公平理論とは~社員のモチベーションマネジメント方法~
自分より仕事をしていない人の方が、給料が高かったらどう感じますか?
不公平を感じた人の行動は、どうなるでしょう?
不公平感は、モチベーションに大きく影響します。
同じ仕事なら、同じ賃金でなければならない。
同一労働同一賃金制度がはじまり、正社員、非正社員に関わらず、公平な評価がもとめられるようになります。
心理学的に、「不公平感を感じると、社員のモチベーションが下がる」と考えられているからです。
公平理論、モチベーション理論の一つです。
公平理論とモチベーション、その対策方法について説明します。
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【目次】 |
公平理論を理解する
社員を、公平に評価していますか?
社員の評価は、とても難しいです。
考課者にも、感情があるので、好きな社員、嫌いな社員で評価が変わるケースがあります。
社員が、評価に不公平を感じたら、根の深い問題になります。
不公平を感じたら?
社員が、不公平を感じたらどうなるか。
逆の立場になって考えると、分かりやすいと思います。
「もし、自分より明らかに仕事をしていない人が、自分より高い給料をもらっていたら、どのような気分になりますか?」
おそらく、納得いかないでしょう。
モチベーションが下がるかもしれません。
場合によっては、転職を考えるかもしれません。
年功序列の場合、この問題が発生しがちです。
シニア層は、頑張っても給料は上がらないから、頑張らなくなる場合があります。
頑張らないシニア層より、頑張ってる若手の方が、給料が低い状態になりがちです。
シニア層も、再雇用制度を活用したとき、「仕事は変わらないのに給料が減る」で不公平感を感じます。
不公平感を感じると、モチベーションが下がります。
公平理論とは
心理学、モチベーション理論の一つに公平理論があります。
公平理論とは、次のような考え方をいいます。
「自分の仕事の質と量に対する評価」と「他人の仕事の質と量に対する評価」を比較し、差を感じたらそれを埋めようと行動する。
「頑張らない先輩が、自分よりも高い給料をもらっていたとしたら、自分の給料に見合う程度に、頑張り度合いを抑える」という考え方が公平理論です。
つまり、不公平感がモチベーションを下げてしまい、結果的に会社全体の生産性を下げます。
注意点として、その不公平感は「本人の主観である」です。
もし公平に評価しているのであれば、客観的に公平に評価している事実をコミュニケーションとらなければなりません。
社員は納得するまで、不公平感を感じ続けるでしょう。
コミュニケーション能力の強化が求められます。
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社員のモチベーションを高める
公平理論によると、「不公平感は、社員のモチベーションを下げ、会社の生産性を下げる」となります。
会社は、社員のモチベーションを高めるための施策を打たなければなりません。
人事評価の仕組みの見直しと、評価者のレベルアップが必要です。
人事評価制度を見直す
公平理論にそって、人事評価制度を見直します。
まずは、客観的に見て、公平に評価している評価基準が必要です。
不公平感が出るのは、上司の主観によって評価していると感じる部下の主観によるものです。
お互いに納得できる共通の物差しがあれば、不公平感を減らせます。
同一労働同一賃金制度が始まりました。
非正社員から、「正社員と同じ仕事しているのに、なぜ給料額が違う?」質問をされた時、明確な回答が必要になります。
公平な人事評価制度ができているか、もう一度見直しましょう。
考課者訓練の強化
評価の結果は、考課者の感情にも左右されます。
公平理論を満足するには、考課者訓練が大切です。
「一つ良いところがあれば、全体を良い評価に、一つ悪いところがあれば、全体を悪い評価にしてしまうハロー効果」
「明確に差をつけると不満につながることを恐れて、評価を全員5段階中の3にする中心化傾向」
評価に、評価者の心理状態が、不公平として現れる恐れがあります。
評価制度が整備されていても、考課者のスキルによって、社員が不公平に感じる場合があります。
会社を辞める理由の上位に、「上司との人間関係」や「評価してもらえない」など問題があります。
公平理論によれば、上司の考課者のスキルが、不公平感を生み、社員のモチベーションを下げる結果につながります。
管理職のコミュニケーション能力強化
管理職が考課者となる場合が多いです。
つまり、管理職のコミュニケーション能力の強化が必要です。
社員の不満にいち早く気づき、それを取り除いていかなければならないからです。
コミュニケーション能力とは
コミュニケーション能力強化が、よく課題に取り上げられます。
実際、コミュニケーション能力とは何でしょう?
あまり明確に理解している管理職は、多くないです。
部下が、報連相に来ないのを、部下のコミュニケーション能力のせいにしていませんか?
もしそうだとしたら、上司と部下のコミュニケーションは改善しません。
コミュニケーションは、「話す力」と「聴く力」で構成されています。
部下が報連相に来ないのは、上司の「聴く力」が不足している可能性も考えられます。
聴く力の強化
「聴く力とは」を、きちんと理解している人も少ないです。
「ちゃんと聴いてたのか?」と、「聴く力=理解力 or 記憶力」のように使われるケースも多々あります。
では「ちゃんと聴いていれば」、どのような難しい話でも理解できるのでしょうか?
聴く力のある小学生なら、専門的な話も理解できるのでしょうか?
それは無理ですよね。
小学生に話すときは、小学生のレベルに合わせて話さなければなりません。
「聴く力」とは、「話しかけやすさ」です。
聴く力がある人=聴き上手な人です。
部下が報連相に来ないのは、「話かけづらい」可能性も忘れてはいけません。
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公平理論と聴く力
公平理論によると、「人は不公平感を感じると、不公平感を解消する行動をする」となっています。
そのため、「自分だけ、頑張らされている、不公平だ」と感じたら、頑張るのをやめて、不公平感を解消します。
職場に不公平感が発生すると、職場の生産性が低下します。
管理職は、職場の不公平感を解消しなければなりません。
管理職が部下を公平に評価するには、中立的な立場で部下の観察が求められます。
公平に評価するためには、部下のことを良く知らなければなりません。
部下全員と、密なコミュニケーションをとらなければなりません。
あまりコミュニケーションをとらない部下と、コミュニケーションをとる部下とでは、情意評価に差が出る恐れがあります。
公平理論に従うなら、上司は公平なコミュニケーションをもとめられます。
上司には、コミュニケーション能力の中でも、「聴く力」の強化が必要です。
「聴く力」が無い上司とは、部下はコミュニケーションをとりたくないからです。
弊社では、「聴く力」強化のためのコーチング・コミュニケーション研修セミナーを実施しています。
ぜひご活用ください。