退職理由ランキングに注目!離職を減らす改善策
社員を採用しては、すぐ辞められてしまう。
離職率の高い職場は、社員が育ちません。
そのため、生産性が改善しません。
意図しない社員の退職は、会社に大きなダメージを与えます。
採用コスト、教育コストが大きくのしかかります。
どうせ辞められるなら、採用しなかった方が会社にとっては良かったかもしれません。
高い離職率は、必ず改善しなければならない課題です。
離職率を減らす対策方法について、退職理由ランキングから考えます。
【目次】 |
離職率が高くなる要因
離職率が高くなるには、高くなる理由が存在します。
社員がどうして退職するのか、原因をつかんで、改善する取り組みが必要です。
社員が退職する理由は何でしょうか?
「我慢強さが無くなった」と捉えていませんか?
退職理由ランキング、職場のストレス要因ランキングから、客観的に離職率が高くなる要因を確認してみましょう。
退職理由ランキングを確認
社員の退職理由の多くを占めるのが、人間関係と言われています。
リクナビネクストの退職理由アンケート結果は、次のようになっています。
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)
(出典:リクナビネクスト:転職理由と退職理由の本音ランキング:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/)
多くの部分が人間関係が関係しているのがわかるでしょう。
人間関係の悪化はコミュニケーション不足により発生します。
仕事の仕方や、仕事の内容、労働環境、社風、経営方針、評価などの不満も、コミュニケーション不足により発生します。
「給料が低かった」は評価してもらえない。
「仕事が面白くなかった」は上司や先輩からつまらない仕事しかさせてもらえない。
「キャリアアップしたかった」は希望を聞いてもらえなかった。
すべてコミュニケーションの問題であると考えられます。
退職を防ぐには、コミュニケーション能力の強化が必須です。
職場のストレス要因ランキングを確認
社員が退職する理由は、仕事に対するストレスが限界にきて、最終手段として決断するものです。
職場のストレス要因ランキングも確認しなければなりません。
Wrike株式会社による職場のストレス要因ランキングは、次のようになっています。
1位 仕事量が多すぎる・・・14.5%
2位 コミュニケーションが足りていない・・・11.4%
3位 上司が威圧的で細かいことまで指示を出す・・・9.4%
4位 チームメンバーが自分の職務を果たさない・・・9.2%
5位 業務の責任が不明瞭である・・・8.9%調査対象: 全国18~64歳の男女1,034名(男性442名、女性592名)(人口構成比と本調査対象者の出現率に合わせて割付)※自営業を除く会社員が対象
調査方法: インターネットリサーチ
調査日: 2018年11月29日(木)~11月30日(金)
(出典:Wrike株式会社:職場でのストレスの原因:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000041519.html)
1位の「仕事量が多すぎる」以外は、メンバーとの業務上の関係性での不満がストレスになっているのがわかります。
仕事量が多すぎるのも、「上司が仕事を押し付けてくる」「仕事の負担割合が不公平」などかもしれません。
全体的にコミュニケーション不足がストレス要因となっています。
職場のストレス要因を解消するには、コミュニケーション能力強化がもとめられます。
【コラム】ビジネスでワンチームに-会社組織の一体感を醸成する方法
離職率を下げるモチベーション理論
離職率を下げるには、社員のストレスを減らさなければなりません。
しかし、ストレスが減っても、モチベーションが低いままでは、離職につながる恐れがあります。
逆にモチベーションを高めるとストレスが軽減されます。
離職率を減らすには、モチベーションを高める施策が効果的です。
モチベーション理論から説明します。
ハーズバーグの動機づけ-衛生理論
社員のモチベーションを高めるために、「給料アップ」「福利厚生を改善」などを中心に考えていませんか?
取り組みんでいるにもかかわらず、「社員のモチベーションが改善しない」と問題に感じていませんか?
もしくは、「うちは給料が低いから、社員のモチベーションを上げられない」と考えていないでしょうか?
「モチベーションアップに、給料や福利厚生はそれほど関係がない」という考え方が「ハーズバーグの動機づけ-衛生理論」です。
実際、トヨタ自動車の社員ほど給料をもらってないのに、モチベーションの高い社員がいる中小企業は多く存在します。
「ハーズバーグの動機づけ-衛生理論」では、モチベーションアップ要因を大きく2つのタイプにわけます。
「動機づけ要因」と「衛生要因」です。
動機づけ要因とは
・達成する
・認められる
・昇進
など「成長したい」「成功したい」といった要因です。
衛生要因とは
・給料
・福利厚生
・職場環境
など「きれいな職場で仕事がしたい」などといった要因です。
「衛生要因」の注意点は、すぐに慣れてしまうので、一時的な効果しかありません。
モチベーションを引き出すには、何度も給料をアップしなければならなければなりません。
また、給料が下がると不満足につながりモチベーションを下げます。
社員のモチベーションアップをはかるなら、動機づけ要因に焦点を当てるのが大切です。
マズローの欲求段階説
社員のモチベーションアップを考える時、マズローの欲求段階説に沿って考えるとわかりやすいので紹介します。
マズローの欲求段階説では、人の欲求は5つの階層に分かれているとします。
下位の欲求が満たされて、初めて上位の欲求へのモチベーションが高まるという考え方です。
マズローの欲求段階説は下位から次のように構成されます。
第1階層:生理的欲求
第2階層:安全欲求
第3階層:社会的欲求
第4階層:承認欲求
第5階層:自己実現欲求
第1~3階層は、安心して会社に努められている状態です。
「給料が低い」とか「仕事の量が多い」などが発生していると、上の階層のモチベーションが高まりません。
第4階層は「評価されている」と感じないと満たされません。
給料が低いのも「評価されていない」とつながる可能性があります。
最低でも第4階層までの欲求を満たさないと、社員のモチベーションは低く、退職のリスクがつきまといます。
モチベーションを高めるには、承認欲求を満たす必要があります。
承認欲求を満たすカギとなるのが、上司のコミュニケーション能力です。
離職率を下げる施策
離職率を下げるには、「動機づけ要因を与える」「マズローの承認欲求まで満たす」がもとめられます。
「社員の仕事を承認し、期待している事柄を伝え、社員のやりたい希望を引き出し、サポートする」を実施します。
その方法として近年注目されているのが、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングの導入
大企業を中心に、社員のモチベーションアップ、主体性を引き出す目的で、1on1ミーティングの活用が広がっています。
1on1ミーティングとは、上司と部下の面談です。
評価面談との違いは、「目的」と「方法」と「頻度」です。
1on1ミーティングの特徴は、次のとおりです。
目的:部下の主体性を引き出し、成長を促す
方法:上司は部下の話を聴くに専念する
頻度:週1回~月1回の高頻度
1回の面談は30分~1時間で、進め方に決まりはありませんがGROWモデルに沿うケースが多いです。
GROWモデルとは、次の単語の頭文字をとったものです。
Goal(ゴール)
Reality(現状)
Option(選択肢)
Will(意思)
GROWの順に話を進めると、次のようなイメージになります。(テーマがキャリアプランとしたとき)
1.目指すキャリアのゴールを明確化します
2.ゴールに対して現状を明確化します
3.ゴールと現状を埋める行動(選択肢)を明確化します
4.どの選択肢から実行に移すか(意思)を宣言してもらいます
ポイントは「行動を促す」です。
1on1ミーティング⇒行動⇒1on1ミーティング⇒行動⇒・・を繰り返しで成長を促します。
繰り返しによって、成長を実感できる。
繰り返しによって、上司との関係性が強化される。
結果的に、仕事へのモチベーションが高まり、退職の抑制が期待できます。
管理職のコミュニケーション能力強化
離職率改善の施策として、1on1ミーティングの導入をオススメします。
重要なポイントは、「1on1ミーティングの効果は、上司のコミュニケーション能力の左右される」です。
また1on1ミーティングに限らず、職場の人間関係など、社員が退職する理由ランキングの上位を解消するには、管理職のコミュニケーション能力強化が必要です。
社員が退職する理由の上位に、「上司との人間関係」があるからです。
人間関係の悪化は、コミュニケーションの質の悪化によります。
コミュニケーション能力が低いのは、部下の方だと思われるかもしれません。
確かにそうかもしれません。
だからこそ、管理職には「さまざまなレベルの部下に合わせる柔軟なコミュニケーション能力」がもとめられるのです。
なぜなら、部下のコミュニケーション能力は、すぐに上がらないからです。
部下のコミュニケーション能力が高くなるまで待つのであれば、管理職としての責任が果たせません。
管理職にもとめられるコミュニケーション能力について、部下のころとは性質が変わります。
部下のころは、報連相やプレゼンテーションなど「話す力」の強化がもとめられていました。
管理職になるとチームメンバーのモチベーションを引き出し、チームをまとめる「聴く力」の強化がもとめられます。
「聴く力」の強化には、コーチング・コミュニケーションのトレーニングが必要です。
コーチングスキルをコミュニケーションに活用すると、「聴く力」を強化したコミュニケーションが取れるようになります。
【コラム】チームワークの一体感を醸成するコミュニケーション方法
発言しやすく働きやすい職場環境を
今後、日本では労働生産人口の減少が見込まれています。
企業は、優秀な人材の囲い込みをもとめられます。
しかし、優秀な人材を雇おうとすると、大きなお金が必要になります。
だから、社内で優秀な人材の育成がもとめられます。
社員の教育訓練は、長期的な計画になります。
育成途中に退職されるとふりだしに戻り、お金と時間が無駄になります。
社員の離職率を下げなければなりません。
社員の退職を防ぐために、退職理由ランキング、職場のストレス要因ランキングを確認しました。
定着率を高めるには、職場の人間関係を改善し、働きやすい環境づくりが大切です。
管理職のコミュニケーション能力強化にとりかかりましょう。