ワークライフバランスとは~課題とメリット・デメリット~
御社のワーク・ライフ・バランスは進んでいますか?
大企業ならYes、中小企業ならNoと返ってきそうですね。
ワーク・ライフ・バランスの目的が、生産性向上としたらどうでしょうか?
生産性向上は、進んでいますか?
日本企業の生産性は、先進国の中では最下位です。
つまり、「日本企業の社員は、もっと働く時間を減らせるはず」といえます。
一方で、働き方改革で、「社員を休ませすぎ」との声も聞こえてきます。
「働く時間が長い、短い」のテーマだけで、「生産性改善」があまりテーマに上がらないのが気になります。
改めてワーク・ライフ・バランスについて説明します。
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【目次】 |
ワーク・ライフ・バランスがもとめられる理由
ワーク・ライフ・バランスが大切といわれて、何年も経過しました。
政府が働き方改革を強引に進めるなど、大切と言われながら全然進んでいない様子がみてとれます。
どうしてワーク・ライフ・バランスが大切なのか説明します。
ワーク・ライフ・バランスとは
ワーク・ライフ・バランスとは、内閣府のホームページに次のようにあります。
誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。
(出典:内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html)
ワーク・ライフ・バランスの言葉の通り、仕事と生活のバランスをとる取り組みです。
仕事ばかりだと身体を壊す、生活ばかりだと仕事が進まない、仕事と生活のちょうどよいバランスが大切です。
さらにいえば、「社員が健康的な方が、仕事がはかどる」「だからワーク・ライフ・バランスを整えよう」といった考え方があります。
ワーク・ライフ・バランスのメリット
ワーク・ライフ・バランスのメリットは、会社の業績の向上です。
会社の業績を向上させるには、社員のパフォーマンスを高めなければなりません。
商品開発、生産活動、販促活動など、すべての企業活動の生産性は社員のパフォーマンスにかかっています。
社員のパフォーマンスを、発揮しやすい環境を整えなければなりません。
「社員の健康」は、重要な要素となります。
ワーク・ライフ・バランスは、「社員の健康」の向上に重要なのです。
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ワーク・ライフ・バランスが進まない課題
会社の業績を高めるには、ワーク・ライフ・バランスが重要です。
しかし、日本の企業は、それほどワーク・ライフ・バランスが進んでいません。
大きな理由は、生産性が低いからです。
生産性が低いから、仕事の時間を減らしにくいのです。
ワーク・ライフ・バランスのデメリット
ワーク・ライフ・バランスのデメリットは、効果が現れるのに時間がかかる点です。
単純に仕事の割合を減らすと、業績が悪化します。
会社が業績の悪化に我慢できなくなり、また仕事の割合を増やします。
そして、ワーク・ライフ・バランスは失敗します。
仕事の割合を減らしても、業績が悪化しないようにする。
そのためには、少ない時間で多くの仕事がこなせるように、生産性を高めなければなりません。
日本企業が苦手とする分野ですが、ワーク・ライフ・バランスを進めるには、生産性改善が必須です。
政府が推し進めている働き方改革は、企業に対して強制的に生産性改善を促します。
ワークが先か?ライフが先か?
ワーク・ライフ・バランスの考え方は、ライフが充実するから、仕事のパフォーマンスが上がるとの考え方です。
しかしライフが充実して、仕事のパフォーマンスが上がるまで、時間がかかります。
それまでに経営が危うくなると考えて、ワーク・ライフ・バランスをあきらめます。
会社側の考えは「会社が存続してこそのワーク・ライフ・バランス」です。
ワーク・ライフ・バランスを導入して、会社の業績が悪化して、リストラや倒産が発生したら社員の生活(ライフ)がダメになる。
「だから仕事が優先」との考え方になりがちです。
確かに一理あります。
しかし、その考え方をしている限り、ワーク・ライフ・バランスが進まないでしょう。
ワーク・ライフ・バランスを実現する
ワーク・ライフ・バランスの導入ですが、企業としては待ったなしの状況になってきたと感じます。
一つは、国が働き方改革の導入、最低賃金のアップを進めています。
「生産性の低い会社は退場してもらう」ように動き出したように感じます。
もう一つは、人手不足の状況です。
日本は、人口減少傾向が止まりません。
ますます人手不足がひどくなるかもしれません。
ワーク・ライフ・バランスが整っていない会社は、人材採用に苦しむでしょう。
ワーク・ライフ・バランスの実現を、急ぐ必要があります。
働く目的をどう持たせるのか
ワーク・ライフ・バランスの課題は、「働く=悪い」と捉えられているように感じます。
働き方改革など、いかに「働く時間」を減らすかを導入する改革です。
社員側も、「できるだけ働く時間を減らしたい」と考える一方、「お金は欲しい」と考えます。
テレワークの導入が進んだら、逆に出社したくない社員が増えたともききます。
日本企業の生産性の問題は、時給制である点です。
真面目に仕事をしなくても、その時間会社にいたら給料がもらえます。
残業代のためだけに、無駄に仕事をするケースも見られます。
ワーク・ライフ・バランスを実現するには、「働く時間を減らす」だけに焦点が当たりすぎです。
「どうしたら社員がモチベーション高く働いてくれるようになるのか?」に、焦点を当てる必要があります。
「いかに楽して稼ぐか」から、「いかに効率よく仕事の目的を達成するか」の、価値観にチェンジする取り組みが大切です。
社員にも考えさせる
ワーク・ライフ・バランスの問題点は、「会社が勝手に決めた制度を、そのまま社員に押し付ける」です。
強制的に働く時間を減らされて、給料も減らされたら、社員のモチベーションは低下するでしょう。
上から強制的に従わされるようになると、社員は何を言っても仕方がないとなり、無気力になります。
働く時間を減らして人件費を削減する一方、売り上げなどの低迷につながる可能性があります。
改善策は、社員にもワーク・ライフ・バランスの取り組み方への参画です。
「働く時間が減ったら、給料も減るのでは?」といった社員の不安に対して、会社の誠実な対応が望まれます。
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チームワークの良い職場づくりを
ワーク・ライフ・バランスは大切といわれながら、なかなか進まない制度です。
ワーク・ライフ・バランスが進まない理由はさまざまです。
職場のチームワークも左右します。
ワーク・ライフ・バランスを導入するには、生産性の改善が必須だからです。
社員同士協力し合う職場と、社員同士足を引っ張りあう職場では、生産性が大きく異なります。
職場のチームワークを強化するには、コミュニケーションの質の改善が欠かせません。
コミュニケーションの活発な職場づくりを行い、ワーク・ライフ・バランスを実現しましょう。