人材育成の強化方法~社員と会社の成長は相関する~
どのようにしたら、社員が思うように成長してくれるのか?
企業の大きさに関わらず、人材育成は課題です。
なぜなら、人材が成長しないかぎり、会社も成長できないからです。
人材育成が課題になる理由は、人それぞれ個性が存在し、成長スピードが異なるからです。
加えて、インターネットの普及により、価値観の多様化が進んでいます。
昔のように、「後輩は先輩の指示には従うもの」という価値観は無くなっているでしょう。
人材育成を強化するには、多様化する人材に合わせて、人材育成方法の工夫が大切です。
人材育成強化のポイントについて説明します。
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【目次】 |
人材育成の目的
人材育成とは、コトバンクで調べると次のように説明されています。
長期的視野に立って現実に企業に貢献できる人材を育成すること。
単に教育,訓練といった狭義の活動ではなく,主体性,自立性をもった人間としての一般的能力の向上をはかることに重点をおき,企業の業績向上と従業員の個人的能力の発揮との統合を目指す。
(出典:コトバンク「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」:https://kotobank.jp/word/人材育成-81792)
人材育成で大切なポイントは「長期的視点」です。
そして目的は、企業の持続的成長です。
会社が成長するために、人材育成によって、社員の生産性を向上します。
近年は、従業員満足度向上のためにも、人材育成は重視されています。
成長できない会社は、やりがいが無くなるからです。
社員の生産性向上
人材育成の直接的な目的は、社員の生産性向上です。
ものづくりで例えると、「1時間に10個しか作れない社員」と「1時間に100個作れる社員」では、1個あたりの生産コストは大きく異なります。
スキルの高い人材がいれば、会社の生産性が向上するのです。
技術力の高い人材が多ければ多いほど、会社の生産性が向上します。
また、新たな新商品、新サービス、基盤技術を考えるのも人材です。
人材のレベルが高いほど、新しい商品を生み出す力が強くなります。
人材が成長すればするほど、競争優位性が強化され、会社の業績が向上するのです。
「業績が悪化すると、教育訓練費を削減する」は、悪循環を生みます。
会社を持続的に成長させていくには、人材育成は欠かせません。
従業員満足度向上
近年、会社を退職する理由に「この会社では成長できないと感じた」「やりがいがない」を挙げられるケースが多いです。
人材育成に力を入れないと、社員の不満につながり、社員のモチベーションを低下させます。
結果的に、人材が成長しなければ、業績の低迷につながります。
会社は成長していくには、社員を育成し、定着させていく施策がもとめられます。
せっかく育成した社員に退職されてしまうと、これまでにかかった採用・育成コストが無駄になります。
会社が人材育成を強化する⇒従業員満足度向上⇒定着率向上⇒会社の業績向上
このような流れを生み出していくにも、人材育成の強化は欠かせません。
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人材育成の方法
人材育成の方法に、正解は無いです。
自社に合わせて、工夫をする必要があります。
ここでは、人材育成の一般的な種類について説明します。
人材育成方法の種類
人材育成の方法は、以下の4種類です。
OJT
OJTとは、上司や先輩が「仕事をしながら教える」人材育成方法です。
外部研修(OFF-JT)のように、直接的にお金が出ていくわけではないので、人材育成方法の主流となります。
直接的に仕事の生産性を高める人材育成方法なので、企業の成長との相関性は高くなります。
OJTをどれだけ強化するかによって、人材育成の効果は大きく左右されます。
OFF-JT
OFF-JTとは、主に外部の講師(他部署の人材の場合もあり)が指導する人材育成方法です。
「研修費用がかかる」「仕事が止まる」「実務に活かせるかわからない」など、デメリットもあります。
慎重に、研修選びを行わなければなりません。
しかし、社内にない新しい知識を得られると考えると、低コストともいえます。
OJTとOFF-JTの、バランスよい活用が大切です。
自己啓発
自己啓発は、社員の主体性に任せた人材育成方法です。
社員の主体性に任せており、社員のモチベーションにより、人材育成の効果は大きくばらつきます。
社員の主体性に任せるので、会社のコストは小さいです。
しかし、効果も小さくなりがちです。
会社によっては資格取得に報奨金を出すなど、自己啓発を促す仕組みを導入しています。
教育訓練動画の活用
近年は、OJTの効果を高める目的で、教育訓練動画を活用するケースが見られます。
OJTのデメリットとして、「教える先輩の仕事が止まる」「後輩のレベルによって教える時間が長くなる」「教える先輩の教え方のうまさによっても左右される」があります。
そこで教える内容を動画にまとめてしまうと、デメリットを解消できます。
・1回撮影してしまえば何回も再生できるので、先輩の仕事は止まらない
・後輩は理解できるまで何回も見返せる
・複数の後輩に対して、同じ教育を行える
人材育成の見える化
人材育成で大切なポイントは、人材育成の効果の見える化です。
効果のない人材育成方法を続けてしまう問題は、避けなければなりません。
人材育成の効果の見える化し、「PDCAサイクルを回す」が大切です。
スキルマップの作成
人材育成によって、どのようなスキルを身につける必要があるか、整理したスキルマップを作成します。
スキルマップとは、「この社員の、このスキルは、どれぐらい」を見える化したものです。
スキルマップを用意すれば、誰が何のスキルを強化する必要があるか、一目でわかります。
注意点としては、必要なスキルは外部環境の変化によって変わります。
必要なスキルを、柔軟に見直せる仕組みが必要です。
人事評価シートの作成
人事評価シートは、仕事の成果の見える化に使われるものです。
人事評価シートに、スキルのレベルを組み込みます。
社員ごとに、もとめられるスキルを記入しておき、毎期ごとに、スキルがどれぐらい向上したか、上司と本人で評価します。
人事評価シートの注意点は、「機械的にしない」です。
ただの儀式的なものとして、形骸化させないが大切です。
人事評価シートはきっかけにしかすぎません。
上司とのコミュニケーションが、重要なポイントになります。
人材育成を強化するポイント
人材育成が大切とは、ほとんどの会社が理解しています。
しかし、人材育成は難しいです。
そして、人材育成が上手くいかない理由を、社員のせいにしがちです。
人材には個性が存在するので、柔軟な工夫が大切です。
自社に合わせる
人材育成セミナーで、人材育成のやり方は学べます。
しかし、やり方をそのまま持ち込んでも、上手く機能しません。
例えば、営業の成績を見える化して、貼りだす場合。
個々の社員の競争意欲を刺激する仕組みとしては、良いかもしれません。
しかし、社員同士のチームワークを強化したいという希望を持っていたら、逆に機能するかもしれません。
教わる人の主体性を育てる
人材育成の課題は、「やる気のない社員に教えるのは大変」といった問題です。
まず、社員のモチベーションアップを優先した方が良いでしょう。
モチベーションを高めるには、「何のため」にするのか、「腑に落ちる」理解してもらう必要があります。
いくら「上司が部下のため」と何度も言ったところで、本人が「そんなこと望んでいない」と考えていたら、モチベーションは上がりません。
教える人のコミュニケーション能力強化が必要です。
教える人の能力強化がカギ
思うように育たない部下や後輩について、「原因は、部下や後輩にある」とするケースが見られます。
責任転嫁しているかぎり、人材育成は進まないでしょう。
部下や後輩の責任にせず、どうすればうまく育ってくれるか、教え方改善の努力が必要です。
教える効果を高めるために、教える人はコーチングスキルの習得をオススメします。
成長を実感できる仕組みが必要
教わる人は、やっても効果が感じられないことには、モチベーションが高まりません。
人材育成の効果が見えるようにして、「成長を実感できるような仕組み」が必要です。
上述したように、スキルマップや人事評価シートなどの方法が存在します。
加えて、上司のコミュニケーション能力(フィードバック)がもとめられます。
同じ評価でも「まだまだだな」と言われ続けるのと、「前より着実に進んでるな」と言われ続けるのでは、感じ方が異なります。
ネガティブフィードバックも大切ですが、ポジティブフィードバックも重要です。
継続できる仕組み
人材育成は、長期的視点が前提になります。
短期的に欲しい場合は、理想的な人材を中途採用します。
しかし、高コストになりがちです。
だからこそ、自社にとって理想的な人材を、自社で育成できる仕組みが必要です。
長期的視点にたつには、モチベーションが持続する仕組みも必要です。
人材育成、人事評価の仕組みなどに、モチベーションアップの仕組みを組み込んで、PDCAを回す必要があります。
近年は仕組みとして、1on1ミーティングを採用する企業も増えています。
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社員が成長しない限り会社は成長しない
人材育成は、すべての会社の経営課題となっています。
社員の成長レベルによって、会社の成長が左右されるからです。
終身雇用制度が終わり、人材の流動性が高まります。
必要な人材は必要な時に、外部から調達するという流れが大きくなってくると予想されます。
しかし、本当の競争力は、社内の人材育成力に左右されると考えます。
外部からの調達は、高コストになりがちです。
優秀な人材でも、組織文化の壁に阻まれるケースがあるからです。
ライザップやリクシルで、プロの経営者に任せたけど失敗したケースがありました。
会社は、組織で動きます。
優秀な人材が、自分勝手に動いても成果は上がりません。
優秀な人材を育成し、活用する力が必要です。
コミュニケーション能力です。
ぜひ長期的視点にたった人材育成を、戦略的に行ってください。
弊社は、人材育成を効果的に行うための経営サポートをしています。
詳しくは、下記リンク「ビジョナリー経営導入プログラム」をご確認ください。