ジョブローテーションの目的とメリット・デメリット

新型コロナウイルスの影響で人手不足の状態は落ち着いています。

しかし、日本は人口減少傾向にあるため、長い目でみれば人手不足の状態は継続すると考えられます。

 

 

社員が急に休職・退職すると大変です。

代わりになる人材がいない場合、事業が止まってしまう可能性があります。

 

 

中小企業では、熟練技術者が高齢化しています。

後継者不在により廃業に追い込まれる会社が現れています。

 

 

事業が止まるリスクを防ぐ方法として、ジョブローテーションがあります。

 

社員にいくつかの仕事を習得してもらい、一つの仕事を一人に依存しないようにします。

 

反面、一つ一つのスキルレベルが浅くなる可能性があります。

また、本人が希望しない場合もあります。

 

人的資源管理に活用するジョブローテーションのメリット・デメリットを説明します。

 

 

 

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【目次】

 

ジョブローテーション制度

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

ジョブローテーション制度がある会社、ない会社さまざまです。

中小企業ではあまりないかもしれません。

会社内でも部署によって有無がわかれています。

 

ジョブローテーションを説明します。

 

 

 

 

 

 

ジョブローテーションとは

ジョブローテーションとは、社員を定期的に部署を異動させる仕組みです。

社員にいろいろな仕事を経験してもらいます。

 

通常の人事異動は、会社の成長戦略に合わせて人材配置を行います。

対してジョブローテーションは、成長戦略よりも、リスク分散ゼネラリストの育成を目的に行われます。

 

 

 

 

 

 

ジョブローテーションの目的

ジョブローテーションによる人材育成の目的は次のようなものです。

・多くのスキルの習得

・適材適所の確認

・誰かが不在になったときもカバーできる人材を増やす(リスクマネジメント)

・技術承継、後継者育成

・将来幹部になるとき、多くの部署の仕事を理解している方が望ましい

・人的ネットワークの構築

・従業員満足度の向上

 

さまざまな仕事に対応できる社員の育成によって、会社に大きなメリットが現れます。

 

 

 

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ジョブローテーションのメリット・デメリット

コーチング・コミュニケーション

ジョブローテーションはメリットだけでなく、デメリットも存在します。

ジョブローテーションを導入するときは、デメリット面をどのようにカバーするか検討が必要です。

 

ジョブローテーションのメリット・デメリットを説明します。

 

 

 

 

 

メリット

ジョブローテーションのメリットは次のようなものです。

 

・社員のスキルの幅が広がる

・社員の人的ネットワークが広がる

・誰かが抜けても誰かがカバーできる体制ができる

・会社の全体像が理解できる

・マンネリ化を防ぐ

・いろいろな仕事を経験したい社員のモチベーションが上がる

 

 

 

 

 

デメリット

ジョブローテーションのデメリットは次のようなものです。

 

社員のスキルレベルが広く浅くなる

・異動したくない社員のモチベーションが下がる

 

人間関係も仕事の能力も広く浅くとなりがちです。

仕事の生産性が低く抑えられるかもしれません。

 

特定のスキルを高めたい意欲の高い社員のモチベーションを下げる可能性もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョブローテーション活用のポイント

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

ジョブローテーションの活用は、デメリットの理解が必要です。

何よりも会社の人的資源管理が大前提となります。

 

 

 

 

 

 

本人の希望との整合性

近年、社員の仕事に対する価値観が大きく変わっています。

会社の用意したレールに乗っかりたい社員もいれば、自身のキャリアプランをしっかり考えている社員もいます。

 

多くの知識やスキルを身に着けたいゼネラリストを希望する社員には、ジョブローテーションが有効です。

 

しかし、あるスキルに特化したスペシャリストになりたい社員にとっては、ジョブローテーションは迷惑です。

スキルレベルが広く浅くなるため、会社の生産性を低下させる可能性もあります。

 

 

スペシャリストの育成も行い、会社の生産性を高める仕組みとのバランスの調整が大切です。

 

 

 

 

 

 

人的資源管理が大前提

ジョブローテーションは、あくまでツールです。

 

経営戦略が存在し、その経営戦略を実現するために必要な人材をマネジメントする人的資源管理が存在します。

 

いつ、どのようなスキルを持った人材が、何人ぐらい必要なのか、大前提として存在します。

 

その人事戦略を達成する為に、社員を採用で強化するのか、育成で強化するのか、計画が必要です。

 

社員の休職、退職含めてリスクマネジメントも大切です。

 

その人的資源管理を達成するには、「ジョブローテーションが望ましいのか?」判断がもとめられます。

 

 

 

 

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本人のモチベーションが重要

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

ジョブローテーションの制度は昔から存在します。

それでも、特に効果が高いと耳にしません。

ジョブローテーションのデメリットは、社員を受け身にするかもしれません。

 

会社の指示通りに行動すれば良い環境を整えてしまうと社員のモチベーションは低下します。

 

 

人材育成は、社員のモチベーションが高さによって効果が変わります。

 

社員の要望に沿って人材育成の方法を柔軟に変える仕組みが望ましいです。

 

誰かに辞められると困るからジョブローテーションを導入するよりも、誰も辞めたくないと思うような会社にする方が大切です。