ハーズバーグの動機づけ・衛生理論とは~人材育成活用法~
モチベーション理論の一つ、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論を説明します。
数多く存在するモチベーション理論の中、とてもシンプルでわかりやすい理論です。
言われてみると納得できる内容だと思います。
問題は、「納得できても、本当に人材育成に活用できるのか?」です。
世の中には、モチベーションアップ方法があふれています。
インターネット上にも、本屋にも数多く存在します。
それにもかかわらず、多くの会社で社員のモチベーションアップに悩んでいます。
理論を、実務にどのように活かすかの方法が大切です。
【コラム】公平理論とは~社員のモチベーションマネジメント方法~
【目次】 |
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論とは
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論は、二要因理論とも呼ばれるモチベーション理論の一つです。
アメリカの臨床心理学者ハーズバーグによって提唱されました。
人のモチベーションを左右する要因は、大きく分けて「動機づけ要因」と「衛生要因」に分かれます。
人のモチベーションを引き出すなら、動機づけ要因が重要とする理論です。
動機づけ要因
動機づけ要因とは、人から「もっとやりたい」という気持ちを引き出させる要素です。
動機づけ要因の例
・達成感
・やりがい
・承認
・責任
・権限
・仕事内容
その仕事に対する充実感、プライドなどを刺激する要素です。
子どものころ、できたことを褒められて、さらに頑張ろうと思った経験は無いでしょうか?
人が主体的に行動するには、この動機づけ要因の刺激が必要です。
衛生要因
衛生要因とは、人に安心感や満足感を与える要素です。
逆に、不満を生みやすい要素です。
衛生要因の例
・給料
・福利厚生
・職場の安全衛生
・対人関係
・人事制度などの仕組み
衛生要因の特徴は、良い悪いが客観的にわかりやすいです。
また、モチベーションを左右するよりも、満足度を左右します。
衛生要因の最大の特徴は、満足度の持続性は短く、不満の持続性が長いところです。
衛生要因を良くしたら、満足度は上昇し、モチベーションが上がります。
しかし、次第にそれが当たり前になって、モチベーションが通常状態に戻ります。
逆に不満は長く続き、モチベーションを低下させ続けます。
【コラム】ビジネスでワンチームに~会社組織の一体感を醸成する方法~
人材育成に活用する方法
人材育成にモチベーションは欠かせません。
モチベーションの低い社員の教育は、効果を出しにくいです。
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論は、モチベーションアップ方法の参考になります。
モチベーション=やりたい
モチベーションの低い社員を育成を任された人が、「主体性が無い」「積極性が無い」と不満を口にします。
仕事に限らず、勉強もすべて、モチベーションの低い人を育成するのはとても困難を伴います。
「やる気が無い」と嘆きます。
逆に、「やりたくない仕事」に、やる気を出し続けられますか?
一瞬だけなら出るかもしれませんが、毎日やる気を出し続けるのは難しいです。
「モチベーション=やる気」と捉えるケースが多いです。
しかし、大切なのは「モチベーション=やりたい」という考え方です。
「やりたい」という気持ちを引き出さない限り、主体性、積極性は生まれません。
衛生要因より動機づけ要因
「給料が低い」「福利厚生が不十分」「休みが少ない」などが、社員のモチベーション低下の理由に挙げられるケースが多いです。
確かに当たっている部分もあります。
最低限の条件は、整えなければなりません。
これらは衛生要因に該当し、不満につながりやすいからです。
衛生要因の特徴は、即効性はありますが、お金がかかります。
そして、継続性がありません。
衛生要因でモチベーションを上げようとすると、コストが増大します。
資金力のない中小企業にとっては、どうあがいても大企業にはかないません。
だから、社員のモチベーションアップをはかるには、動機づけ要因に重点を置きます。
動機づけ要因は、コストが小さく、継続性のメリットがあります。
問題は、即効性が無い点です。
動機づけ要因の注意点
社員のモチベーションアップをはかるには、動機づけ要因に重点を置けばよいです。
しかし、動機づけ要因でモチベーションアップすることは、簡単ではありません。
動機づけ要因の内容は、人それぞれ異なります。
そして、モチベーションアップにつながるまでの時間もバラバラです。
内発的動機づけ
モチベーションの種は、人それぞれ異なります。
給料が高ければ何でもやるという人がいます。
一方で、お金ではなく仕事内容だという人もいます。
新しい仕事へのチャレンジにモチベーションを感じる人がいます。
一方で、一つの仕事を極めるのにモチベーションを感じる人がいます。
内発的動機づけと呼ばれ、動機づけ要因は、人それぞれの心の奥底に存在します。
動機づけ要因を刺激するには、何に動機づけされるのか、聴き出さなければなりません。
動機づけ要因を聴きだす力
動機づけ要因を刺激して、モチベーションアップをはかるために、人材育成担当者は、動機づけ要因を聴き出さないといけません。
動機づけ要因を聴きだせない限り、なんでモチベーションが低いんだと悩んだ状態から抜けられません。
聴き出すために必要な能力は、コミュニケーション能力です。
コミュニケーション能力の中でも、「聴く力」です。
「話しやすい場づくりができるか」にかかっています。
本当はやりたい仕事があっても、否定批判をされる、負担が増える、責任が増えるなどデメリットがある環境では、本音を言わないでしょう。
【コラム】メンタルヘルスとは~職場でメンタル不調者を出さない~
コミュニケーション能力を高めよう
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論は、とても便利な考え方です。
社員のモチベーションを上げるにはどうすれば良いか指針を示してくれます。
しかし、あくまで理想です。
理想と現実は違います。
動機づけ要因が良いとわかっていても、動機づけ要因を刺激できない会社の方が多いぐらいです。
だから給料や福利厚生を基準に仕事が選ばれるのです。
動機づけ要因を聴き出すのは簡単ではありません。
おすすめはコーチング・コミュニケーションの習得です。
コーチングは、クライアントのモチベーションの種を引き出し、行動に結び付けるスキルです。
まさに動機づけ要因を刺激するためのスキルです。
ぜひコーチング・コミュニケーションのトレーニングをしてください。