職場のコミュニケーション改善方法と進め方
去年まで好調だった経済が、新型コロナの影響で突然不況になるなど、外部環境の変化が激しくなっています。
経営環境の変化を乗り切るためには、社員が一丸になることが必要です。
社員が一丸となるためには、コミュニケーションが活発に行われる職場づくりが必要です。
「報連相が行われない」「誰かがやってくれるだろう」の雰囲気では、さまざまな問題が発生するからです。
社員が活発に発言できる職場に改善する方法と進め方について説明します。
【コラム】テレワークによるコミュニケーション不足の課題に対する対策方法
【目次】 |
職場のコミュニケーション不足による問題
「職場のコミュニケーションが不足している」と感じている経営者や管理職は、多いのではないでしょうか。
コミュニケーション不足によって、さまざまな問題が発生します。
コミュニケーション不足によって発生する問題について説明します。
各種問題への対応の遅れ
社員がトラブルを発見したとして、トラブルに対する報連相が行われなければ、問題解決への対応に遅れが発生します。
例えば、以下の事例もコミュニケーション不足によって発生した問題でしょう。
>日産自動車のカルロス・ゴーンの不正問題
>関西電力の福井県高浜町の元助役から、3億円を超える金品を受け取っていた不祥事
問題について発言したら、報復人事をされる恐れがあったのかもしれません。
報告するメリットがないから、報連相が行われなかったと考えられます。
職場のコミュニケーション不足により、各種問題への対応が遅れます。
その結果、問題が大きくなり、企業の信用を大きく低下させました。
社員の退職・休職の発生
職場のコミュニケーション不足は、ストレスの多い職場をつくります。
そして、ストレスの多い職場は、社員のパフォーマンスを著しく低下させます。
結果的に、職場の生産性の低下につながります。
社員が退職する理由の上位は、「職場の人間関係」です。
そして、職場のストレス要因として、上位に挙げられるのも「職場の人間関係」です。
人間関係を悪化させる要因は、コミュニケーションの質悪化によるコミュニケーション不足です。
以下のようなコミュニケーションの質の悪化は、コミュニケーション不足を招きます。
・パワハラ、セクハラ
・否定、批判が多い
・すぐ怒る
・無視する
コミュニケーションの質の悪化は、コミュニケーションすることを嫌にさせます。
参考に、退職する理由ランキング、職場のストレス要因ランキングを紹介します。
●退職する理由ランキング
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)(出典:リクナビNEXT「退職理由の本音ランキング」:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/)
●職場のストレス要因ランキング
1位:上司との人間関係
2位:仕事の量が多い
3位:給与や福利厚生などの待遇面
4位:仕事の内容
5位:同僚との人間関係
6位:取引先との人間関係
7位;残業時間が多いまたは勤務時間が変則的
8位:部下との人間関係
9位:取引先からの無理なお願い
10位:噂話が絶えない(出典:チューリッヒ生命「ビジネスパーソンの抱えるストレスを全国一斉調査」:https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2017/20170525)
【コラム】部下が退職を決意する前にモチベーション低下の理由に気づく方法
職場のコミュニケーション不足が発生する理由
職場で、コミュニケーション不足が発生する理由について説明します。
多くの経営者や管理職が、社員や部下のコミュニケーション能力の低さを指摘します。
社員のコミュニケーション能力が低い可能性は高いです。
しかし、上司のコミュニケーション能力に、問題がある可能性についても忘れてはいけません。
部下の問題
「報連相が無い」「会議で発言しない」などの原因は、部下のコミュニケーション能力が低いからが理由です。
しかし、部下のコミュニケーション能力が、上司のコミュニケーション能力として比較して低いのは当然です。
そして、さまざまなコミュニケーションレベルの部下が存在します。
そのため、上司には、部下のコミュニケーション能力にあわせて、コミュニケーションをとる能力がもとめられます。
上司のコミュニケーション能力の課題は後述します。
部下の場合、コミュニケーション能力の課題として、「要点を上手く整理できない」「話すのが苦手」といった項目が挙げられます。
これらの課題は、コミュニケーション能力のうち「話す力」です。
「自分の考えを、相手に理解できるように伝える力」が、社員にはもとめられます。
「話す力」を高める方法は、「話す力」を高める研修セミナーの受講や、多くの実践練習の場がもとめられます。
朝礼で、スピーチの場を用意する会社も存在します。
部下のコミュニケーション能力強化の取り組みを行っているにもかかわらず、改善されないといった不満があるかもしれません。
その場合、上司のコミュニケーション能力の問題が考えられます。
上司の問題
「部下の報連相が無い」「会議で発言しない」などの原因は、逆に上司が抑制している場合もあります。
「威圧的な態度をとる」「いつも怒っている」「すぐに批判する」などの上司に対しては、「話す力」が高い部下であっても、発言を躊躇します。
「聴く耳」を持たない上司がいる職場は、報連相や会議での発言など、コミュニケーション不足が発生します。
上司には、「部下が発言しやすい職場づくり」の力がもとめられるのです。
それは、コミュニケーション能力のうち「聴く力」です。
上司に「聴く力」が無い場合、会社に不満があっても上司に相談無く、退職するケースがあります。
また、問題の隠ぺいなどが発生します。
上司に報連相しても、メリットどころか、デメリットがあるからです。
相談しても「我慢しろ」、提案しても「否定される」などがあると、上司に対して不信感が大きくなります。
多くの上司が、部下に上司の期待するレベルでの「話す力」をもとめます。
しかし、基本的に部下の「話す力」は、上司に比べては低いです。
走りの遅い人が、走りの速い人に合わせて走ることはできません。
同様に、コミュニケーション能力の低い人が、高い人に合わせることはできません。
上司は、部下に合わせて「聴く力」の発揮が必要です。
合わせられない場合、上司が部下を黙らせてしまいます。
部下の「話す力」の実践の機会を消してしまいます。
そして、いつまでも職場のコミュニケーション不足が改善しません。
職場のコミュニケーション改善方法と進め方
職場のコミュニケーション改善方法と進め方について説明します。
大切なポイントは、「即効性が無い」です。
社員のコミュニケーション能力は、一瞬では改善しません。
しかし、トレーニングを継続すれば、確実にコミュニケーション能力は改善します。
改善する前に、あきらめるケースが多いように感じます。
改善方法
職場のコミュニケーション改善方法は、上司、先輩など上位の役職者から順にコミュニケーション能力を改善します。
なぜなら、職場の雰囲気がピリピリした感じになるか、やわらかい感じになるかどうかは、上司のコミュニケーションの態度によるからです。
コミュニケーションが活発に行われる「発言しやすい職場づくり」に、上司のコミュニケーション能力改善が重要です。
上述したように、上司はコミュニケーションの「話す力」が強いです。
逆に「話す力」が無いと、指示命令ができないので管理職になれなかったでしょう。
上司に不足しているコミュニケーション能力は、「聴く力」です。
なぜなら、「聴く力」を学ぶ、トレーニングをした経験が無いからです。
「話す力」は、指示命令など、相手を論破するときに効果を発揮します。
しかし、逆の効果として「相手を黙らせる」効果もあります。
強力な「話す力」は、部下に「発言しても言い負かされるから」と、発言しづらい雰囲気をつくる可能性があります。
職場のコミュニケーションを改善するには、部下が発言しやすい環境づくりが必要です。
そして、発言しやすい職場づくりは、上司の役割です。
改善の進め方
職場のコミュニケーション改善の進め方は、長期計画で行う必要があります。
上司のコミュニケーション能力「聴く力」の強化と、部下が発言しやすい仕組み化が必要です。
上司のコミュニケーション能力「聴く力」の強化をおこなう理由は、上述した通りです。
「聴く力」の強化は、継続的な努力が必要になります。
「聴く力」の強化方法は、コーチング・コミュニケーションを学ぶです。
そして、部下が発言しやすい場は、継続的に作り続けなければなりません。
気を抜くと、すぐに元に戻ります。
発言したときに、「認められるか」「怒られるか」などの経験の割合で、部下にとっての発言のしやすさが決まります。
「発言を認めてもらえる経験」を、時間をかけての蓄積することが必要です。
上司にとって、「認める力と聴く力」の強化方法が、コーチング・コミュニケーションのトレーニングです。
「発言を認めてもらえる経験」を増やすオススメの仕組みが、1on1ミーティングとGood&Newです。
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1on1ミーティングは、大企業を中心に活用が広がっている面談方法です。
仕組みは、コーチングセッションと同じ方法が活用できます。
上司がコーチング・コミュニケーションをトレーニングしつつ、1on1ミーティングやGood&Newの仕組みの導入がオススメの改善方法になります。
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談をいいます。
通常の評価面談との違いは、以下の通りです。
・目的は部下のモチベーションアップと主体的な行動を引き出す
・話すテーマは部下が決める
・話の主体は部下、上司は聴き役に専念
・週1回~月1回の高頻度で行う
1on1ミーティングは、上司の「聴く力」が無いと効果がありません。
しかし、1on1ミーティングを高い頻度で行うと、上司の「聴く力」のトレーニングになると共に、部下の「考える力」「話す力」の強化につながります。
●Good&Newとは
Good&Newは、毎日のグループミーティングで「24時間以内にあった良かったこと」を報告し合うものです。
どんな些細な内容でも、メンバーは「認める」を行います。
メンバーは、毎日「発言する⇒認められる」の経験をします。
繰り返しによって、メンバー同士認め合える関係が構築されます。
結果的に、発言しやすい環境ができます。
これらの仕組みの導入で、部下が発言しやすい職場の雰囲気を醸成します。
結果、コミュニケーションが活発な職場になります。
大切なポイントは、時間がかかります。
根気よく、1年以上継続してください。
【コラム】バーナード組織の3要素~共通目的・協働意欲・コミュニケーション
職場のコミュニケーション改善を習慣化しよう
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークの導入が広がりました。
IT技術の進化により、コミュニケーションツールは、ますます便利になっています。
しかし、コミュニケーションの量が増えれば増えるほど、コミュニケーションの質の希薄化が進みます。
そのため、コミュニケーションの基本である対面でのコミュニケーションの質の向上が必要です。
コミュニケーションの質の向上をはかるには、発言しやすい職場づくりがもとめられます。
発言しやすい職場は、一朝一夕でできるものではありません。
それが当たり前になるまで、継続が必要です。
職場のコミュニケーション改善活動を習慣化しましょう。
弊社では、職場のコミュニケーション改善を目的とした研修セミナーを実施しています。
ぜひご活用ください。