連鎖退職とは~若手社員が退職する原因と対処方法
人手不足が深刻になり、労働者の売り手市場といわれているなか、若手社員の連鎖退職が問題になっています。
新型コロナウイルス感染拡大による影響により、従業員の人手不足の状況は変わりつつあります。
しかし、日本の労働人口が減少傾向にあり、再び連鎖退職が問題になる可能性は常にあります。
若手社員の連鎖退職が発生すると、次のような問題につながります。
・採用、育成にかかった時間と費用が無駄になる
・もう一度採用、育成をする必要があり、その間、会社の成長は止まる
・残った人に、辞めた人の仕事の負担が来る
・残った人のメンタルヘルスなど、健康の心配が生じる
・残った社員の疲労増加により、生産性が落ちる
・仕事ができる人とできない人に、仕事の負担の差が生じる
・さらに退職者を誘発する可能性が高まる
「若手社員の連鎖退職」は、会社にとって大きな問題です。
若手社員を部下にもつ、上司の責任は重大です。
モチベーションの低い若手社員が配属されてくることは、上司にとっては不可抗力です。
しかし、部下が連鎖的に辞める場合は、上司や会社に原因があると考えられます。
若手社員の退職に対処するには、管理職のコミュニケーション能力強化が求められます。
社員の退職理由の多くを、上司との人間関係が占めるからです。
【コラム】部下が退職を決意する前にモチベーション低下の理由に気づく方法
【目次】 |
連鎖退職とは
連鎖退職というキーワードが、話題になっています。
最近では入社と同時に、転職サイトに登録する若手社員も多いそうです。
若手社員の連鎖退職が発生すると、大きな損失です。
生産性が落ち込むだけでなく、採用や育成にかかったコストも全て無駄になります。
また一からやり直しになると、生産性が上がらない期間が長期化します。
若手社員の連鎖退職の問題について説明します。
若手社員の連鎖退職が発生する2つの原因
どうして若手社員の連鎖退職が発生するのでしょうか?
インターネットの普及によって、「同調しやすい社会になった」も原因と考えられます。
「みんなが行くから行く」「みんなが買ってるから買う」など、みんなと同じように行動することが安心だからではないかと考えられています。
そのような社会的心理がはたらく状況を踏まえて、若手社員の連鎖退職が生まれる原因は2つ。
・会社を辞めたい気持ちの社員が増えた状態になる
・実際に会社を辞める行動に出る若手社員が現れる
この2つが重なると、若手社員の連鎖退職が発生します。
若手社員の連鎖退職によって起きる問題
一人辞められるだけでも大変なのに、複数人、同時に辞められると残された社員は大変です。
仕事は減らないので、社員一人あたりの仕事の負担が増えます。
本当は辞める気が無かった社員まで、仕事の負担増が原因で辞めるかもしれません。
若手社員の連鎖退職で発生する問題は、大きなものになります。
さらには、残った社員がストレスや過労でダウンするかもしれません。
そうして、悪循環が生まれる可能性が高まります。
他にも、採用・教育にかかったコストも無駄になります。
そして、採用・教育を一からやりなおさなければなりません。
企業イメージが悪くなれば、新しい社員も入ってこなくなります。
若手社員の連鎖退職には、発生を防ぐ、早めの対応が必要です。
【コラム】部下のモチベーションを下げるタイプの上司にならない
若手社員の連鎖退職の対処法
若手社員の連鎖退職に対する対処法は、「会社を辞めたい気持ちにさせない」です。
ストレスの原因を排除し、「ここで働きたい気持ちを大きくさせる」が重要です。
連鎖退職の理由は上司が原因?
退職原因の解消が、若手社員の連鎖退職の対処法に必要です。
退職される方の退職理由は何でしょうか?
エン転職のアンケート結果によると、以下のようになります。
1位:給与が低かった
2位:やりがい・達成感を感じない
3位:企業の将来性に疑問を感じた
4位:人間関係が悪かった
5位:残業・休日出勤など拘束時間が長かった<<出典:エン転職:アンケートテーマ:「退職理由」について
アンケート実施期間:2018年2月26日(月)~2018年3月27日(火)有効回答数:8,668名>>
上位から一つずつ無くせば、若手社員の退職する理由は無くなります。
無くなれば、連鎖退職に対処できます。
アンケート結果より、上司が原因となっている場合が多いのがわかります。
退職したい気持ちが強くなるかどうかは、経営者や管理職がどのようなコミュニケーションを取るかで変わります。
給料が低くても、やりがいを感じる会社は存在します。
やりがい達成感を感じないのは、会社や上司が評価してくれないと感じているからです。
将来性に疑問を感じる場合は、会社の将来性を期待させるようなメッセージを発信していないからです。
拘束時間が長いと感じるのは、やりがい達成感を感じないからです。
「人間関係=コミュニケーション」と言い換えることができます。
「コミュニケーションが活発な職場にする」で、連鎖退職に対処できます。
モチベーションを高め、連鎖退職に対処する
ストレスを解消するだけでは、モチベーションアップにはつながりません。
若手社員の連鎖退職を防ぐには、「働きがい」「やりがい」がある会社になる必要があります。
モチベーションを高める方法に、一番やりがち間違いが存在します。
それは、本人の意思を無視して、会社側が「こうしたらやる気が出るだろう」を押しつけるモチベーションアップ施策です。
「役を与えればモチベーションが上がる」を真に受けて、本人がやりたくない役を押しつけるケースも見られます。
モチベーションアップさせたいなら、本人がどのような仕事にやりがいを感じるのかの確認が必要です。
会社側が、それを叶えられるかどうかはわかりません。
しかし、確認するかしないかだけで、若手社員の会社に対する評価は変わります。
若手社員のモチベーションが高まる環境を作り、連鎖退職に対処しましょう。
若手の連鎖退職を防ぐ職場環境に改善する
モチベーションを高めたいなら、コミュニケーションが活発な職場環境してください。
チームワークの良い職場を作る時、経営学者のバーナードが提唱の組織の3要素を意識してください。
組織の3要素とは、以下の3つです。
・共通目的
・協働意欲、モチベーション
・コミュニケーション
このチームのために頑張ろうというモチベーションは、コミュニケーションで引き出されます。
退職理由に「会社の将来性に疑問を感じた」があります。
チームには魅力的なビジョンや目的が、必要なのです。
それを指し示すリーダーシップが重要です。
リーダーシップ
他のサイトの退職理由ランキングを見ると、「上司との人間関係」も目立ちます。
これまで仕事されてきた方は、「上司次第で、仕事のしやすさが変わる」は、理解できるのではないでしょうか?
上司次第で、この会社が好きになる場合も、嫌いになる場合もあります。
リーダーシップにも、コミュニケーション能力が必要なのです。
コミュニケーション
「コミュニケーション能力をつけなさい」
何度も言われてきたのではないでしょうか。
どのように伝えたら若手社員に分かってもらえるのだろうか?
試行錯誤しながら、伝え方を磨いてこられたと思います。
それでも若手社員とのコミュニケーションが上手くいかないとしたら、「聴く力」が不足しているのかもしれません。
コミュニケーションは「話す力」と「聴く力」の双方向で成り立ちます。
「話す力」だけの強化では、効果が小さいです。
「話す力」に偏ると、「どうやって部下を指示命令に従わせるか」になります。
部下を力でコントロールしようとすると、反発されます。
最悪、パワハラやブラックと評価される場合もあります。
「どうしたら若手社員にわかってもらえるのだろうか?」の前に、「どうしたら若手社員をわかってあげられるのだろうか?」が必要です。
わかってもらえないから、評価してくれないと感じるのです。
まず「聴く力」を強化してください。
【コラム】コミュニケーション能力とは-仕事で必要とされる理由と高める方法
若手社員の連鎖退職を防ぐ「聴く力」を強化する方法
「聴く力とは?」と聞いても、多くな方が曖昧な理解をしています。
強化するにしても、何をすれば良いかわかりません。
連鎖退職を防ぐには、「聴く力」について正しく理解することが大切です。
「聴く力」の強化の方法について、コーチングについて説明します。
コーチングとは
コーチングとは、「相手の目標達成をサポートする」スキルです。
ただし、コンサルタントやティーチングのように、原則「教える」をしません。
相手から「気づき」を引き出してサポートします。
この「引き出す力」が「聴く力」です。
「本音を引き出す」が、もっとも重要です。
コーチングスキルと聴く力
コーチングを学ぶと、相手から本音を引き出すトレーニングを行います。
本音を話してくれるのは、「信頼関係が構築されている」からです。
信頼関係構築から、相手の本音を引き出すまでが「聴く力」です。
つまり、「聴く力」ができている状態では、上司と部下の人間関係は良好です。
上司との人間関係で退職することは、発生しないでしょう。
管理職になったら、コーチングスキルのトレーニングを行って「聴く力を強化する」ことをオススメします。
注意点としては、「聴く力」習得には、長時間のトレーニングが必要であることです。
【コラム】傾聴力・質問力とは~コーチングスキルを活用したトレーニング方法
上司の聴く力を強化して若手社員の連鎖退職に対処
若手社員の退社が少ない会社は「人間関係が良い」「会社に将来性を感じる」「きちんと評価してくれる」といった条件が整っています。
やりがいの感じられる職場です。
これらをつなげてくれる基盤となるものが、コミュニケーション能力です。
コミュニケーション力を強化するには「聴く力」を意識することが大切です。
「聴く力」を強化する方法を、知らない方もまた多く存在します。
コーチングスキルを学ぶと、「聴く力」が強化できます。
弊社ではコーチングスキルを取り入れたコーチング・コミュニケーション研修をおこなっています。
聴く力に重点を置いた、コミュニケーション能力強化をサポートしています。
ぜひご活用ください。
聴く力コミュニケーションを強化し、連鎖退職のないチームワークの強い組織づくりをしましょう。