帰属意識とは~従業員エンゲージメントを高める方法~

少子高齢化、人口減少によって、日本人労働者は減少しつづけることが確実になっています。

 

だから、企業は優秀な人材を囲い込む必要があります。

しかし、人材は経営資源の中で最も入手が難しい資源です。

 

 

そこで、注目されているのが会社への帰属意識(従業員エンゲージメント)です。

帰属意識が高ければ、定着率の向上につながります。

定着率が高くなれば、組織の生産性が高まります。

組織の生産性が高まれば、企業業績が向上します。

 

 

帰属意識が大切な理由は、一旦、「社員の帰属意識がゼロだったら・・」を考えて見るとわかりやすいです。

 

社員が「この会社辞めたい」と思いながら働いていたら、仕事の成果や組織全体にどのような影響が発生するでしょうか?

 

 

帰属意識が重要だとは、多くの方が理解していますが、高める方法は難しいです。

帰属意識を高める要素と方法について説明します。

 

 

 

【コラム】モチベーションに社内表彰制度はいらない?

【目次】

 

帰属意識(従業員エンゲージメント)が業績を左右

ストレスケア

帰属意識が注目されているのは、人手不足問題や働き方改革など、少ない人員で、より大きな生産量を上げなければならない会社の事情です。

 

優秀な人材を囲い込んだ方が生産量が上がります。

 

しかし、優秀な人材を中途採用しようとすると、投資額が大きくなりがちです。

中途採用しても、より良い条件の会社に引き抜かれるかもしれません。

そのため、生産性が高まるとは限りません。

 

長期計画で、社内での人材育成が大切になっています。

 

帰属意識が求められる理由について説明します。

 

 

 

 

 

 

帰属意識とは

帰属意識とは「会社との契約とか約束事」のような意味ですが、従業員とのエンゲージメントは仲間意識のような意味で使われるケースが多いです。

 

Weblio辞書では「帰属意識」の意味は次のように紹介されています。

 

ある集団に自分が属している、その集団の一員であるという意識。企業や民族などさまざまな規模・単位について用いられる。

出典:Weblio辞書「帰属意識」:https://www.weblio.jp/content/帰属意識

 

帰属意識は「会社のため」「仲間のため」と忠誠心のように感じるかもしれません。

忠誠心を表すロイヤリティのような意味合いよりも、対等な関係である意味合いの方が強くなります。

 

 

従業員満足度と帰属意識の違いに着目する場合もありますが、区別する目的がよくわかりません。

従業員満足度が低いけど、帰属意識が高いという状況はあまりないと考えるからです。

 

帰属意識は、「他の会社ではなく、この会社に所属していたい」との気持ちの強さの表現の方が近いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

帰属意識がもとめられる背景

帰属意識が求められる背景は、人手不足の問題が存在します。

また、生産年齢人口の減少の問題も存在します。

 

企業は優秀な人材を囲い込んでおかなければ、欲しい人材の獲得が難しくなる可能性があるのです。

 

また、定着率の問題もあります。

優秀な人材に退職されてしまうと、同じレベルの人材を再度確保しようとすると時間も費用も必要になります。

確保できるまでの時間、大幅に競争力が落ち込みます。

 

 

優秀な人材の離職は会社の業績を左右するから、帰属意識がもとめられるのです。

 

 

 

【コラム】若手社員が連鎖退職する原因と対処方法

 

 

 

 

帰属意識を高める

従業員エンゲージメント

従業員の帰属意識を高める方法に、絶対的な方法は無いです。

 

今は帰属意識を高める課題が注目されているため、さまざまな支援サービスが存在します。

しかし期待した効果を上げているかはよくわかりません。

 

退職理由と職場のストレス要因はよく似ています。

職場のストレスによる精神疾患の労災申請は毎年増加しています。

 

健康経営を意識している三菱電機でさえも、ブラック企業大賞を2年連続受賞しました。

だから企業の取り組みが、本当に機能しているのかわかりません。

 

帰属意識を高めたいなら、職場のストレスや退職理由を解消しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

高める方法

帰属意識を高める方法は、帰属意識を下げる方法を考えるとわかりやすくなります。

帰属意識が低いと、退職につながります。

 

「従業員が退職する理由」を解消するような取り組みをすれば、帰属意識が高まります。

それでは従業員が退職する理由はどのようなものがあるでしょうか?

 

エン転職のアンケート結果によると次のようになります。

1位:給料が低かった
2位:やりがい、達成感を感じない
3位:会社の将来性に疑問を感じた
4位:人間関係が悪かった
5位:残業・休日出勤など拘束時間が長かった
6位:評価・人事制度に不満があった
7位:自分の成長が止まった・成長感がない
8位:社風や風土が合わなかった
9位:体調を壊した
10位:やりたい仕事ではなかった

 

(出典:「「退職理由」について|【エンジャパン】のエン転職-アンケート実施期間:2018年2月26日(月)~2018年3月27日(火)有効回答数:8,668名)https://employment.en-japan.com/enquete/report-43/

 

アンケートをとる主体によって、微妙に結果が異なりますが、多くはこのような結果になっています。

これらを解消すれば帰属意識が高まります。

 

「給料は上げられない」と感じるかもしれません。

「給料が高いか低いか」は個人の価値観に左右されます。

給料が低くても好きな仕事をしたい人は数多く存在します。

 

給料が低いと感じるのは、やりがいがなく割に合わないからです。

 

 

 

 

 

 

高める際の注意点

上記のアンケートもどこまで真実を表しているかわかりません。

退職の本音の理由ランキングなどで調査すると、「人間関係」が原因の上位にきます。

 

帰属意識を数値化するサービスなども存在しますが、帰属意識が低いにも関わらず、高く評価される可能性があります。

本音でアンケートに答えると、評価を下げられる恐れがあるからです。

 

 

帰属意識を高める際の注意点は一つ、「会社側の価値観、思い込みを一旦横に置いておく」です。

 

帰属意識を高める活動していたら、従業員の帰属意識が高まるだろうとの思い込みが逆に従業員の帰属意識を下げるケースがあります。

 

「こんな施策をしたら従業員はやりがいを感じるはずだ」は、考えた人の価値観です。

 

 

「残業を減らし早く退社できるようにしたら帰属意識が高まるだろう」と実施しても、もっと働きたい人にとっては不満になります。

 

働きやすさの条件は、人それぞれ異なります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰属意識と組織力強化

コーチング

帰属意識の強化は「ワンチームにする」、組織力強化と同じととらえます。

 

チームワークの良い組織、一体感が醸成された組織は、メンバーの協働意欲、帰属意識が高いです。

組織論の観点から、帰属意識を高める方法について説明します。

 

 

 

 

 

 

組織の3要素

組織の3要素とは、アメリカの組織論学者バーナードが提唱したものです。

 

組織は、「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つの要素があって初めて成り立ちます。

 

この「貢献意欲」は協働意欲とも呼ばれ、「この組織に協力したい」との意欲です。

帰属意識と同じです。

 

この「貢献意欲」は、魅力的な「共通目的」と活発な「コミュニケーション」があって、初めて高まります。

 

そのため、一体感のある組織には「共通目的」と「コミュニケーション」が重要になります。

「共通目的」を指し示す存在が「リーダーシップ」です。

 

これら3つの要素の強化で、組織力が強化されます。

 

 

 

 

 

 

リーダーシップとコミュニケーション

組織論を説明するとき、スポーツチームに例えるケースが多いです。

 

2019年ラグビーワールドカップ、日本代表が活躍しました。

流行語大賞にもなった「ワンチーム」、チームが一体になる様子を表現した言葉です。

 

スポーツチームが一体になるには「優勝!」のような魅力的な共通目的と、その想いを共有するコミュニケーションが必要になります。

一人ひとりがバラバラに行動していては、一体感は生まれません。

 

魅力的な共通目的に向かってチームをまとめるリーダーシップとコミュニケーションが重要になるのです。

 

帰属意識を高めるには、リーダーのコミュニケーション能力強化が必要です。

 

 

 

【コラム】チームワークの一体感を醸成するコミュニケーション方法

 

 

 

 

帰属意識アップに1on1ミーティング

コーチング・コミュニケーション

社員のモチベーションアップ、社員の帰属意識アップに1on1ミーティングの活用が広がっています。

 

1on1ミーティングの効果を高めるには、注意点が存在します。

 

 

 

 

 

 

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談です。

評価面談との違いは以下の項目になります。

 

目的:部下のモチベーションアップ、帰属意識アップ

頻度:週1回~月1回

方法:部下が主体的に話し、上司は聴き役に回る

 

 

頻度をあげて、部下の話を積極的に聴き、部下がやりがいを感じるように上司がサポートします。

 

1on1ミーティングは効果的な方法です。

しかし、誰がやっても帰属意識に同じ効果が得られるわけではありません。

 

 

 

 

 

 

コミュニケーション能力が効果を左右

1on1ミーティングは、上司のコミュニケーション能力に大きく左右されます。

 

部下の話の聴き役に回りますが、コミュニケーション能力の低い上司は、部下から本音を引き出せません。

 

部下自身の考えを聴いてもらえたとしても、何の効果が無い場合、「話しても無駄」と感じるようになってしまいます。

 

1on1ミーティングで、部下の帰属意識を高めるには、上司のコミュニケーション能力アップ、1on1ミーティングのスキルアップが欠かせません。

 

 

 

 

【コラム】傾聴力・質問力とは~コーチングスキルを活用したトレーニング方法

 

 

 

 

上司と部下のコミュニケーションを改善

コーチング・コミュニケーション研修セミナー

社員の帰属意識(従業員エンゲージメント)は、仕事に向き合う姿勢を左右します。

 

辞めたいと考えている社員の生産性は低くなりがちです。

企業は社員の帰属意識を高める取り組みがもとめられています。

 

帰属意識を高める目的で、近年、大企業を中心に、上司と部下の1on1ミーティングが行われています。

しかし、1on1ミーティングで成果を出せるかは、上司のコミュニケーション能力に左右されます。

 

コミュニケーション能力強化方法として、オススメするのがコーチング・コミュニケーションです。

コーチングを学ぶと、相手のモチベーションマネジメント方法を習得することができます。

 

弊社では、コーチング・コミュニケーション研修セミナーを実施しています。

帰属意識強化に、ご活用ください。