仕事のコミュニケーション能力が低い人の問題と改善方法
社員のコミュニケーション能力が低い。
経営者や管理職のそのような声を耳にします。
そして、コミュニケーション能力を改善する目的で、さまざまな企業研修を受講させます。
毎年のように、コミュニケーションを改善しなければならないと言っています。
「企業が新入社員にもとめるスキルの第1位は、コミュニケーション」が10年以上継続中です。
改善しないから企業研修を受けて、受けても改善しないから企業研修を受けて・・・を無限に繰り返しています。
職場でのコミュニケーションの問題は、改善がなくても日本語で通じるので、できている感覚に陥りがちです。
コミュニケーション能力を改善するためには、コミュニケーションの本質を理解しなければなりません。
そして、コミュニケーション能力強化は、思っている以上に努力が必要です。
コミュニケーション能力を高める方法を説明します。
【コラム】テレワークによるコミュニケーション不足の課題に対する対策方法
【目次】 |
コミュニケーション能力が低下している?
若者のコミュニケーション能力が低下していると耳にする機会が多いです。
それは事実でしょうか?
どの様な時代にもコミュニケーションギャップは存在します。
清少納言の日記にも、エジプトの壁画にも、「最近の若者は・・・」といった言葉が記載されているそうです。
大人が、若者たちが、お互いに「自分たちのコミュニケーション方法に合わせてくれない」と嘆いているだけかもしれません。
相手に「~してくれない」と嘆いている間は、そのギャップが埋まることはありません。
どちらからか、歩み寄る必要があります。
その際、「できる人」が「できない人」に歩み寄る必要があります。
なぜなら、「できない人」が「できる人」に合わせることは、できないからです。
コミュニケーション研修を部下に受講させている場合、部下の成長に依存するため、改善には時間がかかります。
コミュニケーションでは、上司が部下に歩み寄る必要があります。
コミュニケーションの質が低下している
実際、コミュニケーション能力の低下は、それほどないと思います。
人間の能力が、それほど急激に進化や後退することは、あまり考えられないからです。
ただ、コミュニケーションの方法が変化しているだけです。
難しい方向へ。
外部環境の変化が激しく、質の高いコミュニケーションが必要な時代になりました。
インターネットの進化とともに、世の中に流れるデータの量は、インターネット登場の前に比べ何千倍となっています。
競争環境がグローバルに広がった影響により、24時間経済が動いています。
同時に処理しなければならないコミュニケーション量が増加したので、1回当たりのコミュニケーションの質が低下しているのです。
昔のように、日本独自の「空気を読む」「曖昧な表現」では、伝わりにくくなりました。
時代とともに外部環境が変化し続けるので、コミュニケーションの問題は、常に無くならないのです。
コミュニケーション能力の強化が必要
1回当たりのコミュニケーションの時間が少なくなっているので、「いかにコミュニケーション質を高めるか」につながります。
コミュニケーションの質の希薄化は、さまざまな問題が生じさせ、生産性を低下させています。
日本の労働生産性は、先進国中で最下位を継続中です。
改善しない大きな理由は、組織力の低下です。
経営資源の差と言われる方もいますが、経営資源が差であれば、大企業とベンチャー企業の逆転は、永遠に発生しないことになります。
組織力を低下させている要因が、コミュニケーション能力です。
組織を弱くさせる要因に、メンタルヘルスの問題による社員の休職や社員の離職の問題があります。
それぞれ、原因と上位にあげられるものが人間関係です。
人間関係は、コミュニケーションの質で悪化します。
職場の人間関係が悪化すると、仕事がスムーズに進まなくなります。
社員のコミュニケーション能力強化は、早急に解決しなければならない課題です。
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コミュニケーションを理解する
コミュニケーション能力が課題だと言われ続けて、なぜ未だに改善しないのでしょう。
その要因の一つは、「コミュニケーション能力改善スピードよりも、外部環境変化、処理するデータ量の増加スピードの方が速いから」です。
人間の能力は、急には進化できません。
もう一つの理由は、「コミュニケーションの本質を理解できていない」です。
コミュニケーションとは
「コミュニケーションとは?」
「会話(カンバセーション)との違いは?」
と訊かれると、困る方が多くいます。
「よくわからない」から、何をしたら改善できるのか、わかっていないのです。
コミュニケーション能力をつけるというと、「プレゼンテーション能力」や「説得力」など、話す力ばかり強化します。
「わかりやすく伝える」がコミュニケーション能力の全てと捉えている方が多くいます。
報連相してこない部下を「コミュニケーション能力が低い」と評価する場合があります。
報連相しにくい空気をつくる上司も「コミュニケーション能力が低い」可能性があります。
コミュニケーション能力低い上司が、それに気づかない場合、いつまでたっても職場のコミュニケーションは改善されません。
コミュニケーションは「話す力」と「聴く力」の両方があって初めて成立するのです。
「聴く力」も強化しなければなりません。
「聴く力」が重要
コミュニケーションは「聴く力」も重要です。
しかし、「聴く力」も理解できていない方が多くいます。
「聴く力」を強化してくださいといわれても、方法が分かりません。
なぜなら、私たちは聴き方を学校で習った経験がほぼ無いからです。
「ちゃんと聞いてたのか?」
ちゃんと聴けば、専門用語ばかりの難しい話もすぐに理解できるのでしょうか?
頭の良さのことを指摘しているように感じます。
それとも、記憶力のことを指摘してるのでしょうか?
耳を澄ますことが「聴く力」と捉えられることも多いです。
耳済ます力の高い低いは、どのように評価するのでしょうか?
ところで、話を聴く人がいなかったらどうなるでしょうか?
メンバー全員、独り言を話しているようになるでしょう。
良いチームワークはできません。
「聴き上手な人(ファシリテーター)」が必要です。
聴く力とコーチングスキル
聴く力の強化方法として、コーチングスキルをオススメしています。
コーチングスキルとカウンセリング以外に方法が見当たらないからです。
確かにカウンセリングも良い方法ではありますが、ビジネスで扱うのであればコーチングスキルの方がオススメです。
聴く力とは
「聴く力」とは、相手に本音でたくさん話してもらう力です。
「聴く力」に強い人ほど、相手は本音でたくさん話すので、会話が活性化します。
「聴き上手」になる力です。
「聴く力」の強い人には、部下も報連相をしっかり行うでしょう。
「聴く力」が無い人ほど、相手を黙らせます。
「聴く力」が無い人には、相手は報連相したくても話かけづらいでしょう。
「聴く力」には、このように、「話しかけやすさ」や「信頼関係」などの意味も含まれます。
つまり、上司が「部下のコミュニケーション能力が低い」と嘆いている場合、部下は「うちの上司は話しかけづらい」と嘆いているかもしれません。
「聴く力」の強化が必要です。
オススメの方法がトレーニングがコーチングスキルの導入です。
コーチングスキルとは
コーチングスキルとは、「クライアントから話を引き出しつつ、気づきを引き出し、クライアントの課題解決の行動をサポートするスキル」です。
コーチングでは「傾聴」「質問」「フィードバック」といったスキルを駆使して、クライアントに本音でたくさん話してもらいます。
コーチングスキルをマスターすると、相手が本音でたくさん話してくれるようになるのです。
「聴く力」が強化された状態です。
もちろん、効果がいきなりあらわれるわけではありません。
いきなり「話す力」がアップすることがないのと同様です。
1年以上のトレーニングは必要でしょう。
カウンセリングスキルも同様に、クライアントにたくさん話してもらうスキルですが、過去の問題や悩みなどが中心になります。
ビジネスの世界は、未来志向の話が多いので、コーチングスキルの方をオススメします。
【コラム】数値化できないコミュニケーション能力の目標設定方法と評価基準
聴く力で活気ある職場づくりをしよう
コミュニケーション能力が低いと悩む人は多いです。
口下手、緊張する、論理だてて話せないなど、「どうやってうまく話すか」に悩む人が多いです。
そして、それがコミュニケーションの捉え方として偏っているのです。
コミュニケーション能力を高めるというと、プレゼンテーションや説得力のように、話す力ばかり強化しようとします。
そして、上司も、うまく話せない部下を「コミュニケーション能力が低い」と評価します。
多くの場合、上司の「聴く力」にも問題があります。
上司には、「部下にうまく話させる能力」がもとめられるからです。
コミュニケーションは、「話す力」と「聴く力」の双方向で初めて成り立ちます。
「話す力」ばかり強化すると、意見がぶつかり合います。
お互いが相手を言いくるめようとなると、勝ち負けが生じ、人間関係悪化の原因になるかもしれません。
威圧的な話し方をする上司の場合、部下は委縮して報連相などもしなくなるかもしれません。
上司は、「部下のコミュニケーション能力が低い」という前に、「自分自身のコミュニケーション能力はどうなのか?」も客観的に見つめなおすことが必要です。
チームメンバーが協力しあうには、「聴く力」も必要です。
「聴く力」を強化しない限り、職場のコミュニケーションの低下の改善はできないでしょう。
コーチング・コミュニケーションを取り入れ、チームワークの強い組織をつくりましょう。