部下のやる気を引き出すコミュニケーション方法

人事評価制度

アベノミクス効果により、好景気が継続する中、優秀な人材を確保しようと企業同士の人材獲得競争が激しさを増しています。そのため、人材確保のための費用が高騰しています。これ以上人件費をあげることが苦しい中小企業にとっては、大きな問題のひとつです。加えて、社員の離職率改善も課題となっています。

優秀な人材の採用や獲得が難しい中、社員の離職を止めるように社内で取り組みが必要とされています。ここでは、上司が部下のモチベーションアップをマネジメントする方法について説明します。

【モチベーションマネジメントのためのコーチングスキル】

【目次】

 

部下のモチベーションが経営課題

コーチング・コミュニケーション

モチベーションとは、日本語で表現すると「意欲」「動機」「やる気」などといった言葉で表現されます。近年、社員のモチベーションが会社の経営課題になっています。

社員のモチベーションが会社の業績に大きな影響を与えるからです。そのため、部下のやる気など、モチベーションをマネジメントすることが、上司の大きな役割となっています。

 

モチベーションアップが求められる理由

社員のモチベーションアップが求められる理由として、以下のようなメリットがあげられます。

・モチベーションの低い社員に比べて、作業の処理スピードが速くなる
・課題にぶつかっても自ら解決しようと努力する
・チームメンバーへの気遣いができる
・指示待ちにならず、主体的に行動する
・離職する可能性が減少する

これらのメリットは、モチベーションの高さと相関して強くなります。つまり、「モチベーションが高ければ高いほど、生産性が高まる」ということになります。結果的に会社の業績アップにつながるため、社員のモチベーションアップが求められているのです。

 

モチベーションを下げる要因

社員のモチベーションを下げてしまう要因については、「社員が退職する理由」から読み取ることができます。会社の仕事に対して、モチベーションが下がりきった結果「退職という決断に至る」と考えられるからです。

参考に、リクナビネクストが行ったアンケート「退職理由の本音ランキング」を紹介します。以下のようなランキングになっています。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

(出典:リクナビネクスト「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/)

ランキング結果より、上司の関わり方が部下のモチベーションを下げる要因になっていることが分かります。言い換えると、「上司の関わり方次第で、部下のモチベーションを高めることができる」と、考えられます。

【モチベーションマネジメントのためのコーチングスキル】

 

 

部下のモチベーションをマネジメントする

コーチング・コミュニケーション

企業内では、部下のモチベーションは、上司がマネジメントすることが求められています。部下と直接関わるのが上司であり、上司の関わり方が、部下のモチベーションに大きな影響を与えるからです。

チームメンバーに一人でも、モチベーションの低い人材が存在すると、他のメンバーのモチベーションを下げるなど悪影響を及ぼします。モチベーションマネジメントが、上手く機能するとチーム全体のモチベーションを高めることができます。

 

モチベーションマネジメントとは

モチベーションマネジメントとは、会社の生産性を高めるために、社員のモチベーションを高める目的で管理することです。社員のモチベーションを高める施策を行う上で、重要なポイントは「社員の『やりたい』という気持ちを引き出す」と「社員それぞれ『やりたい』の対象が異なる」の2つです。

社員は、会社や上司から「やる気を出しなさい」と言われても、モチベーションは高まりません。社員自ら「やりたい」という気持ちを引き出すことが大切です。しかし、何に対して「やりたい」気持ちになるかは、社員それぞれ異なるため、何に対してモチベーションが高まるのか、コミュニケーションを密にすることが重要です。

 

モチベーション理論について

モチベーションを高める方法について「具体的にどうすれば良いのか」、昔から多くの研究がされてきました。数あるモチベーション理論の中から、わかりやすい「マズローの欲求段階説」と「ハーズバーグの動機づけ-衛生理論」について説明します。

 

マズローの欲求段階説

マズローの欲求段階説とは、「人の欲求は5つの階層に分かれていて、下位の階層の欲求が満たされると、その上位の欲求を満たすモチベーションが高まる」とされています。5つの階層は、下位から順に次のようになっています。

第1階層:生理的欲求
第2階層:安全欲求
第3階層:社会的欲求
第4階層:尊厳欲求
第5階層:自己実現欲求

「生理的欲求」と「安全欲求」は、生きるための欲求です。「社会的欲求」は、会社などに所属したい、仲間になりたいという欲求です。会社が求めるモチベーションの高い状況は、社員が自ら成長したいという「自己実現欲求」が高まっている状態に該当します。

「自己実現欲求」が高まるためには、下位の「尊厳欲求」まで満たされた状態にする必要があります。「尊厳欲求」が満たされている状態とは、上司や同僚から認められているという状態です。

 

ハーズバーグの動機づけ-衛生理論

ハーズバーグの動機づけ-衛生理論とは、「人の不満足を解消する要因」と「モチベーションを高める要因」は別物とする理論です。人の不満足を解消する要因は「衛生要因」と呼び、人のモチベーションを高める要因を「動機づけ要因」と呼びます。

【衛生要因の一例】
・給料
・福利厚生
・職場の設備などの環境
・労働条件
など

【動機づけ要因の一例】
・達成
・承認
・成長
・やりがいのある仕事
など

「衛生要因」は悪化すると不満足につながります。良くするとモチベーションを一時的に高める効果はありますが、持続性がなく、次第に慣れてきます。モチベーションを高めるためには「動機づけ要因」を刺激することが大切です。

【モチベーションマネジメントのためのコーチングスキル】

 

 

モチベーションを高める方法について

コーチング・コミュニケーション

モチベーションを高めるための方法について、「モチベーション理論」からヒントを得ます。マズローの欲求段階説から「尊厳欲求」を満たす方法について説明します。ハーズバーグの動機づけ-衛生理論から「動機づけ要因」を刺激する方法について説明します。

 

尊厳欲求を満たす

マズローの欲求段階説から、主体的に行動できるようにするには、「尊厳欲求」を満たす必要があります。「尊厳欲求」とは「承認欲求」ともよばれ、「認めてもらいたい」という欲求です。

「承認欲求」が満たされていない状態とは、「否定・非難される」「無視される」という状況です。「失敗に対して、すぐ怒る」を繰り返していると、社員は怒られることを避けて消極的になります。

「承認欲求」を満たすためには、成功失敗に関わらず「行動したこと」を認めることが大切です。多くの上司が失敗したことに対しては叱りますが、正常に処理したことは「当たり前」と判断して、「褒める」などして相手を認める行為をとりません。

「叱る」が禁止ではありません。しかし「叱る」が多くなりすぎると、社員を消極的にしてしまいます。「叱る」だけでなく「認める」など、バランスが大切です。万が一失敗した場合でも、チャレンジすることに対して認めてもらえるようになれば、社員は安心して主体的に行動するようになります。

 

動機づけ要因を刺激する

ハーズバーグの動機づけ-衛生理論から、社員のモチベーションを高めるには、「動機づけ要因」を刺激する必要があります。

・達成感を与える
・やりがいの仕事を与える
・昇進させる
・権限と責任を与える

これらを仕組みとして取り入れることで、社員のやる気、モチベーションが高まります。同時に認められているという「尊厳欲求」も満たされます。

大切なことは、何を達成したいかは、社員それぞれ異なるということです。社員それぞれの異なる「動機づけ要因」を確認し、刺激する手法として、近年注目されているのが、1on1ミーティングです。1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談のことで、尊厳欲求を満たし、部下のやりがいを引き出すコミュニケーションのことをいいます。

【モチベーションマネジメントのためのコーチングスキル】

 

 

上司と部下のコミュニケーションの質を改善する

コーチング・コミュニケーション

社員のモチベーションがアップするかは、上司の関わり方次第です。部下のモチベーションを高めるためには、「部下がどのようなことに対してモチベーションが高まるのかを確認すること」です。また、部下の仕事に対する承認など、「上司が部下とのコミュニケーションの質を改善すること」が大切です。

まずは、上司が部下の話を聴く機会を増やす仕組みづくりから始めましょう。

【モチベーションマネジメントのためのコーチングスキル】