経営相談の重要性~経営基盤と競争優位性の強化~
経営コンサルタントなどに、相談した経験がありますか?
経営に悩んだとき、上手な経営相談サービスの活用は大切です。
なぜなら、経営課題は資金繰りだけでなく、マーケティング、IT化、商品開発、人材育成、生産管理など広範囲に及び、優先順位をつけなければならないからです。
経営者一人で、経営課題のすべてをカバーするのは難しくなってきました。
しかも近年は、経営判断にスピードがもとめられます。
経営スピードを高めるには、経営について相談する仕組みが重要です。
経営相談のメリットと注意点について説明します。
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【目次】 |
スピード経営に必要なもの
新型コロナウイルス感染拡大、アベノミクスからスガノミクスへ、米中の対立など、外部環境が目まぐるしく変化します。
経営者は、外部環境の変化にあわせて、迅速に意思決定をしなければなりません。
その前に、外部環境変化に備えた意思決定もしておかなければなりません。
経営判断が遅れると、経営状況が悪化します。
ますます経営判断スピードがもとめられています。
情報量
スピード経営に必要なのは、情報量です。
情報量が少なければ少ないほど、意思決定を間違えます。
日本国内の情報だけでなく、海外の動向などの情報が無いと、戦略策定もリスクマネジメントもできません。
経営者には、多くの情報が必要です。
国内の市場動向、海外の市場動向、将来予測、競合企業の動向、政策の動向、IT技術などの最新ツールの動向、各種経営支援サービスの動向など会社外部の情報。
売上高推移、利益率、資金繰り、自社の商品の競争力、顧客情報、顧客満足度、従業員満足度、定着率、人的資源管理、品質管理、生産性管理など社内の情報。
意思決定の精度を増すには、多くの情報量が必要になります。
意思決定力と行動力
意思決定には、多くの情報量が必要です。
しかし、情報がありすぎて、迷って決められないとなっては、経営スピードが上がりません。
意思決定力と行動力が必要です。
このコラムのテーマでは無いですが、結果を出すには、チームマネジメント力も必要になってきます。
経営者が意思決定して行動しても、社員が動かなければ、結果につながらないからです。
経営者には、強力なリーダーシップが必要になります。
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スピード経営を止めるもの
スピード経営では、情報量と意思決定力、行動力が必要です。
今更言われなくても、多くの経営者がわかっています。
それにもかかわらず、多くの場面で経営判断の先延ばしが発生します。
事業再生案件は、迷って決められないうちに、取り返しのつかない状況に陥ったという会社が多いです。
経営判断の先延ばしは、意思決定をしていないように表現されていますが、「経営判断を先延ばしにする」という意思決定です。
その意思決定の結果、経営が後手後手になります。
スピード経営を妨げる要素を説明します。
思い込み
情報収集を阻むものは、「思い込み」です。
経営者は、業界のことも、会社のこともよく知っています。
自分が一番知っていると思うと、「誰かに訊こう」という意識が働きにくくなります。
機会や問題に気づかず、経営判断に遅れるといったケースが現れます。
ベンチャーなどスタートアップ企業は、自分たちが「わからない」と知識不足を知っています。
「わからない」から、積極的に情報収集します。
最新の情報やツールを活用できるので、経営スピードが得られるのです。
失敗への恐れ
意思決定や行動を阻むものは、「失敗への恐れ」です。
特に中小企業は資金力が無いので、失敗すると経営に大きなダメージを受けます。
下請け企業などは、親会社の仕事を多少断ってでも、自社ブランドの開発に乗り出すことが望ましいです。
しかし、親会社に嫌われ、仕事の減少を恐れ、結局何もしない会社が存在します。
そして、親会社の経営不振により、経営危機に陥る。
慌てて自社ブランドを開発しようにも、資金がなくなっているという状況です。
失敗を恐れた「判断の先延ばし」が、失敗の原因になります。
失敗を避けるには、失敗をマネジメントしながらの経営がもとめられます。
経営相談の重要性
日本では、まだまだ中小企業診断士や経営コンサルタントの活用が遅れています。
税理士さんや社会保険労務士さんに経営相談する場合も見られます。
しかし、上述したように、経営戦略は広範囲の情報を集めて総合的な決定が必要です。
IT技術などWEB戦略や、マーケティング戦略なども必要です。
経営戦略で必要なのは、経営資源の配分です。
限りある資源をどのように配分するかは、総合的に判断しなければなりません。
そして、企業間競争が激しさを増しており、総合的に経営判断するのは、経営者一人では難しい時代になってきました。
また、企業間の競争を意識するも大切です。
もし競合企業が優秀な経営相談の相手を見つけた場合、その会社に勝つために何をするか考えなければなりません。
解決が速い
経営相談をするメリットは、「解決が速い」です。
わからないことを一人で考えるよりも、訊いた方が速いです。
経営者の課題は、「自分が一番知っているという思い込み」と「わからないことが、わからない」です。
課題があったとしても、自分で考えて解決しようとします。
ただし、経営課題は、経営全般に広がり、その数は膨大になり、そして無くなりません。
自分で考えて解決も大切ですが、メリハリが必要です。
全て自分でしようとすると、スピードが遅くなります。
「わからないことが、わからない」状況は、自社の経営課題がわかっていない状況になります。
自社の経営状況の分析によって、「知る必要がある項目」が明確になります。
経営分析のやり方がわからないからと、放置するのも、経営の失敗です。
視野が広がる
すべて自分だけで解決しようとする限り、自分の持っている情報の中にしか選択肢が無いです。
・補助金などの支援サービス
・最新のIT技術
・他社のベストプラクティス
・特許の情報
・最近の流行
・市場環境
・市場の将来性
多くの情報が、外部に存在します。
自社の情報と、外部の情報を掛け合わせによって、視野が大きく広がります。
逆に言えば、情報が無ければ、判断を誤る可能性が高いのです。
近年は、経営資源「人、物、金」に加えて、「情報」が入っています。
情報をどれだけ持っているかが、会社の競争力を左右します。
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相談先としてのエグゼクティブコーチング
経営相談先といっても、さまざまです。
経営コンサル、ITコンサル、マーケティングコンサル、人事コンサルなど。
そして弊社のようなエグゼクティブコーチング。
商工会議所など、公的な機関も存在します。
大切なのは、経営を長期的、全体的に考えられるサービスです。
経営コンサルタント、もしくはエグゼクティブコーチングです。
両社の違いをシンプルに表現すると、次のようになります。
経営コンサルタント:経営戦略を経営コンサルタントが考える
エグゼクティブコーチング:経営戦略を経営者自身で考えるのを、エグゼクティブコーチがサポートする
それぞれのメリット・デメリットを説明します。
経営コンサルティングのメリット・デメリット
経営コンサルティングとは。
・財務分析などにより社内の状況分析
・外部環境の情報収集と分析
・SWOT分析などにより戦略の検討
などを行います。
シンプルに表現すると、経営者に変わって社内、社外の情報収集をして、課題を見つけ、解決方法をアドバイスするです。
経営コンサルタントごとに得意分野が存在し、バランストスコアカードやランチェスター戦略、知的資産経営などを活用します。
経営コンサルタントの判断によって、ITコンサルやマーケティングコンサルなど、専門家に依頼するようになります。
【メリット】
・アドバイスをもらえるので、課題解決が速い
【デメリット】
・経営コンサルタント自身の、「思い込み」に左右される場合がある
・経営コンサルタントが得意とする戦略と、会社の事業がマッチしない場合がある
・経営者の方が、業界の情報に詳しい場合がある
・コンサルタントも判断を間違える場合が存在し、課題解決が速いとは言い切れない場合もある
エグゼクティブコーチングのメリット・デメリット
エグゼクティブコーチングとは、「経営者の思考の整理」をサポートします。
原則としてアドバイスを行いません。
質問力を駆使して、「何を知る必要があるのか」課題を明確にして、行動を促します。
「視野の拡大」と「意思決定力と行動力の強化」を支援するサービスです。
「何を知る必要があるのか」が判明したら、経営者の判断によって、情報収集や、ITコンサルやマーケティングコンサルなど専門家に依頼します。
【メリット】
・経営者の考えが意思決定に反映されるので、行動につながりやすい
・経営者自身が考えて意思決定を繰り返すので、経営者自身の経営力・リーダーシップが強化される
・失敗を最小限に抑えるリスクマネジメントが強化される
【デメリット】
・原則アドバイスしないので、課題解決に時間がかかる
・失敗から学ぶを前提といているので、数多くの小さな失敗を経験する
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経営相談は投資と考える
外部環境の変化、企業間競争の激化によって、ますます経営スピードがもとめられています。
経営スピードを高めるには、広範囲にわたる情報量と、意思決定力、行動力が必要です。
まず情報量を得るには、「わからないことは、訊いた方が速い」という意識が大切です。
経営スピードを高めるのに、経営コンサルタントやエグゼクティブコーチなどに相談がもとめられています。
日本では、有料の経営相談が普及していないように感じます。
それは、経営相談=コストの考え方があるからでしょう。
経営スピードが、もとめられています。
それは、経営スピードが遅いほど、損失が大きくなるからです。
競合他社に出遅れると、販売が遅れると、それだけコストが増えます。
得られるはずだった利益を失う、機会損失も生まれます。
経営スピードを速くできると、早く利益がえられます。
競争力が強化されます。
「経営スピードを速くするためのお金は、投資」という考え方が必要です。
経営相談は、経営を俯瞰して考える必要があります。
目先のお金に目がいって、モノづくり補助金などを申請する会社が存在します。
しかし、ものづくり補助金による投資効果は、ほとんどないそうです。
それは、新しい機械で生産性が上がっても、販売先の開拓ができていなければ、結局売上が上がらないからです。
たくさん作れる機械を購入して、売上が上がらないのであれば、借金だけ増える結果になります。
経営は、全体を俯瞰してみる必要があります。
そして最後に、大事なポイント。
お気に入りの経営相談先は、すぐには見つかりません。
経営相談先も、数多く存在します。
良い相談先もあれば、悪い相談先もあります。
ある会社では結果を出した相談先が、他の会社で結果を出せるとはかぎりません。
経営に困ってから慌てて探してもすぐには見つかりません。
会社を成長させるのに必要な投資と考え、早め早めに自社に最適な相談先を見つけてください。