ビジネスコミュニケーションの目的と改善方法
ビジネスでは、コミュニケーションが必須です。
仕事を依頼するのも、納品するのも、コミュニケーションが必要です。
チームで仕事をするなら、コミュニケーションが無ければ仕事が進みません。
指示命令、報連相、プレゼンテーション、交渉、説得、営業、評価面談など、あらゆるシーンでコミュニケーションがもとめられます。
つまり、コミュニケーションの質が、仕事の成果を左右します。
コミュニケーションが重要だとは、常に言われてきました。
しかし、いつまでも改善しません。
年齢を重ねればコミュニケーションが上達する、というものでもありません。
ビジネスでのコミュニケーションの目的と重要性、改善方法について説明します。
【コラム】メンタルヘルスとは~職場でメンタル不調者を出さない~
【目次】 |
チームの一体感が崩れている
会社は、事業部・部・課単位に分けられて、組織化されています。
各チームにリーダーを設けて、チームをまかせます。
好業績を出せるチームになれるかは、リーダー次第です。
リーダーによっては、チームビルディングに失敗することがあります。
・指示が通らない
・メンバーが発言しない
・メンバーが協力し合わない
などなど
モチベーションの温度差が大きくなる
仕事をやる人とやらない人の温度差が大きくなると、仕事に対する姿勢・モチベーションに格差が大きくなっています。
リーダーは、仕事をやる人に業務を依頼します。
まじめな人に、業務負担が集中します。
頑張る人を疲弊させ、モチベーションの低下につながるのです。
最悪、メンタルヘルスを悪化させて、ウツになります。
仕事をやらない人は、「楽してお金をもらえた方が得」としか考えてないのかもしれません。
「仕事をがんばるほど損をする」と考えるチームができているのです。
そうなると、チームの生産性は最悪の状態になります。
責任の擦り付け合いが起きる
仕事を頑張るほど損をするチームでは、現状維持バイアスが強くなります。
新しいことにチャレンジしようとすると、仕事を頑張らなければならなくなるからです。
だから、新しい提案がでてきたら全力で否定します。
「失敗したら誰が責任をとるんだ?」と。
もしくは、関わらないように、見てみぬふりをします。
新しいことを始めることに、メリットを感じないからです。
失敗したら責任をとらなければならないので、デメリットしか感じません。
そうして消極的なチームができあがり、生産性は低迷します。
【コラム】バーナード組織の3要素~共通目的・協働意欲・コミュニケーション
コミュニケーション不足が原因
「モチベーションに、温度差がある」
「責任の擦り付け合いが、発生する」
それらは、コミュニケーション不足が原因です。
目標が共有できていない
モチベーションが上がらないのは、「何のために」仕事をするのかわからないからです。
特に目的がなければ、「お金のため」だけになります。
「お金のため」だけになれば、次は、「いかに少ない労力」でとなります。
だから、仕事をやらない人が出てくるのです。
チームの目的、目指すべき目標が、魅力的でないのかもしれません。
魅力的な目標があっても、チームメンバーが知らないのかもしれません。
多くの人は、自分自身にメリットがなければ動きません。
仕事を頑張ったら、頑張っただけのメリットがあると、伝えられていますでしょうか?
上司も、両親も、「あなたのため」という言葉を使いますが、信じてもらえなければ伝わりません。
多くの場合、魅力的であるかどうかにかかわらず、各チームに目標はあります。
しかし、コミュニケーションができていないから、チームの目的・目標を知らないのです。
「会議で伝えた」「メールを送信した」だけで、コミュニケーションとったと思っているのが大きな要因です。
認め合う組織風土ができていない
「認め合う組織風土」「粗探しし合う組織風土」では、チームの生産性は大きく異なります。
人は、基本的に傷つくことを恐れます。
そのため、失敗や責められることを、回避しようとします。
失敗したくないので、チャレンジはしません。
否定されたくないので、会議では発言しません。
私たちは、基本的にネガティブな面が、フォーカスされがちです。
・30分早く出社しても褒められないけど、5分遅刻したら怒られる
・報告書は、ミスが無くても褒められませんが、ミスがあれば怒られる
同じことをしても、怒られる可能性の方が高いのです。
もし、チームの生産性を上げたいと考えるなら、「認め合う」「感謝し合う」組織風土をつくる必要があります。
ビジネスコミュニケーションとは
ビジネスシーンでは、コミュニケーション能力を高めなさいと言われます。
コミュニケーション能力が、ビジネスの成果を左右するからです。
報告・連絡・相談
会社に入って、まずもとめられるのが、「報告」「連絡」「相談」の報連相です。
報連相が無いと、業務がスムーズが進みません。
問題が見つかっても、報告がされなければ、上司は問題に気がつきません。
上司が問題に気がつかないと、問題解決が後手に回ることになります。
自分自身の考えを伝える
会社に入ると、自分自身の考えをしっかり伝えることをもとめられます。
営業など、自社商品の魅力を、お客様に伝えることも同様でしょう。
どんなに素晴らしいアイデアなどを持っていても、相手に正しく伝えられなければ、何もしていないのと同じです。
そのため、スピーチやプレゼンテーション、交渉力などが必要になります。
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
コミュニケーションの基礎知識
多くの方が、コミュニケーション能力をトレーニングしています。
しかし、いまだにコミュニケーション不全が発生しています。
いつまでも改善しないのは、コミュニケーションの基礎を正しく理解していないためです。
コミュニケーション能力とは
多くの方が、「会話」と「コミュニケーション」の違いを説明できません。
コミュニケーションの目的は、「共有」するです。
自分の考えを相手にも、「共有」してもらうことが目的です。
そのためには、相手にわかる言葉を使わないといけません。
どんなに頭の良い学者が、専門用語を使いながら丁寧に説明しても、子どもはわからないでしょう。
相手のレベルに合わせて、コミュニケーションをとらなければなりません。
「話す力」と「聴く力」
コミュニケーション不全が発生する理由は、「自分の言うことを、相手はわかってくれるだろう」との、思い込みが生じるからです。
「なるべく早く」という言葉も、具体的に伝えないと、相手のなかの「なるべく早く」の解釈とズレが生じる場合があります。
伝える前に、相手の価値観や理解レベルを、先に把握しなければならないのです。
そのために必要な力が「聴く力」です。
「聴く力」の必要性を、十分に理解しなければなりません。
コミュニケーションは、通信です。
「話す力」と「聴く力」の双方向があって、初めて成り立つのです。
「聴く力」を強化する
「聴く力を強化してください」と言われたら何をしますか?
多くの方が、聴き方のトレーニング方法を習ったことがありません。
「聴く力」の強化方法として、コーチングのトレーニングをおすすめします。
コーチングスキルを学ぶ
コーチングとは、聴くに重点をおいた、コミュニケーションスキルです。
コーチングスキルは、「傾聴」「質問」「フィードバック」で構成されています。
これらをトレーニングして強化することで、「聴く力」の強化が行われます。
トレーニングを継続する
聴く力を強化する上での注意点は、ものすごくトレーニングが必要ということです。
いきなり「話す力」が上達しないのと同様に、「聴く力」も上達まで時間がかかります。
コミュニケーションは、日本語で行われるため、聴く力が無くても分かった気になります。
そのためトレーニングを辞めてしまう方も多いですが、それでは上達しません。
長時間のトレーニングが必要です。
【コラム】公平理論とは~社員のモチベーションマネジメント方法~
コミュニケーションとコーチングの関係
「認め合う」「感謝し合う」組織風土をつくるには、メンバー全員(特にリーダー)が、コーチングスキルを取り入れたコミュニケーションを習得する必要があります。
「コミュニケーションとは」「コーチングとは」の補足説明をします。
コミュニケーションとは
まずコミュニケーションが上手くいかない原因は、コミュニケーションの目的を理解していないからです。
そのため、コミュニケーションは一方通行になりがちです。
実際、メールで連絡したら完了したと思っている人も多いです。
コミュニケーションの目的は、「共有する」です。
そして、「共有」するものは、言葉だけではありません。
その言葉の裏に含まれる、意味や感情も含めて共有される必要があるのです。
実際「そんなつもりで言ったのではないのに・・」と誤解された経験があるのではないでしょうか。
コミュニケーションの目的を理解していないので、いつまでたっても改善の力がはたらきません。
だから、常にコミュニケーションは、課題と言われ続けています。
コミュニケーションは、聴き手が理解できるような表現で伝える必要があります。
そのため、相手に伝える前に相手のレベルを理解する必要があります。
相手のレベルを理解するために、必要な力が「聴く力」です。
「聴く力」を強化するために、有効なスキルがコーチングスキルなのです。
コーチングとは
コーチングとは、「傾聴」「質問」「フィードバック」スキルを活用して、相手から話を引き出すスキルです。
相手から本音を引き出すことを、目的としたスキルです。
コーチングセッションでは、会話の9割を相手が話す時間にすることを目指します。
相手のレベルを理解するためには、相手にたくさん話をしてもらう必要があります。
だから、コーチングスキルを活用することが有効なのです。
コーチングは、「聴く力」に重点を置いています。
取り入れることで、「話す」と「聴く」双方向のコミュニケーションがとることができます。
ところで、本音で話してもらうためには、何が必要でしょうか。
提案しても、「否定される」「怒られる」などで、発言するモチベーションがなくなった職場を多く耳にします。
メンバー全員に話をしてもらうためには、発言しても安全という風土を作らなければなりません。
その発言しやすい環境づくりも、コーチングスキルには含まれています。
だから、コーチングスキルをコミュニケーションに活用すると、発言が活発なチームをつくることができるのです。
【コラム】1on1ミーティングとは~目的とメリット・デメリット~
コミュニケーションが活発な組織づくり
組織で仕事をする以上、ビジネスコミュニケーションは必須です。
ビジネスコミュニケーションの目的は、仕事の生産性アップです。
しかし、多くの職場でコミュニケーション不全を起こしています。
そして、改善が見られません。
改善が進まない理由は、「コミュニケーション=話す力」との思い込みです。
相手を論破し、説得することがコミュニケーション能力と勘違いすると、論破される側は嫌な思いをします。
コミュニケーションが活発な職場づくりには、信頼関係が欠かせません。
信頼関係をつくるためには、話を聴く力が欠かせません。
コミュニケーションに、コーチングスキルを取り入れ、聴く力を強化してください。