部下のやる気を引き出すコミュニケーション方法
日本は、少子化が進み、超高齢化社会を突き進んでいます。
労働人口の減少が、大きな課題となっています。
新型コロナの影響により、人手不足感は解消されています。
しかし、長い目でみると、人手不足の傾向は変わらないでしょう。
人材確保の費用が、高騰を続けるでしょう。
国も、最低賃金の上昇を進めようとしています。
これ以上の人件費アップが、苦しい中小企業にとっては、大きな問題です。
加えて、社員の離職率改善も課題となっています。
優秀な人材の採用や獲得が難しい中、社員の離職率を下げる取り組みが必要とされています。
社員の離職を防ぐには、やる気を引き出す、モチベーションマネジメントが必要です。
上司が、部下のモチベーションをマネジメントする方法を説明します。
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【目次】 |
部下のモチベーションが経営課題
モチベーションとは、日本語で表現すると、「意欲」「動機」「やる気」などといった言葉で表現されます。
近年、社員のモチベーションが、会社の経営課題になっています。
社員のモチベーションが、会社の業績に大きな影響を与えるからです。
部下のやる気など、モチベーションのマネジメントが、上司の大きな役割となっています。
モチベーションアップが必要な理由
社員のモチベーションアップには、次のような効果があります。
・作業の処理スピードが速くなる
・課題にぶつかっても、自ら解決しようと努力する
・チームメンバーへの気遣いができる
・指示待ちにならず、主体的に行動する
・離職する可能性が減少する
これらのメリットは、モチベーションの高さと相関して強くなります。
「モチベーションが高ければ高いほど、生産性が高まる」です。
会社の業績を左右するので、社員のモチベーションアップが求められているのです。
モチベーションを下げる要因
社員のモチベーションを下げてしまう要因は、「社員が退職する理由」から読み取れます。
会社の仕事に対して、モチベーションが下がりきった結果、「退職の決断に至る」と考えられるからです。
参考に、リクナビネクストが行った、アンケート「退職理由の本音ランキング」を紹介します。
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)
(出典:リクナビネクスト「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/)
ランキング結果より、上司の関わり方が、部下のモチベーションを下げる要因であると分かります。
言い換えると、「上司の関わり方次第で、部下のモチベーションを高められる」と考えられます。
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部下のモチベーションマネジメント
企業内では、部下のモチベーションは、上司にマネジメントがもとめられています。
部下と直接関わるのが上司であり、上司の関わり方が、部下のモチベーションに大きな影響を与えるからです。
チームメンバーに一人でも、モチベーションの低い人材が存在すると、他のメンバーのモチベーションを下げるなど、悪影響を及ぼします。
モチベーションマネジメントが、上手く機能すると、チーム全体のモチベーションを高められます。
モチベーションマネジメントとは
モチベーションマネジメントとは、社員のモチベーションをアップさせる施策です。
重要なポイントは、「社員の『やりたい』気持ちを引き出す」と、「社員それぞれ、『やりたい』の対象が異なる」の2つです。
社員は、会社や上司から「やる気を出しなさい」と言われても、モチベーションは高まりません。
社員自身から、「やりたい」気持ちを引き出す必要があります。
しかし、何に対して「やりたい」気持ちになるかは、社員それぞれ異なります。
何に対してモチベーションが高まるのか、コミュニケーションを密にして、確認しなければなりません。
モチベーション理論について
モチベーションを高める方法について、「具体的にどうすれば良いのか」、昔から多くの研究がされてきました。
数あるモチベーション理論の中から、わかりやすい「マズローの欲求段階説」と、「ハーズバーグの動機づけ-衛生理論」について説明します。
マズローの欲求段階説
マズローの欲求段階説とは、「人の欲求は5つの階層に分かれていて、下位の階層の欲求が満たされると、その上位の欲求を満たすモチベーションが高まる」とされています。
5つの階層は、下位から順に次のようになっています。
第1階層:生理的欲求
第2階層:安全欲求
第3階層:社会的欲求
第4階層:尊厳欲求
第5階層:自己実現欲求
「生理的欲求」と「安全欲求」は、生きるための欲求です。
「社会的欲求」は、会社などに所属したい、仲間になりたい欲求です。
会社が求めるモチベーションの高い状況は、社員が自ら成長したい「自己実現欲求」が高まっている状態に該当します。
「自己実現欲求」が高まるには、下位の「尊厳欲求」まで満たされた状態にする必要があります。
「尊厳欲求」が満たされている状態とは、上司や同僚から認められている状態です。
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論とは、「人の不満足を解消する要因」と「モチベーションを高める要因」は別物とする理論です。
人の不満足を解消する要因は、「衛生要因」と呼びます。
人のモチベーションを高める要因は、「動機づけ要因」と呼びます。
【衛生要因の一例】
・給料
・福利厚生
・職場の設備などの環境
・労働条件
など
【動機づけ要因の一例】
・達成
・承認
・成長
・やりがいのある仕事
など
「衛生要因」は、悪化すると不満足につながります。
良くするとモチベーションを一時的に高める効果はありますが、持続性がなく、次第に慣れてきます。
モチベーションを高めるには、「動機づけ要因」の刺激が大切です。
モチベーションを高める方法
モチベーションを高めるための方法について、「モチベーション理論」からヒントを得ます。
マズローの欲求段階説から、「尊厳欲求」を満たす方法について説明します。
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論から、「動機づけ要因」を刺激する方法について説明します。
ストレスを減らす
「痛み」を避けるか「快」を得たい
尊厳欲求を満たす
マズローの欲求段階説から、主体的に行動できるようにするには、「尊厳欲求」を満たす必要があります。
「尊厳欲求」とは、「承認欲求」ともよばれ、「認めてもらいたい」という欲求です。
「承認欲求」が満たされていない状態とは、「否定・非難される」「無視される」という状況です。
「失敗に対して、すぐ怒る」を繰り返していると、社員は怒られたくないので、消極的になります。
「承認欲求」を満たすには、成功失敗に関わらず「行動した事実」を「認める」が、大切です。
多くの上司が、失敗した仕事に対しては叱ります。
しかし、正常に処理した仕事は「当たり前」と判断します。
「褒める」など、相手を認める行為をとりません。
「叱る」が、禁止ではありません。
しかし、「叱る」が多くなりすぎると、社員を消極的にしてしまいます。
「叱る」だけでなく、「認める」など、バランスが大切です。
万が一失敗した場合でも、チャレンジした事実に対して、認められる環境になれば、社員は安心して主体的に行動するようになります。
動機づけ要因を刺激する
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論から、社員のモチベーションを高めるには、「動機づけ要因」を刺激する必要があります。
・達成感を与える
・やりがいの仕事を与える
・昇進させる
・権限と責任を与える
これらを仕組みとして取り入れると、社員のやる気、モチベーションが高まります。
同時に認められているという、「尊厳欲求」も満たされます。
大切なポイントは、何を達成したいかは、社員それぞれ異なる点です。
社員それぞれの異なる「動機づけ要因」を確認する必要があります。
確認する手法として、近年注目されているのが、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談です。
尊厳欲求を満たし、部下のやりがいを引き出すコミュニケーションをいいます。
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コミュニケーションの質を改善
社員のモチベーションがアップするかは、上司の関わり方次第です。
部下のモチベーションを高めるには、「部下がどのような物事に対して、モチベーションが高まるのかを確認する」です。
また、部下の仕事に対する承認など、「上司が、部下とのコミュニケーションの質を改善する」が大切です。
まずは、上司が、部下の話を聴く機会を増やす、仕組みづくりから始めましょう。