アフターコロナのビジネスチャンス~世界経済と仕事の変化~
日本商工会議所の「中小企業の半数以上が新型コロナが経営に影響」と発表があってから、数カ月過ぎました。
新型コロナ関連の破綻が、12月15日時点で800件に到達しました。(参考:帝国データバンク)
解雇や雇止めは、7万人を超えました。(参考:日経新聞)
新型コロナウイルスの終息は、まだまだ見えません。
行動が制限される状況が続くかぎり、影響はさらに大きくなってくるでしょう。
経営に対する支援を国に訴えるのも大切ですが、独自にアフターコロナに備えての行動も大切です。
国の支援は期待できないものと考えておく方が安全です。
第3波の状況を見ると、GoToキャンペーンは、完全な失策でしたね。
消費税の廃止や支援金だけにすればよかったのに。
支援どころか菅政権は、中小企業の再編を進めるという話も聞こえてきます。
アフターコロナの世界経済は、しばらく落ち込むでしょう。
なぜなら、失業者が増加し、給料が減ると、個人消費が減るからです。
需要が減少しても、収益を拡大する方法を、先回りして見つけることがもとめられます。
コロナウイルス感染拡大の影響によるビジネスの世界の変化を、どのようにチャンスに変えるか。
経営者に、もとめられています。
【目次】 |
コロナウイルス感染終息後の世界
コロナウイルス感染の影響がいつまでつづくのか、経営者だけでなく、社員の方も気になっているでしょう。
日本でワクチン接種は、2021年の春ごろにならないと始まらないと言われています。
始まっても、全国に行きわたるまでしばらくかかるでしょうから、6月ぐらいまで続くと覚悟しておいた方が良いでしょう。
行動が制限されている間は、企業には我慢がもとめられます。
しかし、悲観的に、ただ我慢するだけか、アフターコロナを意識しながら行動するかで、会社の雰囲気は大きく変わります。
アフターコロナとは
頻繁に耳にする「アフターコロナ」とは、新型コロナウイルスが終息後の世界です。
いままでの状況を見るかぎり、アフターコロナまでは、あと半年以上かかりそうな感じがあります。
新型コロナと上手につきあっていかなければならない、ウィズコロナが長期化しそうです。
第3波がやってくる中、ウィズコロナは、どうしてもかじ取りが難しいことがわかってきました。
経済対策⇒感染拡大⇒経済活動縮小⇒感染抑制⇒経済対策⇒・・・
政府の経済活動縮小のタイミングが後手後手に回ったことによって、経済活動縮小期間が長くなりそうです。
その間に、また倒産していく会社が増えるでしょう。
企業は、経済活動縮小時でも、収益を得られる方法を考えなければなりません。
アフターコロナより今どうするか?
コロナ関連倒産が800社を超えました。
あと数ヵ月で1000社に到達するでしょう。
やはり飲食店が厳しいようです。
今後、政府の支援は、感染を拡大させる策になっているので、さらに増加が想定されています。
資金繰りに苦しんでいる企業は、多く存在します。
資金繰りの対策については、金融機関に頼み込むしか無いでしょう。
経営コンサルタントなど支援機関も、「こんな支援がありますよ」の提案で精一杯でしょう。
金融機関も不良債権化を避けたいので、アフターコロナ後、しっかり返済してくれそうか慎重になります。
その結果、新型コロナ関連倒産は、増え続けています。
今生き残るためには、国の支援策を活用して、あと半年分以上の資金繰りを確保しなければなりません。
資金繰りを確保するには、金融機関に、新型コロナが終息すれば、必ず返済できると信じてもらえるような経営計画が必要です。
アフターコロナ後、個人消費の落ち込みが予測されるため、売上の低迷が続きます。
8割程度に売上高が落ち込むという、8割経済というキーワードがきかれます。
売上高が落ち込んでも、利益を確保できる経営体質を構築する。
もしくは、新たな売上高を確保する新規事業に進出するなどの対策が必要です。
金融機関や社員など、ステークホルダーが安心してくれる状態を、早く構築しなければなりません。
【コラム】ビジネスでワンチームになるために-会社組織の一体感を醸成する方法
ビジネス、仕事に関する脅威と機会
「今乗り切れたら大丈夫」という認識があるかもしれません。
しかし、このコロナウイルス感染の影響は、長期化が予想されます。
大企業の収益の悪化の影響は、遅れてやってくるからです。
大企業の業績修正額は、総額10兆円を超えたそうです。(参考:帝国データバンク)
アフターコロナの脅威(ピンチ)
コロナウイルス感染拡大の影響により、大企業の収益悪化すると、中小企業への仕事の依頼が減ります。
日本全体の景気が低迷します。
業績低迷が発生する大きな要因は、賃金の減少です。
賃金が下がると、日本のGDPの大きな割合を占める個人消費が落ち込みます。
個人消費が落ち込むと、企業の収益がさらに悪化します。
企業の収益が悪化するので、従業員の給料が減る、リストラの発生などがおきます。
さらに個人消費が落ち込む負のスパイラルが発生する可能性があります。
デフレスパイラルと呼ばれます。
売上減少が長期化しても、しっかり収益を拡大して、会社を成長させていく戦略がもとめられます。
アフターコロナの機会(チャンス)
ビジネスに対する新型コロナウイルス感染拡大の影響は、脅威だけでなく機会にも目を向けるのが大切です。
企業間競争の関係で考えると、コロナウイルス感染拡大の影響は、ライバル企業を脅威に陥れています。
場合によっては、買収によって事業を拡大するチャンスになるかもしれません。
国も、後継者不足対策、中小企業再編も含めて、M&Aに力をいれています。
コロナ関連倒産や破たんなどにより、失業者が増えたので、2019年までは人材獲得がむずかしかった業界も人材獲得しやすい環境になっています。
テレワークや教育の現場などで、WEB会議システムの活用が一気に広がりました。
パソコンに不慣れな職場に、IT技術サポートも広がっているようです。
オフィスが不要と考え方も広まります。
コワーキングスペースは過剰になっているように感じますが、住宅にオフィススペースを作る需要は増えているようです。
カプコンの情報漏洩などもあり、セキュリティサービスに対する需要は増えるでしょう。
社員を抱えるのではなく、フリーランスを上手に活用できる企業が競争優位性を持てるかもしれません。
また飲食の宅配も一般的になりました。
地元の飲食店同士で連携する取り組みなども見られます。
従来型のビジネスが低迷する一方、新しいビジネスが生まれてきます。
すぐに思いつくようなビジネスは、一斉に新規参入があるので、競争が激化します。
ひとひねり加えたビジネスを考え続けるしかありません。
インターネットで調べて出てくるアイデアは、もう古いです。
今回発生した変化は、アフターコロナ後、さらに定着していくでしょう。
この変化をどのように捉えるかによって、大きなチャンスに変えられると考えます。
アフターコロナに向けて収益性改善
アフターコロナに向けて、収益性の改善がもとめられます。
なぜなら、個人消費(需要)が落ち込み、売上高の減少の長期化が予想されるからです。
また、内部留保がなく、資金繰りに苦しんでいる会社はなおさら、収益性をアップして内部留保が重要です。
収益性を改善するのはシンプルです。
売上アップして、コストダウンすれば、実現します。
売上アップ
「売上アップしなさい」と言われて、簡単に売上アップできるほど、単純な問題では無いです。
売上は「価格×数量」で決まります。
価格をアップしても、販売数量が落ちなければ、売上はアップします。
多くの場合、価格アップすると、顧客離れを起こし、売上が落ち込みます。
価格アップしても、顧客が増えるぐらいに、商品の魅力を磨く施策がもとめられます。
数量増やす方法は、さまざまなマーケティング戦略を組み合わせる必要があるでしょう。
単純に店舗を増やすと、家賃や人件費などコストも増えます。
オンラインなどを活用し、少ない力で、商圏を全国に広げる、レバレッジを効かせる施策がもとめられます。
会社によっては、「商品の安さ」が価値というところもあるでしょう。
また、不況時にデフレスパイラルに入るとなかなか価格が上げられません。
デフレ時は、品質を高めつつ、価格低下がもとめられます。
そのためには、さらなる徹底したコストダウンがもとめられます。
不況時に利益を高めるには、ブランド力を徹底的に高めて、高価格で販売できる商品、サービスを展開する。
もしくは、100均のように、良い意味で薄利多売で利益額を増やす方法が考えられます。
結論的には商品、サービス力を高めて、マーケティングに力を入れるです。
商品、サービス力の高め方は、発想力に左右されます。
コストダウン
コストダウンは、社内で努力できる部分が多いので、売上アップよりは取り組みやすいです。
しかし、売上アップの幅に限界が無いですが、コストダウンの幅には限界があります。
下請け企業なら経験があると思いますが、親会社からのコストダウン要求は会社を疲弊させます。
社員の給料までコストと捉えてしまうと、社員のモチベーションに影響するので注意が必要です。
コストダウンの方法は、「ECRSの原則」を活用して、無駄の徹底的排除です。
また、大量生産により、1個当たりのコストを下げる方法があります。
もし事業買収できなら、コストダウンのチャンスになり得ます。
ただし、事業買収は、組織風土の統合での失敗のケースも多いので、注意が必要です。
ECRSの原則とは、以下の単語の頭文字をとった生産性改善方法です。
Eliminate(排除)
Combine(結合)
Rearrange(代替)
Simplify(単純化)
E:現在の作業などで、無くしても問題がないものがあれば、積極的に排除します。
C:二度手間になっているな、冗長性を感じる作業を一つにまとめられないか検討します。
R:最新のIT技術を活用できないかなど検討します。例えば手紙を電子メールに切り替えると生産性がアップします。
S:作業をもっと単純化できないか検討します。例えば雇用調整助成金の手続きの簡略化が該当します。
ECRSの順番に改善活動を進めると、生産性(時間当たりの生産量)が向上します。
それは、生産コストの低減を意味します。
【コラム】チームワークの一体感を醸成するコミュニケーション方法
ビジネス進化論
外部環境変化の話が出ると、よくダーウィンの名言が用いられます。
最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
これはビジネスの世界でも一緒でしょう。
2019年末までは、景気は好調でした。
人手不足が深刻な状況でした。
好調だったインバウンドを期待して、大きな投資を繰り返してきた宿泊業界などは急に方向転換できずに苦んでいます。
人手不足だからと、人材確保を急いでいた企業は、早期退職募集に迫られています。
日本はただでさえ自然災害が多かったり、外国の地政学リスクの影響を、大きく受けます。
常にリスクに備えた、柔軟な経営が大切です。
アフターコロナについては、あくまで予想なので、実際どうなるかはわかりません。
ワクチンの効果により、あと半年で終息するかもしれません。
逆に、ウイルスが変異して、長引くかもしれません。
最悪のシナリオを想定して、環境変化に強い経営体質を作り上げましょう。
守りに入りすぎても後手後手にまわります。
そのためには、企業風土改善を行う、経営者の強いリーダーシップが必要です。
弊社では、企業風土改善のための、経営コンサルティングサービスを行っています。
ぜひご活用ください。