ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い
テクノロジーの発展によって、ほとんどの企業にスマートフォンやパソコンが普及しました。
そのため、企業間競争において、グループウェアなど、ITツールの優位差は、ほとんど無くなりました。
競争の優位性を決めるのは、経営者、社員の思考力です。
社員がどのように考え、どのように行動するかによって、企業で生まれる付加価値が変わります。
どのITツールを導入するかなど、戦略を考えるのも経営者、管理職の思考力次第だからです。
そのため、企業にとって思考力強化の重要性は高まっています。
代表的な思考力強化方法として、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングがあります。
それぞれの違いについて、説明します。
【目次】 |
思考力がもとめられる理由
日本企業は外国企業に比べ、思考力が低いと指摘されています。
その原因は、詰込み型教育、暗記型教育にあるともいわれています。
思考力強化が大きな課題です。
問題解決の発想力
思考力がもとめられる理由は、生産性の改善です。
ボトルネックとなる課題に直面した時、解決方法を考える力によって、改善度合いが左右されます。
思考力が生産性を左右するのです。
日本人は現在あるものを、さらに良くするにはどうすればよいかを考える力は比較的強いです。
ただし、斬新な方法を考える力や、未知の課題への対応力が弱いと指摘されます。
イノベーション発想力
企業がもとめているのは、イノベーションの発想力です。
日本企業は改善を繰り返し、品質を高める施策によって成長してきました。
しかし、企業間競争がグローバルに広がり、改善の競争相手が増加し、それほど優位性を築けなくなりました。
そこでもとめられるのが、全く新しいものを考え出す力です。
このコラムで紹介するロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両方とも苦手とする分野かもしれません。
イノベーション発想力については、デザイン思考がオススメです。
2つのタイプの思考方法
このコラムでは、2つの問題解決の思考方法を紹介します。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングです。
因果関係のロジカルシンキング
ロジカルシンキングについて、Weblio辞書には次のように説明されています。
「ロジカル・シンキング」とは、論理的思考という意味。情報を決められた枠組みにしたがって整理・分析するさまざまなスキルの集まりを指し、これらを使うことによって、複雑なものごとの因果関係を明快に把握したり、問題に対する有効な解決策を導き出したりすることが可能になります。合理的な判断や論理的な説明の前提となる思考法で、意思決定や交渉、プレゼンテーションの際に活用できることから、人材育成の現場では必須のコンピテンシーとして定着しています。
(出典:Weblio辞書「人事労務用語辞典」:https://www.weblio.jp/content/ロジカルシンキング)
ロジカルシンキングでは、「因果関係を考える」を重視します。
どうしてその問題が発生したのか「なぜなぜ分析」をして、原因を追究します。
何かを説明するとき、「なぜなら・・・」と表現できなければなりません。
因果関係を説明できないとき「論理(ロジック)が破綻している」と指摘されます。
批判からのクリティカルシンキング
クリティカルシンキングについて、Weblio辞書には次のように説明されています。
批判的な観点に立脚して物事を考えること、論理的・客観的・合理的に思考を展開することなどを意味する語。日本語では「批判的思考」ともいう。クリティカルは「批判的」と訳されるが、ここでいう「批判」は否定や非難を意味するものではなく、理論的・理性的な考え方を指す。
(出典:Weblio辞書「実用日本語表現辞典」:https://www.weblio.jp/content/クリティカルシンキング)
クリティカルシンキングは、論理の破綻しているポイントを指摘して、ロジカルシンキングをさらに深堀するために利用されます。
イエスマンばかりの職場の場合、クリティカルシンキングが実施されずに、暴走する可能性が生じます。
逆に否定、批判の多いネガティブな職場の場合、何も決められない可能性がでてきます。
否定、批判をポジティブに捉えると、弱点の無い商品、サービス開発には大切です。
経営のスピードと商品、サービスの品質のバランスをとりながらの活用が大切です。
思考方法を使い分ける
思考方法の活用は工夫が必要です。
なぜなら、考えた結果が、絶対的な正解かどうかはわからないからです。
同じ思考方法を使っても、人が変わると違う答えになります。
そのため、複数人数でチェックを行いながらの活用をオススメします。
基本はロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、思考力の基本です。
ビジネスにおいて、商品、サービス、企画など何か提案するときは理由・根拠が必要です。
理由をどこまで深く考えられているかによって、説得力が変わります。
深く考えていない場合、矛盾点を追求されると答えられません。
つねに理由を考える習慣が大切です。
視点を変えるクリティカルシンキング
ロジカルシンキングで考えても、矛盾点を追求されるケースが存在します。
矛盾点を追求される前に、自身で矛盾点を追求し、原因を考えておけば、実際に追求されても解答できます。
しかし、矛盾点は自分自身には盲点になっている部分なので、自分で見つけるのは簡単ではないです。
第三者からの指摘の活用をオススメします。
その際、あまりにも批判や否定が強いと、考える人を委縮させます。
あくまでも考える人をサポートするという位置づけが大切です。
【コラム】一体感の醸成方法~チームワーク強化のコミュニケーション~
思考力を強化しよう
企業間競争の優位性を決めるのは、経営者や社員の思考力です。
経営戦略を立てるのも、どのような商品・サービスを開発するのかも、思考力に左右されるからです。
代表的な思考力強化方法として、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングについて説明してきました。
基本の思考力を高めるのは、ロジカルシンキングです。
何か提案や主張する場合は、「なぜなら・・」と理由を説明する習慣をつけましょう。
もしくは、「なんで?」と理由をたずねる習慣をつくれば、思考力の強化が促されます。
近年は、問題解決型の思考力はあって当たり前になってきています。
更に必要なのは、これまでにないものを考える力です。
クリティカルシンキングを活用すると、幅広い視点で物事を考えられるようになります。
「本当にそうだろうか?」と批判的に考えてみる習慣もつけると良いでしょう。
近年は、デザインシンキング(デザイン思考)という思考法も注目されています。
さまざまな思考方法がありますが、メリット・デメリットが補完関係になっていると捉えてください。
どれが特に優れているなどはありません。
逆に、どの方法にもデメリットは存在します。
また、どの方法もトレーニングが必要です。
やればやるほど、思考力が強化されますので、継続を意識してください。
【コラム】イノベーションのためのアイデア発想法6選~企画力強化~