人事評価面談のフィードバック方法と部下のモチベーション
管理職になると、部下の人事評価を行わなければなりません。
評価面談の内容次第で、部下のモチベーションが大きく変化します。
重要となるのが、フィードバックの方法です。
フィードバックは、単に評価を伝えるものではありません。
人事評価面談の目的は、「部下のモチベーションを高め、成長を促す」です。
部下が成長しない限り、チームの生産性は高まりません。
フィードバックはしたけど、部下がやる気を無くしたでは、目的を果たしていません。
人事評価面談での、フィードバック方法について説明します。
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【目次】 |
人事評価面談のフィードバック
人事評価面談で大切なのが、フィードバックです。
そのフィードバックに、部下が納得しない場合、不満やモチベーション低下につながります。
上司は、部下のやる気を引き出すフィードバックがもとめられます。
フィードバックの目的
人事評価面談でのフィードバックの目的は、「部下の成長を促すこと」です。
その目的達成のために、「目標に対して、結果どうだったか?」を伝えます。
ギャップの見える化によって、部下は何ができていて、何ができていないのかが理解できます。
「今後、何をしたら良いか」が具体的にわかります。
できていなかった部分に注意して、仕事の仕方の改善が促されます。
結果的に、社員の成長、仕事の生産性向上につながります。
フィードバックの方法
評価面談でのフィードバックの方法に、正解はありません。
ここでは、基本的な方法について説明します。
1.アイスブレイク(評価される側は、緊張しがちなので)
2.今期の結果を見ながら、自己評価の報告をしてもらう(上司は黙って聴く)
3.フィードバック(ポジティブ面、課題、評価基準をしっかり伝える)
4.部下の感想を聴く。できるだけお互い納得できるまで話し合う。
5.来期、上司が期待することを伝える
6.来期、強化する事項について、部下に話してもらう
フィードバックが、粗探しやダメ出しの場とならないことが重要です。
叱られて奮起するの社員もいれば、逆に落ち込む社員もいます。
上司の役割は、部下のモチベーションを引き出すことです。
また、評価基準をお互いに納得することが大切です。
目標が高い社員ほど、達成が難しくなります。
「やる気があり、目標が高い社員ほど、低い評価」にならないように評価基準を明確にしてください。
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フィードバックの課題
フィードバックは、単純に「目標に対して結果がどうだったのか」を伝えるだけなら簡単です。
しかし、「部下のモチベーションを引き出す、成長につなげる」という目的を意識すると、急に難しくなります。
フィードバックがむずかしい、主なシーンについて説明します。
成果の低い社員
能力が高く、仕事の成果も問題無しという社員に対しては、フィードバックもやりやすく感じるでしょう。
逆に、仕事の成果が全然ダメだった社員に対してはどうでしょうか。
できていない部分だけを見える化すると、逆に落ち込ませることになるかもしれません。
自分で反省しているのに、上司が傷口に塩を塗るようにネガティブな評価を言い続けると、自信を失わせるかもしれません。
フィードバックは、モチベーションを引き出すために行います。
モチベーションを下げるなら、評価面談をしない方がマシです。
上述したように、失敗に奮起する社員もいれば、失敗に対して立ち直れない社員もいます。
上司は部下のタイプを見極めて、臨機応変に対応を変えることがもとめられます。
対処法としては次のようなものになります。
・ポジティブな面もしっかり評価する
・過去の本人と比較した成長面も評価する
・自分でできていない部分をしっかり理解しているなら、それ自体を評価し、敢えて責めない
・改善のために、上司がサポートを惜しまない姿勢をみせて安心してもらう
何を言われても気にしない社員
社員の中には、すでにモチベーションの低い社員もいるかもしれません。
出世意欲がなく、お金にも執着せず、できるだけ楽をしたいという社員は、どんな評価されても気にしないかもしれません。
そのような社員には、どんなに厳しくフィードバックしても何も変わらないかもしれません。
モチベーションの低い社員の場合は、フィードバックよりも、まずはモチベーションを高める施策が必要です。
モチベーションが低い理由は以下のような理由が考えられます。
・しんどい思いはしたくない
・クビにさえならなければよい
・仕事がおもしろくない
・目標がない
このような状況にあると、会社や同僚のために仕事をするよりも、自分のことを優先する可能性が高くなります。
フィードバックよりも、モチベーションアップを優先することが大切です。
しかし、フィードバックの失敗によりモチベーションが下がっている可能性もあります。
フィードバックが無い、フィードバックがあってもネガティブなことばかりとなればモチベーションを下げてしまいます。
その結果、「何を言われても気にしないようにしよう」「仕事に期待するのはやめよう」となってしまったのかもしれません。
一度モチベーションが下がってしまうと、上げるのは大変です。
モチベーションアップ施策を盛り込むことも大切です。
フィードバックスキルを強化する方法
人事評価面談のフィードバックのスキルを強化する方法について説明します。
コーチング・コミュニケーションを取り入れることがオススメです。
コーチングとは
コーチングとは「クライアントの気づきを引き出し、モチベーションを高め、行動を促し、目標達成をサポートする」スキルです。
人事評価面談のフィードバックの目的とも合うことから、活用をオススメします。
一般的に人材育成の現場ではティーチング(指導、教える)が行われることが一般的です。
評価面談も、ティーチングに偏る管理職は多いです。
コーチングとティーチング、どちらも目的は「部下の成長」と目的は同じです。
しかし、アプローチ方法が異なります。
ティーチング:指導者の知識や経験をもとに、アドバイスを与えます。
コーチング:クライアントの知識や経験を引き出し、気づきを与えます。
コーチングでは、原則「教える」ということをしません。
クライアントから、話を引き出すことに専念します。
話を引き出すときに活用されるのがコーチングスキルです。
そして、コーチングスキルにも「フィードバック」のスキルが存在します。
コーチングスキルのフィードバック
コーチングスキルは「傾聴」「質問」「フィードバック」のスキルで構成されます。
コーチングスキルの強化によって「フィードバック」のスキルが強化されます。
しかし、コーチングの「フィードバック」は、人事評価面談の「フィードバック」とは異なります。
人事評価面談のフィードバック:評価することが目的。
コーチングのフィードバック:気づきを引き出すことが目的。評価しない。
コーチングのフィードバックの特徴は、「評価しない」というところです。
コーチが感じたことを部下に伝えることで、部下自身で評価してもらいます。
人事評価面談のフィードバックで、部下がモチベーションが下がる理由は、他人に一方的に評価されるからです。
自分自身の評価とのギャップがあるからです。
コーチングのフィードバックを取り入れることで、ギャップを緩和することができます。
人事評価面談の別の仕組みとして、1on1ミーティング(コーチング)を採用する企業が増えています。
通常の評価面談だけでは、部下のモチベーションを下げてしまう可能性があるからです。
【コラム】1on1ミーティングとは~目的とメリット・デメリット~
フィードバックの効果を高めよう
管理職になると、チームワークを強化することがもとめられます。
チームワークを強化するには、部下のモチベーションを高める必要があります。
人事評価面談の結果は、部下のモチベーションを大きく左右します。
そのため、管理職は考課者訓練が欠かせません。
フィードバックの仕方は、意外にわかりにくいものです。
目標を達成できなかった部下へのフィードバックは、多くの管理職を悩ませます。
フィードバックの上手い下手によって、部下のモチベーションが大きく変わります。
管理職の役割は、チームの成果の最大化です。
フィードバックのスキルを高めて、部下のモチベーションを高めましょう。
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ぜひご活用ください。