1on1ミーティングで話すこと~コーチングスキルの活用~
人口減少社会、同一労働同一賃金、新卒一括採用の廃止など、会社員の取り巻く環境は大きく変わってきます。
社員がモチベーション高く働く環境づくりが、ますます重要になっています。
「優秀な人材を社内で育成する」「優秀な人材を囲い込む」が、企業で大切になっているからです。
部下の育成に、1on1ミーティングという手法が広がっています。
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談のことです。
しかし、上司に1on1ミーティングのスキルが無いと、ただの雑談になってしまいます。
「何を話せばよいのか?」
部下と話すテーマに、悩む上司は多いようです。
1on1をやめたいとの話も耳にします。
1on1ミーティングは、よりコミュニケーション能力をもとめられます。
「通常の評価面談と同じ」「ただの雑談」「愚痴だけを聴く場」を避けなければなりません。
1on1ミーティングを効果的に行うために、コーチングスキルの活用をオススメします。
大切なポイントを説明します。
【コラム】コーチングの勉強方法~コーチングの資格は独学でも取得できる?
| 【目次】 |
導入が広がる1on1ミーティングとは
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大企業を中心に1on1ミーティングの導入が広がっています。
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談です。
1on1ミーティングで部下と「話すこと」に悩まれる上司は多いです。
普段行う評価面談などと、何が違うのか説明します。
目的
1on1ミーティングの目的は、「部下の成長」です。
「部下を評価」が目的ではありません。
「部下の考える力を養い、主体的な行動を促し、成長に結びつける効果」をねらいます。
また、「上司と部下のコミュニケーションの質の改善」の効果も期待できます。
質の良いコミュニケーションの機会を増やせば増やすほど、コミュニケーションが活発になってくるからです。
※逆に質の悪いコミュニケーションを増やすと悪化します
上司と部下の人間関係が改善すると、メンタルヘルスの問題、離職率の改善につながります。
1on1ミーティングは、部下を育成し、チームワークを強化するので、チームの生産性を高めます。
チームの成果を高めなければならない上司には、必須のスキルといえます。
進め方
1on1ミーティングの特徴は、頻度です。
1週間~1ヵ月に1回のペースで行います。
1回で効果は現れません。
高頻度で繰り返す必要があります。
また、上司と部下のコミュニケーションを密にするためでもあります。
1on1ミーティングの進め方については、ルールがありません。
コーチングセッションで活用されるGROWモデルに沿って行われるのが一般的です。
GROWモデルとは、次の単語の頭文字をとったものです。
Goal(ゴール)
Reality(現状)
Option(選択肢)
Will(意思)
1on1ミーティングの進め方の一例を紹介します。
1.前回のセッション後の行動の結果を確認する
2.今回話したいテーマを確認する
3.テーマについて、理想の状態(ゴール)を確認する
4.(ゴール)に対して、(現状)の確認をする
5.(ゴール)と(現状)のギャップを埋める施策(選択肢)を確認する
6.次のセッションまでにどの(選択肢)を行動するか宣言(意思)をしてもらう
1on1ミーティングは「行動につなげる」が重要です。
部下が行動しない限り、成長につながらないからです。
【コラム】傾聴力・質問力とは~コーチングスキルを活用したトレーニング方法
1on1ミーティングで話すこと
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1on1ミーティングの導入が広がっています。
実際は、どのように進めるか戸惑うケースも多いようです。
まず悩むのが「1on1ミーティングで部下と何を話すのか?」
評価が目的ではないので、部下が話したいテーマが主になります。
1on1ミーティングでは、上司は「聴き役に徹する」が重要です。
重要な点は、「部下は、何を話しても良い」です。
そして、「上司は、良い悪いの評価をしない」です。
例えば、「会社を辞めたい」という話であったとしてもです。
もし、「我慢するべき」などの評価をしてしまったら、「話しても無駄だな」と部下は話さなくなります。
「どうしてそう思った?」などと丁寧に話を聴き出します。
部下が主体となって話す
1on1ミーティングで「話すこと」は、部下が「話したいテーマ」を話をします。
なんでもOKですが、「成長」を目的としているところは意識した方が良いでしょう。
上司は、話さなくて良いです。
1on1ミーティングで話す内容はケースバイケースです。
できるだけ未来志向の話、「キャリアプラン、自己実現、どのような成長をしたいか」などをテーマにすると良いです。
できるだけ、仕事の打ち合わせとは区別した方が良いですが、絶対では無いです。
そして、愚痴大会になるのは避けたいところですが、部下自身のストレスは、吐き出した方が良いでしょう。
上司の柔軟な対応が望まれます。
「会社への不満、上司への不満、同僚への不満、なども話しても大丈夫」という環境を、いかに作れるかが大切です。
それができなければ、当たり障りのない雑談になります。
部下が不満を吐き出せず、メンタルヘルスでダウンするか、離職へとつながってしまう可能性が出てきます。
1on1ミーティングでは、「なんでも本音で話せる環境」を上司が作れるかが重要です。
上司はできるだけ話さない
1on1ミーティングで「話すこと」ですが、上司自身が悩む必要は無いです。
極端に言えば、何も話さなくても良いです。
ただ、視野を広げてあげるような「質問力」を発揮できると良いでしょう。
1on1ミーティングのスキルの無い場合、「沈黙」に戸惑うかもしれません。
「何話す?」と質問した時、「特に話したいテーマがありません」と言われたら戸惑うかもしれません。
また、上司は良かれと思って自分の知識や経験を教えてあげたがります。
1on1ミーティングでは、部下が話しながら、自分の考えをまとめていく時間です。
アドバイスに走ると、考える機会、話す機会を奪います。
考える機会を奪えば、部下の成長につながらなくなります。
1on1ミーティングの目的は、「部下の成長」です。
「成長」につながらないのであれば、1on1ミーティングになりません。
1on1ミーティングとコーチングスキル
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1on1ミーティングを行う上司は、コミュニケーションスキルがもとめられます。
ただの愚痴を聞く時間になってしまうと、上司自身のストレスが大きくなります。
かといって、アドバイスに走ると、「部下を黙らせる」状態になります。
1on1ミーティングの効果を高めるには、「聴く力」を強化が必須です。
コーチングスキルの活用
「聴く力」を強化する方法として、コーチングスキルのトレーニングをオススメします。
部下がストレスを抱えているようであれば、カウンセリングのスキルもあると良いでしょう。
コーチングスキルとは「傾聴」「質問」「フィードバック」で構成されるスキルです。
コーチングスキルを強化すると「聴く力」が強化されます。
【傾聴】
相手が安心して本音で話せる環境を整えます。
【質問】
相手の視点をコントロールして、視野を広げます。
【フィードバック】
相手に対して感じたことをそのまま返すことで、気づきを与えます。
これら3つのスキルを駆使して「相手が本音でたくさん話している状況」をつくります。
1on1ミーティングの効果を高めるには、コーチングスキルが欠かせません。
1on1ミーティングの課題
1on1ミーティングの課題は、上司の「聴く力」です。
さらには、上司と部下の信頼関係が最重要になります。
極端にいえば、部下から苦手と思われている上司は、すぐには効果が出せません。
部下が本音で話さないからです。
部下はメリットを感じない限り、本音で話しません。
1on1ミーティングでは、部下が本音で話すようになるまで、「焦らない」が大切です。
人間関係は、1日では改善しません。
時間がかかります。
お互い相手を「価値観が合わない」と思うと、それは態度に現れます。
1on1ミーティングする側は、メンタルの強さがもとめられます。
また、質問力も求められます。
視点を自由にコントロールできないと、ただの雑談と変わらなくなります。
1on1ミーティングの課題には、コーチングスキルのトレーニングをオススメします。
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コーチング・コミュニケーションを活用しよう
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1on1ミーティングを導入すれば、部下の成長が促されます。
その前に、上司と部下の信頼関係も構築されます。
部下の育成を強化したい上司には、オススメのスキルです。
組織力が強化され、生産性が高まります。
生産性の高い強いチームをつくれます。
チームワークを強化したい上司にとっても、オススメのスキルです。
しかし、効果は、上司のコミュニケーションスキルに左右されます。
1on1ミーティングで「話すこと」に悩む方が多いですが、実際はそれほど悩まなくて良いです。
・上司は話さない
・話すのは部下
この2つが基本になるからです。
おそらく部下が話してくれないから困るのでしょう。
上司は「聴く力」がもとめられます。
部下から、たくさん本音を引き出す力です。
「聴く力」の強化には、コーチング・コミュニケーションの活用がオススメです。
1on1ミーティングを活用するなら、「聴く力」を強化しましょう。