離職率を改善する方法~職場環境とコミュニケーション~

日本では、少子高齢化のため、将来的に労働人口の減少がさけられません。

 

企業の人材獲得競争も激しくなるでしょう。

優秀な人材の囲い込みが必須となります。

 

 

囲い込むには、「社員に辞められない」が大切です。

 

 

離職率の改善が、企業の大きなテーマになります。

 

 

優秀な社員に退職されると、競争力が低下するからです。

また、採用と育成にかかった費用と労力が無駄になるからです。

 

 

離職率の改善には、「社員の退職理由を無くす」がもとめられます。

 

退職理由は、さまざま存在しますが、「人間関係」が大きく影響しています。

 

職場の「人間関係」が悪ければ、職場環境も悪くなります。

 

「人間関係」は、社員のコミュニケーション能力に大きな影響を受けます。

 

離職率改善とコミュニケーション能力強化について説明します。

 

 

 

【コラム】ビジネスでワンチームになるために-会社組織の一体感を醸成する方法

【目次】

 

離職率が改善されない理由

ストレスケア

離職率とは「一定期間内に、どれだけの社員が退職したか?」です。

ここでの「一定期間」に決まりはありません。

 

例えば、「5年間に採用した人数が10名とした場合、同じ期間に5人退職すると、離職率は50%」となります。

高い離職率に悩まれている、中小企業は多いです。

離職率が高い状態を放置しておくと、会社の持続性のリスクが大きくなるかもしれません。

 

各社、離職率改善にさまざまな施策に取り組んでいます。

もし、離職率の改善効果が小さいのであれば、小手先の施策になっているのかもしれません。

 

根本的な原因を解決できていないと考えられます。

 

 

 

 

 

 

離職率の問題と退職理由

マイナビ転職が、2015年に全国の20~35歳の会社員(正社員)370人を対象に「会社を辞めたいと思った理由」をテーマで、調査しています。

 

1位:給与や福利厚生が良くない

2位:職場の人間関係が良くない

3位:休日や残業時間などの待遇が良くない

4位:仕事内容にやりがいを感じない

5位:会社に安定性、将来性がない

1位~4位で8割を占めています。

(参考:マイナビ転職「本音と建前は必須? 退職理由ランキングと好印象な伝え方・例文」
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/03)

 

ここで注目されるのが「人間関係」です。

 

「退職理由ランキング」で検索すると、多くの調査でも「人間関係」が上位に上がっています。

 

 

参考に、製造業の場合を確認します。

 

ディップ総合研究所が2019年に、全国3,101人に「製造業の就業実態」を調査しています。

そのうち製造業に従事している者、過去に製造業に従事していた者は20.4%。

退職の理由、退職したいと思った理由ランキングで「上司や同僚との関係性が良好ではない。不満がある」が26.5%存在しています。

 

4人に1人は「人間関係で退職した」もしくは、「退職したいと思っている」となります。

 

人間関係を改善するには、コミュニケーションの質を改善しなければなりません。

 

つまり、離職率を改善したければ、コミュニケーション能力を改善しなければなりません。

 

人間関係が悪い中では、どのような離職率の改善策も効果を生みません。

(参考:Monoist「キャリアニュース:製造業勤務経験者の約6割が1年未満で退職」https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1905/17/news021.html)

 

※ランキングの他の項目について、「給料が低い」「待遇が良くない」「やりがいを感じない」「会社の将来性を感じない」なども、上司からのフィードバックなど、人間関係に大きな影響を受けます。普段から不満ばかりコミュニケーションする職場なのか、将来の期待についてコミュニケーションする職場なのかによって、職場の雰囲気は大きく変わります。

 

 

 

 

 

 

 

高い離職率による将来的不安

離職率が高い状態が続くと、会社の中で以下のような悪影響が現れます。

 

・採用コスト、育成コストが増大し、収益性の悪化

・面接や育成に、管理職や先輩社員の時間が取られ、生産性の悪化

・企業イメージの悪さにつながり、採用コストがさらに増加

・人材不足による仕事の負担の増大

・若手の離職率が高くなると、高齢化が進む

・会社の雰囲気が悪くなる
など

離職率が高いと「会社の生産性が落ち込み、将来性に不安が生じ、社員が退職する」といった、負のスパイラルを生み出します。

 

離職率が高止まりしないように、社員のコミュニケーション能力の改善への着手が大切です。

 

※社員が応募してこない、社員が辞めてしまうを「外部環境のせい」、もしくは「社員のせいに」にしている会社が存在します。社員が応募しないのは魅力が無いからです。社員が辞めてしまうのは魅力が無いからです。人材獲得に力を入れるよりも、魅力を高める施策を優先しましょう。

 

 

 

 

【コラム】チームワークの一体感を醸成するコミュニケーション方法

 

 

 

 

 

離職率を改善する組織をつくる方法

公平理論

離職率の改善方法は、社員が退職する理由を無くすです。

この会社で働き続けたい!」との気持ちにさせるです。

 

 

社員の退職理由を無くす方法として、「給料を上げる」「福利厚生を向上」の方向性も存在します。

しかし、経営資源の小さい、中小企業には、最優先ではありません。

限界があるからです。

 

 

ハーズバーグ動機づけ-衛生理論でも「給料や福利厚生」は衛生要因とよばれます。

一瞬はモチベーションを上げる効果はありますが、次第に慣れてしまいます。

 

継続的にモチベーションアップするには、「給料や福利厚生」を上げ続けなければなりません。

 

 

「離職率改善の組織づくり」とは、言い変えると「人材の定着率の改善」です。

 

「人材が定着する組織とは」を考えなければなりません。。

 

 

 

 

 

 

 

組織に必要な3つの要素

組織の大切な要素に、経営学者のバーナードが提唱した「組織の3要素」が存在します。

 

・共通目的

・コミュニケーション

・協働意欲

 

次のような組織をイメージしてください。

・社員がここで働き続けたいと思うような組織

・社員が一丸となって協力し合う組織

・社員がモチベーション高く働く組織

 

離職率が改善される組織とは、チームワークが良く、ワンチームになっています。

ワンチームになるには、組織の3要素の強化が必要です。

 

 

 

 

 

離職率を改善するシンプルな方法

組織の3要素を野球チームにあてはめてみます。

・「優勝」という目的

・「コミュニケーション」を密にして目的を共有

・目的達成に協力しようという「協働意欲」がある

それぞれの要素が、強ければ強いほど、一丸となった強力なチームになります。

 

協働意欲は「魅力的な共通目的」と「質の良いコミュニケーション」によって、強化できます。

 

貴社には、社員と共有している共通目的がありますか?

そして、その共通目的は社員に共感されていますか?

 

共感してもらうためには、コミュニケーションが欠かせません。

共通目的があっても、社員が無関心であれば、協働意欲が引き出されないからです。

 

 

離職率の改善には、コミュニケーションの質の向上が重要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質の良いコミュニケーションが離職率を改善する

人事評価制度

指示命令、報連相、会議、セクハラ、パワハラ、仕事ではコミュニケーションが必須です。

そして、コミュニケーションの質が、問題を発生させます。

 

コミュニケーションの質が悪ければ、多くの離職率の改善策の効果はありません。

 

コミュニケーションの質改善のために、1on1ミーティングを取り入れる会社も増えています。

しかし、上司のコミュニケーション能力が低ければ、効果を得られません。

 

 

離職率の改善には、まずコミュニケーションの質の改善が必要です。

 

しかし、コミュニケーションは、とても複雑です。

コミュニケーションは大切とはよく言われますが、掛け声ばかりで改善しません。

社員一人ひとり、性格や能力が異なり、コミュニケーションに正解が無いからです。

 

以下では、離職率の改善のコミュニケーションについて詳しくみていきます。

 

 

 

 

 

 

 

コミュニケーションとは

会話(カンバセーション)通信(コミュニケーション)は違います。

 

職場では、会話ではなく、コミュニケーションが必要です。

違いを説明できますか?

 

コミュニケーションとは、「同じ情報を共有する」ためのスキルです。

コミュニケーションができた状態とは、「話し手」と「聴き手」が正確に同じ情報を共有できた状態です。

 

「情報の共有」は難しいです。

 

次のような経験はどうしょうか。

「仕事のレベル」や「感情」が、共有できなかった事例です。

・仕事の指示を出したのに、結果が期待したレベルを満たさなかった

・そのようなつもりで言ったのではないのに、怒らせてしまった

 

問題は、「これぐらい、わかってくれるだろう」と前提で発信した時におきます。

情報の共有には、「相手が理解できるように」と意識して発信が大切です。

伝えたつもり」になっているケースが多く見られます。

 

普段、情報共有を意識してコミュニケーションをとっていますか?

 

 

 

 

 

コミュニケーション能力強化にコーチングスキル

コミュニケーションの基本は、相手に合わせるです。

たとえば、子どもと会話をするときには、それぞれの年代にあわせて話をします。

目の前にいる人が外国の人であれば、相手の母国語で話をしなければ通じません。

 

 

職場になると、目の前にいる人は、自分と同じ理解をしていると解釈してしまいがちです。

上司と部下では、知識や経験に差があります。

知識と経験の低い方に合わせなければなりません。

相手のレベルを無視したとき、ミスコミュニケーションが起こるのです。

 

相手に合わせるには、「聴く力」が重要になります。

「聴く力」の強化方法は、「コーチングスキルの活用」です。

 

「相手が理解できる形」を知るには、相手から情報を引き出さなければなりません。

 

コーチングとは「傾聴」「質問」「フィードバック」で構成され、たくさん話を引き出すスキルです。

 

コーチングのトレーニングをすると「聴く力」が強化されます。

・話を引き出しながら、相手の状態や学習レベルを理解

・相手が理解できる言葉で伝える

・相手の反応を読み取りながら、正しく伝わったか確認

コーチングスキルを活用するだけで、ミスコミュニケーションは減らせます。

実際にコミュニケーションの質が改善したと感じるまでは、トレーニングが必要です。

 

職場内でスムーズなコミュニケーションが行われるようになったとき、働きやすい環境になります。

 

 

 

 

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コーチング・コミュニケーションとは

コーチング・コミュニケーション

コーチング・コミュニケーションとは、コーチングスキルを取り入れたコミュニケーション方法です。

 

つまり「聴く力」に重点を置いたコミュニケーションです。

 

コーチングについて、補足で説明します。

 

 

コミュニケーションは、「話す力」「聴く力」の双方が強化されて質が高まります。

 

コミュニケーション能力が改善できない理由は、「聴く力の強化方法がわからない」です。

 

私たちは、子どもの頃から、自己紹介、スピーチ、プレゼンテーションなど、自分の考えを相手に伝える練習はしてきました。

しかし、「聴く力」の強化方法を学んだ経験がありません。

 

そのため、コミュニケーション能力が改善しないのです。

「聴く力」の強化方法として、コーチングスキルをオススメしています。

 

 

 

 

 

 

コーチングスキルとは

コーチングスキルとは、セッションで用いられる道具(「傾聴」「質問」「フィードバック」)です。

 

コーチングではクライアントの「本音の話を引き出す」がもとめられます。

 

つまり、「信頼関係」が必須になります。

「信頼関係」が無ければ、スキルは全く機能しません。

 

 

【傾聴】
相手が安心して本音でたくさん話せる場をつくります。傾聴力があればあるほど、本音でたくさん話してくれます。

 

【質問】
相手の視点をコントロールし、潜在意識から気づきを引き出します。質問力があればあるほど、視野を広げます。

 

【フィードバック】
自分のクセなどは自分では気づけません。それを鏡のように気づかせるスキルがフィードバックです。フィードバックに求められるのは、直感力や観察力です。フィードバック力が強ければ強いほど、相手は本当の気持ちに気づきやすくなります。

 

 

これらのスキルの目的は相手を理解するです。

 

理解できると、コミュニケーションの質が高まります。

 

 

 

 

 

 

 

コーチングセッションとは

コーチングセッションは、クライアントの成長を促すスキルです。

 

成長とは、「行動」によって促されるので、コーチングセッションは行動を促すスキルといえます。

 

管理職は、部下の行動を促し、育成する責任があります。

コーチングスキルは管理職に必須のスキルです。

 

 

 

コーチングセッションはGROWモデルに沿って行われます。

GROWモデルとは、次の頭文字をとったフレームワークです。

 

Goal(ゴール)
Reality(現状)
Option(選択肢)
Will(意思)

 

1.クライアントのゴールの状態を確認します

2.それに対して現状がどうなのかを確認します

3.ゴールと現状が明確になれば、何をすれば良いかの選択肢も明確になります。

4.選択肢の行動を促し、意思を示してもらいます。

 

 

この流れで、行動を促します。

行動が繰り返され、クライアントは成長していきます。

コーチングセッションを何回も行えば、「聴く力」が強化されます。

 

「聴く力」が強化されると、コミュニケーションが改善します。

コミュニケーションが改善すると、職場環境が改善されます。

職場環境が改善されると、離職率が改善します。

 

 

 

 

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離職率改善がすべてではない

コーチング・コミュニケーション

離職率の改善は大切です。

しかし、離職率の改善がすべてではありません。

 

離職率が高くても、成長している会社が存在します。

 

 

また、終身雇用制度の崩壊、新卒一括採用の廃止、同一労働同一賃金など、人材の流動化が一般的になる可能性が高まっています。

 

戦略にともなって、早期退職を募集しなければならなくなるかもしれません。

 

業績好調だからと、多くの人材を採用し、業績が悪化したとたん、大きな固定費に苦しむ会社もあります。

 

離職率改善は、人的資源管理の一部と捉えることが大切です。

 

 

 

 

 

 

 

「離職を防ぐ=会社にしがみつく」?

最近の若い人は、終身雇用の意識が無いから転職もすぐ決断できると聞きます。

一方で、保守的な傾向の人は、会社にしがみつこうとします。

 

会社員にとって、会社の仕組みがとても便利だからです。

出社すれば、働かなくても給料がもらえます。

一度正社員になれば、なかなか解雇される恐れも小さいです。

 

何を目的に離職率を改善するのか明確な目的が大切です。

社員を保守的に変えるのも、積極的に変えるのも企業風土の中で決まります。

 

企業風土は社員同士のコミュニケーションの質でうまれます。

 

 

※制度に矛盾が無い?

「失敗を恐れず積極的な社員になってほしい」と言いながら、「失敗した時のペナルティが重すぎる」となっていたら、保守的な社員の多くなるでしょう。

 

 

 

 

 

 

離職率が高くても良い会社

離職率が高ければ、悪いのかといえば、一概にそうとはいえません。

離職率が高くても業績の良い会社も存在します。

 

例えばリクルートはステップアップを前提で入社してくるそうです。

それは、リクルートで経験を積んで、次に行くとのプランが明確だからです。

 

ビジネスの経験を強化したい社員と、事業を成長させたい企業の両社の希望がマッチしているから成り立ちます。

社員は成長を目的で仕事を頑張ります。

仕事に成果が出れば会社は成長します。

 

会社は、その社員を支援する仕組みを整えます。

会社は時代にあった多様な人材を求めるので、一定期間で社員には辞めてもらいます。

 

社員は期待通りのビジネス経験を積み、成長しているので、次のステップに向けて辞めていきます。

 

会社と社員、お互いWIN-WINの関係をつくる。

 

終身雇用の崩壊、AIによる仕事の代替が進む中、理想的な形なのかもしれません。

 

 

 

 

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働きやすい職場づくりを

人事評価制度

経営資源の中で、もっとも入手が難しい資源が「人材」です。

 

優秀な人材は希少であるため、獲得する費用が高騰しがちです。

中小企業は大企業には敵わないでしょう。

 

だから、「優秀な人材は社内で育成する」が重要となります。

育成しては辞められる状況では、経営基盤の強化はできません。

離職率の改善が必須となります。

 

 

離職率の改善には、職場環境の改善がもとめられます。

職場環境は、職場の人間関係に大きな影響を受けます。

そのため、人間関係を良くすることが必要です。

 

 

人間関係を良くするには、コミュニケーションの質の改善がもとめられます。

コミュニケーションの質の改善には、コーチング・コミュニケーションがオススメです。

 

社員が働きやすい職場環境を作って、定着率を向上しましょう。