人事評価制度の作り方と社員のモチベーションアップ方法
中小企業では、人事評価制度が整備されていないところが、まだまだ多いです。
これから作成する中小企業のために、「人事評価制度を作成する大切さ」について説明します。
給与制度も年功序列であったり、社長の一存で決めているなど、決定方法がブラックボックスになっている事例も多く存在します。
人事評価制度は、社員のモチベーションアップの向上につなげるような設計が望ましいです。
人事評価制度の作り方について。
人事コンサルタントや社会保険労務士に依頼するケースが一般的です。
しかし、企業が主体的に制度作成にかかわることが大切です。
人事評価制度が無いために発生するデメリットや、改善点などについて紹介します。
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【目次】 |
人事評価制度がもとめられる理由
人事評価制度が無い会社も多く存在します。
社員数が少なく、固定されているなら、それで構わないかもしれません。
しかし、今後、社員の出入りが流動的になり、社員数が増えてくると、さまざまな問題が発生します。
社員のモチベーションアップにも、人事評価制度は大切です。
人事評価制度がない原因による問題
人事評価制度がない場合、次のような流れを生む可能性が存在します。
「給与に納得できていない⇒評価されていると感じない⇒やりがいを失う⇒メンタルヘルスの問題か退職」
このような流れを生み、社員のモチベーションを低下させ、その結果、社員の離職率を高める可能性があります。
社員の退職理由に「評価されていると感じない」が常に上位がきています。
社員が「評価されている」と感じるような仕組みづくりが重要です。
人事評価制度の作り方について
従業員が、納得のいくように評価制度を作っていく取り組みが大事になってきます。
社員のモチベーションを高める人事評価制度がテーマになっています。
会社ごとに、組織風土にあった人事評価制度の作り方を工夫する必要があります。
人事評価制度の作成支援する会社も多いですが、作り方はさまざまです。
「この人事評価制度を取り入れたら完璧な状態になった」は、聞いたことがありません。
一度作成して、使いながらブラッシュアップする仕組みづくりが必要です。
「完璧なものが作れたら実施する」では、いつまでも着手ができません。
人事評価制度の作り方は、まずは専門家を何人か選んで相談してみましょう。
本やインターネットで調べるよりも、専門家に教えてもらった方が早いです。
しかし、専門家ごとにアドバイス内容が異なる可能性が高いです。
複数の専門家に相談してみることが大切です。
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評価方法のポイント
評価方法についても、絶対的な正解がありません。
目標管理制度の導入も広がっていますが、デメリットもあり、採用をやめる会社も増えてきました。
また、同一労働同一賃金も始まります。
正社員、非正社員の評価の統一が大切です。
運用方法を間違えると、社員のモチベーション低下につながります。
目標管理制度
目標管理制度を設計する上で大切なポイント。
どんなステップで、社員が成長してほしいかを描くことが大切です。
新入社員として入って、3年目にはどのようになってほしいのか
主任とはどのような能力を持っている人なのか
課長は?部長は?・・・
ほしい人材像を設計し、そのレベルの人材に「なりたい」気持ちを高めるような評価制度に設計します。
それまでの各ステップを、3段階にわけるなど細分化して、どのようなスキルが身に付いたら、上位のランクに上がるのか明確さが必要です。
何を頑張れば良いのか目標が明確になり、現在どこまで成長できたのかが見える化されると、社員のモチベーションアップにつながります。
同一労働同一賃金制度
営業、研究職など、職種によっても異なります。
キャリア変更などを考えると、共通部分と職業別部分に分けておいた方が良いかもしれません。
日本は能力給が採用される傾向ですが、今後は欧米と同様、仕事給の傾向が強くなるかもしれません。
事務職と研究職では、ベース賃金が異なるようにします。
同一労働同一賃金が採用されると、レベルごとに仕事の内容、責任を変化させておくと、同じ研究職でも、担当している仕事が違うと区別できます。
それでは、事務所の清掃など、誰でもできるけど、誰かがやらないといけないような仕事は、どう評価するのか課題がでてきます。
事務職の方も同様です。
給料が相対的に低いと、モチベーションが下がるかもしれません。
仕事の難しさと責任の度合いから、給料が決まる点を社員が納得できる制度設計が大切です。
人事評価の課題
人事評価の課題として、今後大きくなってくるのが、シニア層や外国人の評価です。
モチベーションアップ方法は、大きな課題です。
シニア層の評価
これからの人事評価制度で、大切になってくるのがシニア層の評価です。
再雇用になると、同じ仕事を、低賃金で続けなければならないので、かなりモチベーションが下がります。
モチベーションが下がると、その賃金分の仕事しかしないように、能力を抑える可能性がでてきます。
また、シニア層は給料が上限に張り付いているので、これ以上頑張っても給料増える期待が無い、頑張らなくても減らないって状態になるときが存在します。
そうなったシニア層は、仕事を頑張らなくなります。
そんな頑張ってないのに、給料を多くもらってるシニア層を見て、若い世代は不公平感を感じ、やりがいを失います。
たびたび老害と呼ばれるケースもあります。
この世代の人事評価制度を、どのように作るかが大切です。
逃げ切り世代と言われる社員たちのモチベーションを、いかに高めるかが課題です。
定年制度のさらなる繰り下げがあるかもしれません。
シニア層の方の評価項目に、後輩の育成を加えるのも大切です。
特に中小企業の場合、職人気質のシニア職員が、後輩を育てない課題も存在します。
会社がどのような成果を望んでいるかを、評価制度に盛り込みましょう。
外国人の評価
外国人の評価も、日本人とあわせることが大切です。
技能実習生の問題がクローズアップされていますが、安い人材として扱っているとみられると企業の信頼を失います。
今後、日本人の生産年齢人口の減少により、ますます、外国人人材の採用が増えてくるでしょう。
近年、日本の賃金が上がらない問題により、日本で働く魅力が低くなってきます。
外国人人材にとっても、魅力的な会社である必要がでてきます。
だからこそ、外国人人材のモチベーションアップにつなげるには、日本人と外国人を区別せず、同等に評価する人事評価制度を導入するのが望ましいです。
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コミュニケーション能力の強化が大切
人事評価制度の作り方も大切ですが、できてからの方がもっと大切です。
上司と部下の関係性です。
どちらかと言えば、人事評価制度の作り方よりも重要です。
上司の関わり方で、部下のモチベーションが大きく左右されるからです。
上司のコミュニケーション能力の強化が望まれます。
コミュニケーション能力が求められる理由
上司のコミュニケーション能力が求めれる理由は、正しく評価するためです。
部下の能力を引き出せるかどうかは、上司のコミュニケーション能力の高さに左右されます。
「上司の指示には、絶対的に従うものだ」との考え方は、部下には通用しません。
上司のコミュニケーション能力が低く、部下を上手に活用できない場合。
上司は、部下の評価を低く判定する可能性があります。
部下を正しく評価するには、上司のコミュニケーション能力強化がもとめられます。
聴く力の強化がポイント
コミュニケーション能力強化といっても、指示命令の「話す力」ではありません。
「聴く力」です。
「聴く力」が無いとは、情報収集する力が無いのと同じです。
少ない情報で評価すると、「全員真ん中ぐらいの評価で落ち着ける中央化傾向」や「一つの特徴で全体を評価するハロー効果」の壁にぶつかります。
上司は、聴く力を強化する必要があるのです。
聴く力を強化するには、1on1ミーティングやコーチング・コミュニケーションのトレーニングを行いましょう。
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社員のモチベーションアップにつながる人事評価制度を
人事評価制度が無い会社は、できるだけ早い段階で、制度を整えることをおすすめします。
なぜなら、作ろうと思ってすぐにできる制度ではないからです。
そして、モチベーションアップなど効果が現れるのは、さらに先になります。
作成方法がよく分からない場合は、社労士さんなどに相談してください。
いろいろなアドバイスや提案をしてくれます。
ただし、教科書的になりがちなので、注意してください。
また経営者側が一方的に作成し、社員に押し付けると逆にモチベーションを下げる可能性が存在します。
社員とコミュニケーションを密にしながら設計するのが望ましいです。
会社内のコミュニケーションの活性化にも取り組みましょう。
弊社では、社内のコミュニケーション活性化をサポートしています。
ぜひご活用ください。