企業風土・組織風土を変える方法
御社の企業風土、組織風土は、どのような感じですか?
企業文化や社風と表現される場合もあります。
求職者の多くが、企業の社風を気にします。
良い企業風土は、優秀な人材を確保するために重要です。
優秀な人材がいる企業の方が、生産性を高められます。
企業風土が、業績に大きな影響を与えます。
元気な企業風、ギスギスした企業風土、保守的な企業風土など。
企業風土が、経営戦略に与える影響は大きくなります。
本来、企業風土が、経営戦略を効率的に進めるものであれば、業績向上が期待できます。
しかし、失敗を恐れる企業風土であれば、経営戦略のブレーキになりかねません。
会社の業績を変えたいのであれば、企業風土の変革に取り掛かりましょう。
企業風土、組織風土を変える方法について説明します。
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【目次】 |
企業風土とは
企業風土とは、コトバンクで調べると、次のように説明されています。
従業員に、ある特定の考え方や行動様式を植え付ける、その企業独特の環境。社風。「上意下達の企業風土を改革する」→企業文化
(出典:コトバンク「デジタル大辞泉」:https://kotobank.jp/word/企業風土-163483)
企業風土、組織風土、社風など、さまざまな呼び方をされます。
企業風土は、「仕事に対して、どのような価値観を持ち、どのような行動をとっているか」で確認できます。
企業風土のパターン
企業風土は、会社ごとに、全て異なります。
だから、絶対的な正解はありません。
大きく分けると、次のようなパターンにわけられます。
・保守的
ある程度、会社が軌道に乗り始めると、保守的になる場合があります。
事業を守るのも大切ですが、新しい考え方を受け入れられなくなると、古い体質から抜けられなくなります。
良い面は、安全安心な、安定した企業風土です。
悪い面は、大企業病になると、管理職が利権を守るために、改革の壁になります。
・革新的
新しい事にチャレンジする意欲の強い企業風土です。
モチベーションが高いため、成長スピードが期待できます。
悪い面は、リスクが高くなりがちです。
リスクマネジメントをするブレーキ役が、必要となります。
・技術志向
技術力が強い企業でみられるタイプです。
技術力があるおかげで、顧客から選んでもらえているという空気がある場合、技術者の権限が強い場合があります。
競争がグローバルに広がったとき、同じような技術力を持った企業が、外国から参入してくるかもしれません。
技術志向は時に、昔ながらのやり方に固執し、保守的になりがちです。
また、技術に自信を持ちすぎると、顧客志向になれない場合もあります。
技術志向の場合は、顧客のニーズより、先回りの技術開発するぐらいの企業風土がもとめられます。
・官僚的
官僚的組織は、上下関係がきっちりした組織です。
権限責任が明確であり、通常であれば、とても効率のよい組織です。
しかし、時間がたつと保守的な組織となり、官僚制の逆機能が働きます。
管理職が、自分の権利を守るために、保身的な行動をとり始めると、企業風土に閉塞感がでてきます。
・明るさ
企業風土は、明るい組織、暗い組織などとも表現されます。
みんなが元気よく働いている企業風土は明るいです。
逆に、みんなが疲れ切った状態で働いている企業風土は暗いです。
社員同士、口論が絶えない組織も、企業風土が暗いといえます。
・信頼度
社員同士の信頼関係の度合いでも、企業風土をわけられます。
社員同士の信頼関係の強いチームは、コミュニケーションが活発に行われています。
逆に信頼関係の弱いチームは、疑心暗鬼で足の引っ張り合いするかもしれません。
社員がすぐ辞めるような会社も、信頼関係が低いといえます。
企業風土を作り上げるもの
企業風土を作り上げるものは、権限を持っている人の価値観とコミュニケーションです。
リーダーが保守的な人材で、その価値観をコミュニケーションをつづけていれば、組織全体が保守的になっていきます。
リーダーがチャレンジ精神旺盛であれば、組織全体が革新的になってきます。
リーダーと社員のコミュニケーションが、上手くいっていないのであれば、信頼度の低い企業風土になるかもしれません。
価値観が会社全体に浸透すると、リーダーが変わっても、企業文化が定着するようになります。
大切なポイントは、企業文化を変えるには、時間がかかるということです。
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企業風土が生み出す問題
企業風土が生み出す問題は、「企業風土に、業績が影響を受ける」です。
たとえば、保守的な企業風土の場合、革新的な企業が競合にあらわれると、業績に悪影響を受けます。
変わらなきゃいけない時に変われないのは、企業風土の問題であるケースが多いです。
企業風土が会社の業績を左右する
会社の業績を決める要因は何でしょうか?
知識と経験のある大企業が倒産し、知識も経験も相対的に低いはずの大学生が創業した企業が上場するケースがあります。
日本はGDP世界3位の金持ち国です。
しかし、生産性は低迷しています。
教育も整い、インターネットや書籍による情報を溢れています。
経営コンサルタントも数多く存在し、頭の良い人材も多いです。
それなのに、国際競争力が低迷している要因は何でしょうか?
この問いに答えられなければ、間違った対策をし続けることになります。
国際競争力が低迷している要因は、企業風土です。
※正確には、日本が全体的に保守的な風土になっていることです。
企業風土の違いが、社員のモチベーションと行動に影響を与えます。
革新的か保守的か
企業風土が、社員の行動に与える影響は大きいです。
チャレンジ精神の高い新入社員が入ってきても、保守的な企業風土の会社は、チャレンジ精神をつぶすでしょう。
保守的な社員が入ってきたら、革新的な企業風土の中では、ストレスに耐えられないかもしれません。
革新的と保守的であれば、革新的な企業風土の方が良いように映るかもしれませんが、そうではありません。
保守的な企業文化は、品質を高めるのに優れています。
革新と保守を、上手く使いわける柔軟性をもった企業風土がもとめられます。
企業風土を変えるメリット
企業風土改革がよくテーマになります。
企業風土を変えないと、会社全体のパフォーマンスが上がらないからです。
企業風土を変えるメリットは、次のようなものがあります。
社員が働きやすい環境
社員が会社をやめる理由に、企業風土が合わなかったがあります。
会社は、チャレンジ精神のある社員が欲しいです。
その場合、チャレンジしやすい企業文化でないと、社員は不満になります。
企業風土を変えるメリットは、社員にとって働きやすい環境に変えられる点です。
社員のモチベーション向上、定着率向上すれば、人材育成も効果的になります。
生産性・業績の向上
社員の働きやすい環境を整え、パフォーマンスを発揮しやすい環境を整えると、生産性の向上が期待できます。
また社員同士の信頼関係を醸成し、コミュニケーションを活発に行われるようにすると、生産性向上につながります。
生産性向上はそのまま、業績向上につながります。
柔軟性の向上
企業風土は、会社の業績を向上するエネルギーになります。
しかし、常にその企業風土が、環境にあっているかはわかりません。
外部環境の不確実性が高まっているときは、逆に保守的な場合が良い場合もあります。
柔軟性のある企業風土をつくると、環境変化に強い企業にできます。
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企業風土を変える方法
企業風土を変える方法について説明します。
良く見られる間違いが、社長からのメッセージで、「チャレンジ精神をもって、仕事に取り組むように」と言えば、企業風土が変わると考える点です。
確かに変わる会社も、存在するかもしれません。
しかし、多くの場合、変わってこなかった結果が、日本企業の国際競争力の低下にあらわれています。
社長がメッセージを発信し続けることは大切です。
加えて、コミュニケーションの質の改善ももとめられます。
発信し続けても、受け入れてもらえないかぎり、浸透しないからです。
大切なのは、何年もかかるとの意識です。
人材の半分以上入れ替わらないと、変わらない場合もあります。
1,2年で変わらないからと、あきらめてしまっては、企業風土は変えられません。
経営理念とコミュニケーション
企業風土を変える方法に、手っ取り早いのは、経営トップを変えるでしょう。
社長が変わって、経営改善をおこなった話は、テレビ番組などで紹介されるケースも多いです。
しかし、社長を変えたからといって、成功するとはかぎりません。
大塚家具、リクシル、ライザップなど、経営者が代わっても、社員とのコミュニケーションがうまくいかなければ、成功につながりません。
できることなら、現経営陣のまま、企業風土を変えたいでしょう。
企業風土を変えるために重要なのは、経営理念とコミュニケーションです。
「こんな会社にしたい」という想いを、社員と共有し続けると、しだいに想いが一つになり、企業風土となって根づきます。
企業風土を変えるステップ
企業風土を変えるステップに、絶対的なルールは存在しません。
参考に一つの例を紹介します。
1.ビジョンの明確化
どのような将来像を持っているのか、ビジョンを明確化する
2.経営理念などに言語化
ビジョンを経営理念、コンセプトなどに言語化する。
言語化する理由は、コミュニケーションで共有するためです。
言語化しないと、共有できないからです。
3.ビジョンを達成できる企業の風土を言語化
チャンドラーの有名な言葉に、「組織は、戦略に従う」があります。
ビジョンを達成する為に、どのような組織体制が望ましいか、どのような企業文化が望ましいかを言語化します。
4.ビジョン、経営理念など想いを社員と共有する
企業内のコミュニケーションを活発にし、信頼関係を醸成し、想いを一つにします。
5.進捗を確認し、行動をチェックする
想いを共有しても、ビジョンに向かって前進していないのであれば、修正が必要です。
ビジョンに向かって効率よく進めるためと、軍隊のような企業風土にしたいと考えても、社員が納得しないのであれば成立しないです。
3~5のPDCAサイクルを回し続けているうちに、企業風土が醸成されてきます。
3を繰り返す理由は、方向性が正しいかを、チェックと修正をつづける必要があるからです。
保守的なのか、革新的なのか、どのような企業風土が良いのか、外部環境の状況によって変化するからです。
ハードアプローチとソフトアプローチ
企業風土を変える方法は、簡単ではありません。
そのため、ハードアプローチとソフトアプローチを上手く組み合わせるが大切です。
【ハードアプローチ】
制度として、仕組み化します。
たとえば、コミュニケーションを活発にしたいなら、コミュニケーションの機会を仕組みとして導入します。
チャレンジ精神を高くしたいなら、チャレンジしないと評価されないような仕組みを導入します。
デメリットは、強引に型にはめようとすると、窮屈になる点です。
柔軟性が失われ、社員のモチベーションを低下させる恐れがあります。
【ソフトアプローチ】
コミュニケーション能力強化によって進めます。
仕組み化すると、良い悪いが明確化しますが、悪いに該当したときのフォローがありません。
どのような企業風土にしたいかに左右されますが、臨機応変なフォローの仕方まで仕組み化はできません。
どのように信頼関係を作っていくかは、コミュニケーション能力の強化のスピードに左右されます。
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企業風土を変える際の留意点
企業風土を変える際の留意点。
大切なのは、強力なリーダーシップです。
そして、継続です。
企業風土に、完成形は存在しません。
「企業風土を、時代に合わせて変え続ける企業風土を作る」が重要なポイントになります。
失敗要因
企業風土改革を失敗する要因は、「途中であきらめる」、もしくは「追い詰められて、慌てて変えようとする」が考えられます。
企業風土改革は、時間がかかります。
今までのやり方に慣れきっている社員は、「やり方を変える」に抵抗します。
特に権限や責任の強い社員ほど、抵抗します。
今までの経験を捨てなければならないからです。
その抵抗は、簡単には崩せません。
それで途中で、企業風土を変えるのは無理と、あきらめてしまいます。
企業風土を変えなければ、業績不振が止められず、窮地に追い込まれる場合があります。
そのような状況で、慌てて変えようとしても変えられません。
経営不振に陥っている会社が、なかなか不振から抜けられないのは、そのためです。
全員で想いを共有するために、コミュニケーションの質改善がもとめられます。
成功要因
企業風土改革を成功するには、失敗する要因の、逆をやり続ければよいだけです。
追い詰められてから、慌ててやらないように、「早め早めに、少しずつでも、企業風土改革に取り掛かる」です。
権限と責任の強い社員の理解が得られるように、何度もコミュニケーションの機会をつくることが大切です。
また、コミュニケーション能力の強化も大切です。
企業風土改革が、会社にとって、社員にとって、魅力的なものだとわかると、前に進み始めるでしょう。
社員が抵抗するのは、企業風土改革が自分自身にとって、デメリットしか感じないからです。
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企業風土を変革しよう
会社の業績が、低迷しているのであれば、企業風土のチェックも大切です。
新商品、新サービスなど、ビジネスアイデアが思い浮かばないからだという場合も、企業風土の影響を受けています。
社員が報連相をしないなど、コミュニケーションの問題を抱えている場合も、企業風土の影響を受けています。
企業風土は、会社の経営をサポートするために存在しますが、状況によっては大きなブレーキになります。
経営改善に、企業風土が大きな壁になっていると感じたら、思い切って企業風土変革に取り掛かりましょう。
もちろん、企業風土の変革には時間がかかります。
焦らずゆっくりマイペースに、でも着実に進めましょう。
マイペースに進めたいのであれば、「早く始める」が大切です。
弊社は、企業風土改善のサポートを行っています。
ぜひご活用ください。