ピグマリオン効果とゴーレム効果~人材育成に必要な心理学~
会社は、人材の成長がないと、成長できません。
そして、人材の成長は、人材育成担当者の関わり方で左右されます。
「なんでできない?」など、責め続ける上司のもとでは、自信を失うかもしれません。
関わる上司や先輩の態度によって、社員のモチベーションは大きく変化をします。
指導者の関わり方が生徒の成長に影響を及ぼす効果を、ピグマリオン効果、ゴーレム効果といいます。
指導者の関わり方によって、ドリームサポーターになるか、ドリームキラーになるか変わります。
それぞれの違いについて説明します。
【コラム】コーチングは独学でもマスターできる?~効果的な勉強方法~
【目次】 |
ピグマリオン効果とドリームサポーター
ピグマリオン効果とドリームサポーターについて説明します。
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、コトバンクで調べると次のようにでてきます。
他人から期待されることによって学習・作業などの成果が上がる現象。米国の心理学者ローゼンタールが、教師からの期待の有無が生徒の学習成績を左右するという実験結果をもとに報告。名称はギリシャ神話のピグマリオンにちなむ。ローゼンタール効果。教師期待効果。
(出典:コトバンク「デジタル大辞泉」:https://kotobank.jp/word/ピグマリオン効果-7782)
同じぐらいの成績のクラスが2つAとBを用意します。
しかし、教師には嘘の情報を教えます。
「クラスAの子供たちは優秀な生徒、クラスBの子供たちは落ちこぼれ」
すると、教師は関わり方がかわります。
クラスAの生徒へは、期待をもって活発に指導します。
クラスBの生徒へは、抑え気味に指導します。
その結果、生徒の成長に差が生まれてきたというものです。
部下が育つかどうかは、上司の関わり方が大きく左右することを表しています。
ドリームサポーターとは
ドリームサポーターとは、人の夢を応援する人です。
ピグマリオン効果でいう、優秀な生徒に期待する教師と同じような存在です。
相手の夢に期待し、応援することによって、応援される側は安心し、モチベーションが高まります。
モチベーションが高まることで、行動に移りやすくなり、行動で夢の実現へ近づきます。
ドリームサポーターがいる場合と、いない場合の差が大きいのは、ピグマリオン効果の実験で示されています。
【コラム】コミュニケーション能力が低いのは上司と部下のどちら?
ゴーレム効果とドリームキラー
ゴーレム効果とドリームキラーについて説明します。
ゴーレム効果とは
ゴーレム効果は、ピグマリオン効果の逆の効果をよびます。
相手への期待と成長に因果関係があるとするなら、相手にマイナスの期待をするなら、成長もマイナスへ作用するというものです。
・やっぱりできないのか
・どうせ無理でしょ
・これぐらいしかできないでしょ
など
つまり、相手が劣っていると思って関わると、相手は成長しなくなることを表しています。
ドリームキラーとは
ゴーレム効果は、ドリームキラーという言葉で表現されることが多いと感じます。
ドリームキラーとは
・そんなの絶対無理
・失敗したらどうする?
・今のままでいいのでは?
・誰が責任取る?
などの言葉で、相手にブレーキをかけて、夢をあきらめさせる存在のことです。
ドリームキラーに巻き込まれると、閉塞感につつまれ、自信を失っていきます。
社内で人材育成する場合、ドリームキラーを排除し、ドリームサポーターを増やすことが大切です。
しかし、上司や先輩自身がドリームキラーになりがちです。
それは「自分より成果をあげられたくない」「失敗したら上司の責任」などの心理が働くからでしょう。
人材育成の関わり方
人材育成は、多くの企業で課題になっています。
そして、人材が成長すればするほど、会社の競争力は強化されます。
会社にとって、人材育成は最重要です。
しかし、人材育成の効果は、多くは指導される側の責任にされます。
「良い人材が入ってこない」と愚痴をこぼしている上司は、ドリームキラーと同じゴーレム効果を発生させています。
自覚することが大切
人材育成は、指導側の責任が大きいと、自覚することが大切です。
学校のすべての先生が、成績が上がらないのは生徒の責任だと、責任転嫁していたら問題に感じるでしょう。
学校では、確かに、生徒を選べないかもしれませんが、企業は採用面接で選んでいます。
社員のモチベーションを下げるような言葉を口癖にしていないか、行動をしていないか確認が大切です。
ただし、自分では、主観的になりすぎて判断できないかもしれません。
その場合は、多面評価制度を取り入れるなど、工夫によって回避することができるかもしれません。
コミュニケーション能力を高める
部下との関わり方は、結局はコミュニケーション能力の問題です。
褒めると叱るの使い分け、指示命令、フィードバックの仕方、すべてコミュニケーションです。
つまり、人材育成には、コミュニケーション能力の強化が欠かせません。
相手のモチベーションを高めるコミュニケーション方法として、コーチング・コミュニケーションをオススメしています。
コーチングは、相手のモチベーションを高め、成長を促すスキルです。
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
ドリームサポーターになろう
人材育成は、どれだけモチベーションを高めることができるか?に左右されます。
学生時代も、嫌いな科目の勉強は苦痛だったでしょう。
仕事をしてて、嫌な気分にされたらモチベーションが下がります。
モチベーションを下げる存在がドリームキラーです。
上司や先輩が、ドリームキラーになっていたら、ゴーレム効果によって、部下の成長は抑制されます。
逆にドリームサポーターであれば、ピグマリオン効果によって、部下の成長を高めることができます。
上司や先輩の関わり方で、部下や後輩の成長が変わります。
どのような関わり方ができているか、省みることをオススメします。
弊社では、部下との関わり方を学ぶ研修セミナーを実施しています。
ぜひご活用ください。