです。
リーダーによって、伸び伸びとした雰囲気になるか、ピリピリした雰囲気になるか、分かれます。
社員の仕事に対するモチベーションが上がる。
そのような企業風土をつくるリーダーシップを目指しましょう。
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【目次】 |
間違ったモチベーションアップ方法
モチベーションとは、「やる気」と訳されるケースが多いです。
そして、「やる気を出して頑張っていこう」と言えば、モチベーションが上がると勘違いされていると感じます。
また、「モチベーションを出さなきゃダメ」のようにも勘違いされています。
ほとんどの方が「やりたくないこと」に対して、「やる気」は出ません。
勉強も仕事も同じです。
「やりたくないことをやる」自体がストレスになります。
「やる気」を出して頑張っているつもりでも、無理している場合は、ストレスでモチベーションが低下します。
「やる気を出さなければならない」で頑張り続けると、燃え尽きてしまう可能性がでてきます。
ますますやりたくなくなります。
モチベーションは「やりたい!」気持ちです。
「止めなさい」と言われても、「やりたい!」状態がモチベーションの高い状態です。
しかし、多くの場面で間違ったモチベーションアップ方法がとられています。
アメとムチ
モチベーションは、「快を得たい」気持ちと、「痛みを避けたい」気持ちにより高まるといわれています。
「頑張ったらご褒美をあげる」「できなかったら罰を与える」方法で人を動かそうとします。
もちろんメリットが得られるのは、モチベーションアップには大切です。
ただし、すべての人に効果がある方法ではない点も理解しておかなければなりません。
そして、ご褒美に感じる価値は、人それぞれ異なります。
・ご褒美をもらえないと、モチベーションが上がらないようになる
・ご褒美の程度に、モチベーションが左右される
・罰を避けられる範囲で、最低限の行動に抑える
・罰を恐れるあまり、消極的になる
期待とは、逆効果につながる可能性もあります。
気合で上げる
モチベーションアップ方法として、「自分にご褒美を設定する」「アロマを取り入れる」「テンションの上がる音楽を聴く」などが紹介されます。
確かに、モチベーションは上がるかもしれません。
しかし、一時的です。
リーダーが期待するのは、モチベーションが高い状態を、できるだけ長時間持続し続けることでしょう。
小手先のモチベーションアップ方法は、何度も連続して使い続けられるでしょうか?
無理して気合でモチベーションを上げようとするのはストレスです。
おそらく疲れてくるでしょう。
逆に、本当にやりたいことは、疲れにくいです。
楽しいことは、時間もあっという間に過ぎ去ります。
無理してモチベーションアップする方法は、長い目で見たら間違いと考えます。
社員が望まないモチベーションアップ方法
モチベーションアップに「高い目標を立てさせる」「社内表彰制度を導入する」「社員教育を受けさせる」「ポジティブな言葉を使わせる」などが存在します。
どれもモチベーションアップ方法としては、大切な方法です。
しかし、「社員が無理やりモチベーションアップ方法をさせられてる」状態であれば問題です。
リーダーが良かれと思って始めた施策が、社員にとって良い施策とはかぎらないのです。
「また余計なこと始めた」と思われたら、逆にモチベーションを低下させます。
大切なポイントは「社員の気持ちに寄り添う」です。
コミュニケーションがもとめられます。
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モチベーション理論を確認
モチベーションアップ方法の参考に、モチベーション理論を確認しましょう。
ここでは、「マズローの欲求段階説」「ハーズバーグの動機づけ-衛生理論」「MPS(Motivating Potential Score)」の説明します。
マズローの欲求段階説
マズローの欲求段階説は、人のモチベーションが、5つの階層に分けられるとした理論です。
5つの階層は下位から次のようになります。
1.生理的欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.承認欲求
5.自己実現欲求
下位の欲求が満たされて初めて、上位の欲求に対するモチベーションが高まるとされています。
「生理的欲求」「安全欲求」は、生きるための欲求です。
「社会的欲求」は所属と愛の欲求とも呼ばれ、何かに所属している、社会の一員になっていたい欲求です。
とりあえず、会社に入社した時点で一旦は満たされる欲求です。
会社に所属していても、認められないとモチベーションが下がります。
上司、同僚に認められたい「承認欲求」が高まります。
「承認欲求」が満たされたら「自己実現欲求」が高まります。
自己実現欲求は、成長したい欲求です。
会社やリーダーが、社員にもとめるモチベーションです。
つまり、社員にモチベーション高く働いてほしいと思うなら、「承認欲求」まで満たすのが必要です。
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論
ハーズバーグが提唱した動機づけ―衛生理論。
人がモチベーションアップする要因は2つのタイプに分かれます。
それが「動機づけ要因」と「衛生要因」です。
動機づけ要因は「達成」「承認」「昇進」「成長」など、仕事のやりがいなどに関する要素です。
衛生要因は、「給料」「福利厚生」「安全衛生」「組織風土」「職場環境」など、仕事をする環境などに関する要素です。
大切なポイント。
衛生要因によるモチベーションアップ効果は長続きしません。
給料がアップすると、一時的にモチベーションアップしますが、次第に慣れてしまいます。
再度モチベーションをアップしたければ、さらに給料をアップしなければなりません。
多くの企業で、給料アップし続けることは難しいでしょう。
競合他社の方が、賃金水準が高い場合もあります。
社員のモチベーションアップ方法は、動機づけ要因を刺激するのが望ましいのです。
もちろん、衛生要因も大切です。
衛生要因は、モチベーションを高め続ける効果は低いですが、社員のストレスを低減させるのに必要です。
衛生要因が悪化すると、ストレスが大きくなり不満につながります。
モチベーションは、不満を抱えた状態では上がりにくくなります。
衛生要因を整えた上で、動機づけ要因の刺激がもとめられます。
MPS(Motivating Potential Score)
MPS(Motivating Potential Score)とは、ハックマン=オルダムがモチベーションの高さを数値化する目的で開発した理論です。
MPSは、次の式で表されます。
MPS=(技能多様性+タスク完結性+タスク重要性)÷3×自律性×フィードバック
技能多様性とは、どれだけ多くのスキルを習得できるのかです。
タスク完結性とは、自分の仕事の全体像を、理解した上で行えているかです。
自分が何の部品を作っているのか、何の目的の作業をしているのか分からない場合は、低くなります。
タスク重要性とは、自分の仕事がどれだけ重要視されているかです。
責任ある仕事を任されるほど、やりがいを感じます。
自律性とは、自分が主体的にできる仕事ほど高くなります。
逆に、指示命令に従う範囲が広くなるほど低くなります。
フィードバックとは、上司や同僚、お客様からの反応が受け取れるかどうかによります。
ポジティブなフィードバックほど高くなります。
MPSは、「一つのことをやり続けることが好きな人」「指示されたことで動く方が楽な人」など、矛盾点は確かに存在しますが、わかりやすく表現されています。
重要なポイントは、「技能多様性」「タスク完結性」「タスク重要性」がどんなに高くても「自律性」「フィードバック」が0ならば、モチベーション(MPS)は0になります。
確かに、言われたことだけやれば良いのは、モチベーションが低くてもできるでしょう。
頑張って作成した資料を、上司が、当たり前のように無言で受け取ったらモチベーションが下がるでしょう。
具体的なモチベーションアップ方法
社員のモチベーションアップ方法の説明します。
重要なポイントは、独りよがりのモチベーションアップ方法にならないです。
社員が望んでいるモチベーションアップ方法か、コミュニケーションとりながら進めるのが大切です。
ストレス要因の排除
社員が不満を抱えている状態では、モチベーションは上がりません。
騒音のひどい職場で、モチベーションを高めろといわれても難しいでしょう。
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論から、社員の不満を取り除くために、「衛生要因」を改善しましょう。
職場環境の見直し、安全衛生の見直し、組織風土の改善を進めましょう。
認め合う組織風土をつくる
マズローの欲求段階説より、社員がモチベーション高く働く環境をつくるには、「承認欲求」を満たさなければなりません。
上司、同僚から、社員が行った仕事に対して、感謝などのフィードバックが必要です。
フィードバックは、MPSの観点からも大切です。
「認め合う」の反対は、「無視、否定、批判」です。
社員同士を競わせる組織風土も存在しますが、本当にモチベーションアップにつながっているか?チェックをオススメします。
自己実現欲求を支援する組織風土をつくる
せっかく自己実現欲求が高まり、モチベーションが高くなっているなら、それを支援する仕組みが必要です。
せっかくやる気を出しているのに、モチベーションを下げるような企業風土になっていたらもったいないです。
モチベーション高く仕事をしようとしているのに、上司、同僚が協力してくれないのであれば、モチベーションが下がるかもしれません。
成長を実感できる組織風土をつくる
自己実現欲求は、成長を実感するたびに強化されます。
テストの点数が徐々に上がっていく結果に、モチベーションが上がる人に似ています。
社内にいると、比較対象が少ない、相対比較されるなどから、自身の成長が見えにくくなります。
他者との比較ではなく、過去の自分と比較して、どれぐらい成長したのかを見える化できるとよいでしょう。
組織風土を変えるコミュニケーション能力の強化
モチベーションアップ方法はいろいろあるかもしれませんが、共通して言えるのがコミュニケーションです。
ストレス要因を排除するのもコミュニケーション、フィードバックもコミュニケーション、協力し合うのもコミュニケーションです。
モチベーションアップ方法は、社員から聴き出すことがもとめられます。
社員それぞれ、モチベーションの種が異なるからです。
モチベーションアップの土台として、コミュニケーションの質の良い企業風土を作ることが必要です。
社員全員のコミュニケーション能力の強化がもとめられます。
なぜなら、パワハラ、セクハラなど、コミュニケーション能力の低い社員がいると、組織の雰囲気を悪化させるからです。
特に役職の上位の社員から、優先してコミュニケーション能力の強化をはかってください。
【コラム】コミュニケーション能力が低いのは上司と部下のどちらでしょう?
社員のモチベーションアップ方法の注意点
リーダーにとって、社員のモチベーションマネジメントは、最も困難な仕事です。
さまざまなモチベーションアップ方法を試しては、あまり効果が上がらないと感じるかもしれません。
注意したいのは、モチベーションは「無理やり上げる」では無い点です。
モチベーションは、「自然と上がる」です。
モチベーションを上げさせようとしているのに、モチベーションが上がらないのは方法が間違っているからです。
モチベーションが上がらないのを「社員のせい」にしないも大切です。
「感謝しなさい」「ポジティブな言葉を使いなさい」「~しなさい」と言われてする行動自体、モチベーションが高くないです。
「睡眠をしっかりとりなさい」も、プレッシャーの多い職場では難しいかもしれません。
モチベーションが上がらないのは、リーダーの責任です。
社員のモチベーションをアップしたいなら、自然にモチベーションが上がる仕組みの導入が大切です。
それが当たり前の組織風土になったとき、モチベーションが高まる職場になっているでしょう。
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