メンタルヘルスを改善するストレスの少ない職場環境
企業間競争が激しさを増す中、働き方改革、人材不足などが重なり、労働者にかかるストレス要因が増加しています。
社員のメンタルヘルスは、多くの職場で問題になっています。
精神疾患による労災申請の増加が止まりません。
重要なポイントは、メンタルヘルス改善を強化しているのに、改善が見られないことです。
働き方改革、ストレスチェック制度、健康経営、ホワイト企業など、社員の健康を意識した取り組みに、国を挙げて取り組んでいます。
しかし、改善が見られません。
メンタルヘルスの問題は、「問題を発生させない」「休んだ社員が、復帰しやすい環境づくりを進める」が大切です。
社員が安心して働ける職場づくりが重要です。
職場のストレス要因と、改善させる方法を説明します。
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【目次】 |
職場でメンタルヘルス問題が発生の理由
2015年12月1日より、ストレスチェック制度が義務化されました。
職場でのメンタルヘルス問題が、増加しているのが一因です。
一方で、精神疾患の労災申請が毎年増加し続けています。
(参考:平成30年度「過労死等の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/000521999.pdf)
職場での主なストレス要因は、「仕事の質と量」「人間関係」です。
それらが増加し続けている原因の説明します。
外部環境の変化
ビジネスのグローバル化が進み、企業間競争の激しさが増しています。
そして、生産性の高い外国企業に勝つために、日本企業も、より少ない人数で、多くの仕事の処理がもとめられています。
そして、一人ひとりにかかる責任が大きくなっているから、ストレスが増加しているのです。
さらには、一人当たりの仕事量が増加しています。
そして、上司自身も仕事を抱えているから、職場内のコミュニケーションが希薄化しています。
ストレスを抱えていても、相談や仕事の分担が実施しにくい環境になっています。
外部環境の変化に合わせて、業務の進め方を改善することが大切です。
個人の性格の問題
ストレスの感じ方は、個人の性格に左右されるという問題があります。
同じ仕事を任せたとしても、「モチベーションが上がる人」「負担に感じる人」がいます。
個人の性格の問題は、これまで長年積み重ねてきた経験によって作られてきたものであり、簡単には変えられません。
さらに、情報化社会の中、価値観の多様性も広がっています。
上司も、問題を抱えている部下一人ひとりの性格に合わせて、対応できないのが現状です。
上司の柔軟性を高めて、対応力の強化が重要です。
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職場のメンタルヘルス問題が改善しない理由
政府も「働き方改革」「健康経営」、「ストレスチェック制度」など対策に乗り出していますが、精神疾患の増加傾向を止められていません。
改善しない理由は、「仕事の生産性」と「職場のコミュニケーション」の改善が進まないからです。
政府が制度として、働く時間を減らそうとしても、外国企業にとっては関係ありません。
競争相手は、競争に勝つために、攻勢を強めてきます。
労働時間を減らしながら、企業間競争に対してのプレッシャーを減らす取り組みが必要です。
仕事の生産性の問題
Wrike株式会社が、2018年に調査したアンケート結果では、職場のストレス要因、第1位は「仕事の量が多すぎる」でした。
働き方改革での労働時間の短縮、人手不足の影響、グローバル競争の仕事量の増加に伴い、一人当たりの仕事量も増加しています。
このような環境変化に、職場の仕事の生産性改善が追いつかず、ストレス要因が減らない原因となっています。
仕事の生産性改善に取り組むと、その間仕事が進まなくなります。
先に目の前の仕事を片付けます。
しかし、目の前の仕事が増えつづけているので、生産性改善に着手できません。
このような悪循環に陥ってしまいます。
仕事の生産性改善の優先を、決断できるかが重要です。
参考:Wrike株式会社の日本国内の会社員の働き方とストレス・生産性との関係を調査
調査対象: 全国18~64歳の男女1,034名(男性442名、女性592名)(人口構成比と本調査対象者の出現率に合わせて割付)※自営業を除く会社員が対象
調査方法: インターネットリサーチ
調査日: 2018年11月29日(木)~11月30日(金)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000041519.html
コミュニケーションの問題
Wrike株式会社が、2018年にとったアンケート結果では、職場のストレス要因、第2位は「コミュニケーションが足りていない」でした。
問題の報連相が無いと、余計な仕事が増えてストレスになります。
わからない問題を、気軽に相談できない状況も、大きなストレス要因となります。
仕事の量が多すぎるので、社員は仕事に追われて、コミュニケーションの時間が減少します。
コミュニケーションの調整に時間がかかるという、余計な仕事が増えるのもストレスにつながります。
この悪循環を解消し、コミュニケーションの量を増やすには、仕事の生産性の改善は重要です。
メンタルヘルス改善の職場づくり
メンタルヘルス改善の職場づくりを進めるには、管理職がリーダーシップの発揮がもとめられます。
なぜなら、会社のルールとして決まっている仕事にも、見直しが発生する可能性が高いので、部下が独断では決められないからです。
また、職場の改善活動は、一旦、現在抱えている仕事を止めて行う必要があります。
「検討会議」「改善の実践」「定着までの期間」などに、時間が必要になります。
リーダーは、スムーズに改善活動が進むように調整が大切です。
先延ばしにすれば、ストレスの多い状況が続きます。
リーダーシップを発揮して、メンタルヘルス改善の職場づくりを進めましょう。
生産性を改善
「仕事の量が多すぎる」状態の解消には、生産性の改善が必要です。
生産性の改善は、ECRSの原則に沿って業務を見直します。
ECRSの原則とは、次の単語の頭文字をとったものです。
以下の順に改善します。
E:Eliminate(排除)
C:Combine(結合)
R:Rearrange(代替)
S:Simplify(簡素化)
【Eliminate:排除】
現在行っている作業の中で、不要なものをリストアップし廃止します。収益性や本業との関係性が、低いものもリストアップします。
【Combine:結合】
現在行っている作業の中で、一緒に処理できそうな作業をリストアップし、ひとつにまとめます。
【Rearrange:代替】
IT技術の活用など、古い方法を新しいツールに替えると、大幅に効率化ができます。例えば、これまで手紙でやり取りしていたものを、電子メールに変えるだけで大幅に業務時間を短縮できます。
【Simplify:簡素化】
現在行っている作業をもっとシンプルにできないか検討します。例をあげると、生産工程であれば、ネジの数を減らす設計変更だけでも作業効率がアップします。
事務処理も、稟議の処理をシンプル化するだけで仕事量が減ります。
ECRSの原則に従って、業務を見直し、仕事の量を減らしましょう。
社員のコミュニケーション能力を高める
コミュニケーションの質を高めるには、社員の「コミュニケーション能力を高める」必要があります。
まずは、コミュニケーションの時間の確保に、生産性の改善が大切です。
コミュニケーションの目的は、「情報共有」です。
職場のコミュニケーション能力が高い状態とは、社員同士の情報の共有度が高い状態をいいます。
つまり、報連相や提案などが活発に行われている状態です。
逆に、提案したら怒られる、否定される職場では、社員は発言しづらくなります。
安心して発言できる職場づくりを目指しましょう。
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まずは生産性改善の取り組みから始めよう
「社員のメンタルヘルスの問題が発生しない」「メンタルヘルスの問題で休職した社員が安心して復帰できる」職場環境をつくることが、もとめられています。
解決策として、まずストレス要因となっている仕事の量を減らすことが重要です。
ECRSの原則に従って業務改善を進めましょう。
仕事量を減らし、コミュニケーションの時間を確保できれば、生産性の高い職場への道が開けます。
今後、競争が激しくなるにつれて、さらに生産性アップをもとめられます。
生産性が低い職場は、ストレスが大きくなります。
ストレスの大きい職場は、生産性が低くなるという悪循環が生まれます。
生産性アップのためにも、働きやすい職場環境づくりを進めましょう。