部下のモチベーション低下の理由~退職の決意前に気づく~
日本は、少子高齢化により労働人口が減少することが確実です。
実際に人材不足倒産は、増加傾向にあります。
毎年のように、人材の定着・育成の課題が大きくなると予測されます。
優秀な人材の確保できているかが、企業の成長に大きな影響を与えるからです。
優秀な人材に退職されると、それだけ損失が発生します。
そのため、社員の定着率アップは、企業にとって大きな課題です。
そして、部下の離職を防ぐのは、管理職の大きな役割です。
管理職として、マネジメント能力があるかどうかの判断材料にもなります。
部下から「退職します」と聞かされたら、ショックを受けるでしょう。
しかし、「退職する」には、それなりの理由があるはずです。
部下にとっても、退職は大きな決断だからです。
多くの場合、そこから必死に説得をしても、一旦大きな決断を固めた部下の気持ちは、なかなか変えられません。
退職の決意を固める前に、上司の「気がつく」がもとめられます。
チームの戦力である部下にやめられると、大きな痛手をうけます。
チームの生産性が落ち込むという問題の他に、チームの雰囲気が悪くなる恐れもあります。
最悪、「それなら私も」と連鎖的に退職が発生するかもしれません。
退職の決意に至る「モチベーション低下の原因」を知る方法について、説明します。
【目次】 |
部下の退職理由がわからない
部下に退職される上司の悩みは、「どうして止められなかったのか」でしょう。
退職の決意の前に気づけなかったことです。
退職の相談に来るときには決意している
多くの場合、部下が上司に退職の相談をするときは、転職先が決まってくる状況が多いです。
会社に不満を感じるようになってから、上司に相談無く転職先を探し始めます。
転職先が決まってから、安心して上司に相談しにきます。
それは、上司を信用してないからでしょう。
「もう少し我慢してくれ」というだけで、何も改善できない上司が多いからではないでしょうか。
相談に来ないのは信用していないから
上司に相談したら、「我慢しろ」との説得や、転職活動を阻止するような行動をされると考えるのでしょう。
上司に相談したらデメリットしかない、もしくは無駄に終わると考えるから相談しないのです。
相談がないから、上司は退職の確定まで部下の気持ちに気がつけません。
退職を防ぎたいなら、転職活動前に「気づくこと」が大切です。
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
退職を決意する前に「気づく」が重要
退職を防ぐには、「部下の様子に気づくこと」が大切です。
気づけないのは、普段からコミュニケーションがとれていないからです。
多かったとしても、当たり障りのない質の低いコミュニケーションになっているからです。
気づくためには、普段から仕事の不満など、本音でやりとりできるコミュニケーションが大切です。
部下と積極的にコミュニケーションをとり、モチベーションの確認が重要です。
しかし、後述しますが、コミュニケーションをとる前の準備も必要です。
部下のモチベーションをチェック
上司は、部下がどのようなモチベーションで、仕事に取り組んでいるか常にチェックすることが必要です。
イキイキ働いているのか、仕事にストレスを抱えながら仕事をしているのか。
仕事の取り組み姿勢の変化に「気づくこと」が大切です。
無関心であれば、気づけないでしょう。
普段から、どれだけ関心を持ってコミュニケーションをとっているかにかかっています。
部下とのコミュニケーションを密に
部下の変化に気づくには、質の良い密なコミュニケーションが大切です。
ただ単に、コミュニケーションを密にすれば良いのかというとそうではありません。
部下が本音で話しやすい環境を整える必要があります。
上司がいつも否定、批判するタイプであれば、いくらコミュニケーションをとっても本音を見せません。
そのような上司の場合、コミュニケーションをとろうとすればするほど、逆に部下のモチベーションが下がります。
部下が気軽に上司に相談できる関係性の構築が大切です。
日ごろから、相談に来てもらえる関係性を作っていれば、部下のモチベーションの変化に気づきやすくなるでしょう。
部下のモチベーションマネジメント
上司が部下の退職決断の前に「気がつく」は難しいです。
日ごろから、部下のモチベーションマネジメントが重要になってきます。
部下のモチベーションを下げない
まずは部下のモチベーションが下がるようなストレス要因を取り除く施策が大切です。
ストレス要因とは、以下のようなものです。
・仕事の質が悪い
・仕事の量が多すぎる
・対人関係の悪化
・仕事の失敗、責任
・地位、役割の変化
・会社の将来性
(参考:厚生労働省「平成 29 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_gaikyo.pdf)
これらのストレス要因の改善が重要になります。
部下のモチベーションを上げる
部下の退職意欲が高まらないようにするには、今の仕事にモチベーションが高まるような施策が大切です。
対処方法は、ストレス要因を逆転させるです。
主なものは、次のような施策になります。
・仕事の質を高める(やりがいを感じさせる)
・チームの人間関係を良くする
・会社の将来性を期待させる
以上のような施策で、モチベーションを高めます。
【コラム】リーダーシップの要素~コミュニケーション能力と組織づくり~
1on1ミーティングなどを活用
部下の意図しない退職は、チームにダメージを与えます。
チームの雰囲気を悪化させる、チームの生産性を悪化させるかもしれません。
採用にかかったコスト、育成にかかったコストを、全て他の会社に取られてしまいます。
部下の意図しない退職は、上司の責任です。
人材の管理も含めて、マネジメントは上司の仕事だからです。
多くの場合、「部下が悪い」「運が悪い」といった、上司の愚痴を聞かされます。
しかし、どんな言い訳をしても、ビジネスの世界は、結果が全てです。
チームの生産性が低下したなら、上司のマネジメントの責任です。
だから、上司は部下のモチベーションマネジメント力を強化しなければなりません。
職場のストレス要因、社員が退職する理由で、常に上位にあるのが「上司との人間関係」です。
上司は、「部下のモチベーションを高める上司」になることが大切です。
「部下のやる気を無くさせる上司」になってはいけません。
そのためには、上司のコミュニケーション能力の強化がもとめられます。
近年は、部下とのコミュニケーションを密にする目的で、1on1ミーティング、コーチングなどが活用されています。
1on1ミーティング、コーチングも大切なポイントは、どちらも高いスキルが必要ということです。
最近、1on1ミーティングが苦痛という部下の感想がニュース記事としてありました。
それは、関係性の悪い上司から1on1ミーティングやコーチングをされるからでしょう。
まずは良好な関係を築けるようにすることが最優先です。
そして、日ごろからコミュニケーションを密にして、モチベーションの変化に気づくようにしましょう。