仕事の権限委譲と丸投げの違いとは
仕事を権限委譲しているのか?
仕事を丸投げしているのか?
上司の想いにかかわらず、どちらになるかは、部下の受け取り方次第です。
部下のモチベーションが下がっているなら、丸投げされたと感じているのでしょう。
社員の退職理由ランキングを調べると、「上司との人間関係」「評価されていると感じない」「与えられる仕事の質が悪い」などが上位に並びます。
上司の関わり方が、社員のモチベーションを下げ、退職の原因になっているのが確認できます。
上司のリーダーシップが組織を強くも弱くもします。
仕事の権限委譲と丸投げの違いを説明します。
【コラム】部下のモチベーションを下げるタイプの上司にならない
【目次】 |
丸投げor権限委譲
「丸投げ」されたか、「権限委譲」されたかは、仕事をまかされた部下がどう感じたかによります。
「どう感じたか」によって、部下のモチベーションは影響をうけます。
「丸投げ」されたと感じた場合は、モチベーションが下がります。
「丸投げ」は不満につながります。
「権限委譲」と感じれば、モチベーションが上がります。
やりがいや満足度が高まるとともに、仕事に対して責任感も生まれる効果が期待できます。
丸投げ
仕事を丸投げされたと感じる場合
・誰もやりたがらない仕事を任された
・自分もやりたくない仕事を任された
・上司から何の説明が無かった
・上司がめんどくさいからでしょと感じた
・仕事を完了しても評価されない
・仕事をしても成長につながるとは感じられない
以上が組み合わさると、丸投げされたと感じます。
モチベーションが大きく低下します。
権限委譲
権限委譲してくれたと感じる場合
・仕事の重要性を説明してくれた
・説明に納得ができた
・自分のキャリアにプラスになる
・自分自身もやってみたかった仕事
・感謝などのフィードバックがあった
以上が組み合わさると、権限委譲と感じます。
権限委譲してもらえると、部下のモチベーションは大きく上昇します。
【コラム】部下が退職を決意する前にモチベーション低下の理由に気づく方法
リーダーシップとは
リーダーシップとは、チームの進むべき方向を示し、部下のやる気を引き出し、ひっぱっていく力です。
方向を部下と共有するために、コミュニケーション能力がもとめられます。
リーダーの役割
リーダーの役割は「チームの成果の最大化」です。
リーダー1人では成果を出せません。
部下がどれだけ頑張ってくれるかによって成果が変わります。
リーダーの役割とは、成果を出す組織づくりともいえます。
組織づくりに必要なリーダーシップは、組織の進むべき方向性を示し、それを共有し、モチベーションを引き出すことです。
状況に合わせて柔軟に判断できる意思決定力と、部下をひっぱるコミュニケーション能力がもとめられます。
権限委譲ができるリーダー
組織力を発揮しないと成果が出ません。
仕事の範囲が大きくなると役割分担が必要です。
全てをリーダーが決めていたら、経営スピードが落ちます。
1件当たりの意思決定にかけられる時間も短くなるので、意思決定の精度も落ちます。
「意思決定のグレシャムの法則」をご存知ですか?
日常のルーチンワークに忙殺されて、大切な意思決定が後回しになる問題をいいます。
権限委譲ができないリーダーが陥りやすい症状です。
意思決定のスピードと精度を上げるには、意思決定の権限を部下に振り分けなければなりません。
「自分がやった方が早いから」と権限委譲ができないと、生産性の向上に限界がきます。
リーダーには、権限委譲する力がもとめられます。
権限移譲できる組織づくり
丸投げではなく、権限委譲ができるには、部下育成の仕組みも必要です。
リーダーが権限委譲できずに仕事を抱え込むのは、責任の大きい仕事を任せるのが怖いからです。
責任が大きい仕事を任せないと、部下も成長できません。
権限移譲できないと、いつまでたっても成長しないチームになります。
業績を向上させる組織づくりに大切な基礎知識を説明します。
組織の三要素
リーダーの役割は「組織をつくる」です。
組織の構成要素に、アメリカの組織論学者バーナードが提唱した組織の3要素があります。
組織を強化する方法は、組織の3要素を強化するです。
組織の三要素とは次の3つです。
・共通目的
・協働意欲
・コミュニケーション
中でも共通目的とコミュニケーションが重要です。
まず組織のメンバーに組織の目的の共有が必要です。
共通目的が浸透していないと、組織が一丸となれません。
共通目的を浸透させるには、コミュニケーションが必要です。
共通目的を最短での達成には、どのような組織体制をつくるのか決めなければなりません。
組織体制が決まれば、仕事の分担が必要です。
それが権限委譲です。
権限委譲にはコミュニケーション能力
権限委譲ができない理由は、部下のスキルに不安があるからです。
仕事をまかせるのが不安だから、権限委譲できない。
誰にでもできる手間のかかる仕事を部下に丸投げします。
誰でもできる仕事をしていたら部下のスキルは向上しません。
部下のスキルが向上しなければ、組織力も成長しません。
改善に必要なのはコミュニケーションの強化です。
部下のスキルについて不安なら、確認すればよいのです。
部下とコミュニケーションをとり、状況がわかれば、できる範囲で権限委譲すればよいのです。
この繰り返しでスパイラルアップしていきます。
部下からスキルや考え方、価値観を引き出すには、「聴く力」が必要になります。
「聴く力」強化にはコーチング・コミュニケーションをオススメします。
【コラム】チームワークの一体感を醸成するコミュニケーション方法
リーダーにもとめられるコミュニケーション能力
組織での仕事は、役割分担が大切です。
全員が協力して仕事を行うには、質の高いコミュニケーションが必要になってきます。
コミュニケーションの質によって、仕事を振られた部下は、権限委譲されたと感じるか、丸投げされたと感じるかわかれます。
生産性との関係
チームの仕事の生産性高めるのに、何を重視していますか?
多くの場合、部下の「仕事のスキル」だけを重視しているリーダーが多いように感じます。
実際は、部下の「仕事のスキル×コミュニケーション能力」で決まります。
どんなに仕事のスキルがあっても「上司の指示を聴けない」「報連相ができない」では、仕事が進みません。
どんなに画期的なアイデアがあっても、それを誰かに伝えられなかったら、アイデアが無いのと同じです。
コミュニケーションは通信です。
通信速度によって、仕事の生産性が変わります。
聴く力
コミュニケーション能力を高めなさいと言われると、大概の人が「話すのを上手くなろう」とします。
スピーチやプレゼンテーション、交渉力などを磨きます。
「聴くのを上手くなろう」が抜けるのです。
「聴く力」が無いと、部下を理解しようとする力が弱くなります。
部下の考えを理解せずに仕事を振るから、丸投げされたと感じるのです。
「コミュニケーションは相手の理解できる言葉でおこなう」が基本です。
アメリカ人とコミュニケーションとりたいなら英語で話す。
子どもとコミュニケーションとりたいなら子どもにもわかる言葉で話す。
部下とコミュニケーションとりたいなら、部下の仕事の理解度や希望の仕事を理解する必要があります。
相手を理解する力が「聴く力」なのです。
「聴く力」は、部下からコミュニケーションを引き出す力です。
権限委譲を行うには、リーダーの「聴く力」強化が必要です。
【コラム】仕事のコミュニケーション能力を高める方法~聴く力を強化する~
権限委譲しやすい組織づくりを
権限委譲してくれる、丸投げされた、部下がどう受け取るかは、リーダーとの関係性が大きく影響します。
リーダーが権限委譲できないのは、まかせたことによって発生する問題への恐れです。
権限委譲するには、自信もって権限委譲できる部下の育成が大切です。
権限委譲できる部下を育てるには、少しずつ権限委譲を行う必要があります。
部下は、より難しい仕事へのチャレンジがない限り成長しません。
チャレンジには失敗がつきものです。
だからリーダーは権限委譲した部下の失敗を受け止める力が必要です。
権限委譲しない⇒成長しない⇒権限委譲できない⇒成長しない⇒・・・
の負のスパイラルに入り込むと、ずっと権限委譲できなくなります。
権限委譲をすすめるためには、部下との密なコミュニケーションが必要です。
密にコミュニケーションを取るには、コミュニケーション能力、聴く力の向上が必要です。
権限委譲を進めるためにも、コミュニケーション力向上の取り組みを行ってください。