1on1ミーティングの効果を高める傾聴力と質問力
人材不足や早期退職募集、新卒一括採用の廃止など、人材の流動化が大きくなることがよそくされます。
働き方改革の影響により、人材の育成を強化し、組織の生産性を向上させようという動きが強くなっています。
「人材育成を強化しなければならない」といった理由が、1on1ミーティングの導入が広がっている理由です。
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談です。
1on1ミーティングは、とても有効な手法ですが、上司の「傾聴力」「質問力」によって、効果が左右されます。
しかし、「傾聴力」「質問力」の強化方法に悩まれる方は多いです。
「傾聴力」「質問力」を強化する方法として、コーチングスキルの習得をオススメしています。
1on1ミーティングとコーチングスキルの関係について説明します。
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| 【目次】 | 
1on1ミーティングとは
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1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談です。
近年、大企業を中心に導入が進んでいます。
上司と部下の評価面談との違いについて説明します。
1on1ミーティングの目的と効果
1on1ミーティングの目的は、部下の成長です。
評価面談と異なるのは、「部下を指導する」ではなく、「部下の主体性を引き出す」ところです。
1on1ミーティングでは、話しているのは部下の方になり、上司は聴き役に回ります。
1on1ミーティングの導入の背景は、上司の一方的な指導では、問題が発生してきたからです。
・指示されないと動かない
・わからない問題に対して、考える力が無い
・指示された仕事だけをやっているので、モチベーションが低い
結果、生産性の低下や離職率の上昇などの原因へとつながります。
各種問題の改善を目的に導入されているのが、1on1ミーティングです。
部下が主体的に考え、行動し、上司のサポートによって、部下の成長を促します。
1on1ミーティングの進め方
1on1ミーティングと評価面談との大きな違いは、頻度です。
1週間に1回~月に1回のペースで実施します。
1回あたり30分~1時間程度行います。
面談時間の8割ぐらいは、部下が話をしている状態をつくります。
テーマは、部下が決めます。
進め方は、GROWモデルに沿って進めるのが一般的です。
GROWモデルとは、以下の単語の頭文字をとったものです。
Goal(ゴール)
Reality(現状)
Option(選択肢)
Will(意思)
参考に、進め方を紹介します。
1.前回のセッション後、行動の結果を確認する
2.今回のセッションで話したいテーマを確認する
3.テーマについて、理想の状態(ゴール)を確認する
4.(ゴール)に対する(現状)を確認する
5.(ゴール)と(現状)のギャップを埋める施策(選択肢)を確認する
6.次のセッションまでに行う施策を宣言(意思)してもらう
この流れのセッションを、頻度を上げて、繰り返します。
必ず行動につなげることによって、部下の成長が促されます。
【コラム】コーチングの資格は独学でも取得できる?~コーチングの勉強方法~
1on1ミーティングの難しさ
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1on1ミーティングは効果的な手法です。
しかし、効果は上司のスキルに左右されます。
特に「聴く力」を強化したコミュニケーション能力が必要です。
「聴く力」を構成するスキルの中に、「傾聴力」と「質問力」があります。
上司の時間が奪われる
1on1ミーティングでは、上司はアドバイスを行いません。
部下が主体的に話ながら、自分自身の行動を決めます。
指示待ちが癖になり、考える力が低下している部下の場合、行動につながるまで時間がかかります。
1on1ミーティングは、高頻度で繰り返すため、上司の時間が奪われます。
もし、部下が10人いて、週1回のペースで行うとするなら、週の1日は1on1ミーティングだけで終わってしまいます。
効果の生まれない1on1ミーティングが長く続けば、大きな損失となります。
ムダなことをやらされているという気持ちになるかもしれません。
コミュニケーション能力に左右される
1on1ミーティングは、部下のモチベーションアップには、効果的な手法です。
しかし、上司のコミュニケーション能力に大きく左右されます。
場合によっては、部下のモチベーションを下げる1on1ミーティングも存在します。
特に、恐れられている上司、嫌われている上司、信用されていない上司の場合、意味のない1on1ミーティングになる可能性が高いです。
なぜなら、1on1ミーティングでは、部下が本音で話をしてくれるかどうかで、効果が左右されるからです。
極端な話、建前ばかり話されても、何も効果がうまれません。
傾聴力が必要
1on1ミーティングには、傾聴力が必要です。
1on1ミーティング中の8割ぐらいは、部下が話している状況をつくります。
傾聴力の無い上司の場合、部下がなかなか本音を話してくれません。
沈黙に耐え切れなくなって、上司ばかり話す状況になりがちです。
テーマを確認しても、「話したいことはない」と言われて、固まるケースも存在します。
「傾聴力」とは、相手が安心して、本音で話せる環境をつくる力です。
つまり、信頼関係構築ができていて、初めて可能になります。
傾聴力の低い上司にとっては、大きな壁になります。
質問力が必要
1on1ミーティングでは、質問力も必要です。
「質問力」とは、部下の視点を広げ、気づきを引き出す力です。
質問力が無いと、なかなか視点を広げられません。
問題に焦点をあてる質問は得意ですが、未来志向の質問を苦手とされる上司が多いです。
質問が出てこなくなり行き詰まり、話が止まってしまいます。
そして、上司による尋問、詰問、もしくはアドバイスが始まります。
質問力が無いと、ただの愚痴聞き会、普通の評価面談のようになってしまいます。
1on1ミーティングの効果を高める
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1on1ミーティングの時間を有意義なものにしたいのであれば、1on1ミーティングのスキルアップが必要です。
上司が聴き役に徹しますが、会社に対する不満を聴くだけの場になってはもったいないです。
上司の聴く力の強化が必要です。
聴く力コミュニケーション能力の強化を
1on1ミーティングをする多くの上司が悩むのが、「何を話せばよいのか?」です。
極端な話、上司は聴き役に徹するので、何も話さなくて良いです。
ただし、部下が「何を話せばよいのか?」がわからないので、部下が話しやすいようにサポートが必要です。
それが、聴く力コミュニケーション能力です。
聴く力とは、「相手が、本音でどれだけたくさん話してくれるか」で表されます。
部下自身も「こんな話をしていいのだろうか?」を疑心暗鬼の中、話をします。
本音で話してくれるようになるまで、根気が必要です。
部下が話してくれないので、上司ばかり話していたら通常の面談になります。
コーチングスキルのトレーニング
1on1ミーティングのスキルアップにオススメなのが、コーチングスキルのトレーニングです。
コーチングとは、聴くに重点をおいたコミュニケーションスキルです。
コーチングセッションは、目的も方法もほぼ、1on1ミーティングと同じです。
コーチングセッションは、コーチングスキルを駆使して行います。
コーチングスキルのレベルアップによって、コーチングセッション、1on1ミーティングの効果を高められるのです。
コーチングスキルを強化する方法は、コーチングセッションを、繰り返しトレーニングするだけです。
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コーチングスキルとは
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1on1ミーティングの効果を高めるには、「聴く力」コミュニケーション能力の強化が必要です。
「聴く力」を強化する方法に、コーチングスキルのトレーニングがオススメです。
コーチングスキルとは、「傾聴力」「質問力」「フィードバック力」で構成させるスキルです。
相手に「本音でたくさん話をしてもらう」を目的の、「聴く力」を強化するスキルです。
コーチングスキルの中でも「傾聴力」「質問力」を強化するだけでも、1on1ミーティングの効果を高められます。
コーチングスキルの傾聴力
コーチングスキルでいう「傾聴力」とは、「相手に安心して、本音でたくさん話をしてもらう環境を整える力」です。
「本音で」と「たくさん」が重要です。
極端に言えば、嫌われている上司が、部下に「本音で話してくれ」といっても、すぐには話してくれません。
信頼関係構築するまでの過程が必要になります。
根気よく「認める(承認する)」という行為が必要になります。
また、上司の方が当然、知識も経験も持っています。
良かれと思って、アドバイスをしがちです。
上司が話始めると、部下は「たくさん」話せなくなります。
上司は「聴く」に専念して、部下にどんどん話しをするように促します。
傾聴の方法については、以下の通りです。
・相手の方向を見る
・適度に反応する
・「オウム返し」「それで?」のように、「もっと話して」と促す
・沈黙も恐れず、相手が話すのを待つ
これらを使いこなして、8割以上、相手が話している状況をつくります。
もちろん、部下が「無難な話をしとこう」と考えていたら、効果は無いです。
本音で話しても大丈夫なのだと「信頼関係構築」が重要です。
コーチングスキルの質問力
コーチングスキルの「質問力」は、「クライアントに、もっと話してもらう」スキルです。
傾聴だけでは、さすがに話が止まります。
新しい話の呼び水に、質問力を発揮します。
話題をどこまで広げられるかも、「質問力」の効果になります。
「もっと話をしてもらう」のが目的であるので、オープンクエスチョンを使うのが一般的です。
オープンクエスチョンとは、「はい、いいえ」で答えられない質問です。
「質問力」はとても奥が深いので、ここで全部説明ができません。
部下にとって、視野が広がり、気づきが促されるような質問を心がけるのが大切です。
質問力が低い場合、取り調べのような「尋問」になるかもしれません。
「尋問」になると、相手を委縮させ、話をさせなくなります。
そうなると、また「信頼関係構築」からやり直さなければならなくなります。
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1on1ミーティングはコーチングスキルで効果アップ
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管理職になると、チームの生産性を高めることが責務としてあたえられます。
チームの生産性は、チームメンバーの働き度合いによって左右されます。
チームメンバーの主体性、積極性を引き出すことが、管理職にもとめられます。
チームメンバーの主体性を引き出すことを目的として、1on1ミーティングの活用が広がっています。
1on1ミーティングを効果的に使えるようになると、部下のモチベーションを高め、主体性を引き出せます。
部下の自発的行動を促しますことによって、組織の生産性は大きく成長します。
しかし、1on1ミーティングを効果的に行うには、「聴く力」が必要です。
「聴く力」に、傾聴力、質問力は含まれます。
「聴く力」の強化に、コーチングスキルのトレーニングをオススメしています。
1on1ミーティングには、さらに大きなメリットが存在します。
1on1ミーティングは、信頼関係構築が前提になります。
そのため、信頼関係づくりを強化します。
上司と部下の信頼関係ができた結果、コミュニケーションが活発になり、仕事の生産性が高まります。
弊社では、「聴く力」強化のためのコーチング・コミュニケーションの研修セミナーを実施しています。
ぜひご活用ください。