コミュニケーション能力が低いのは上司と部下のどちら?
働き方改革の影響や企業間競争の激化により、時間に追われる仕事の状況が続いています。
また、IT技術の発展による「処理しなければならない情報量の急増」によっても、時間に追われる状況が加速しています。
結果、人と人とのコミュニケーションの希薄化が進んでいます。
「社員のコミュニケーション能力が低い」状況を、課題にする企業は多いです。
上司と部下間のコミュニケーションの質が低いと、仕事がスムーズに進まないからです。
「部下のコミュニケーション能力が低い」と感じている上司は多いようです。
しかし、部下も「上司のコミュニケーション能力が低い」と感じています。
<上司側>
・指示命令が伝わらない
・報連相が無い
・会議で発言しない
<部下側>
・部下の意見をきかない
・頼みやすい人に仕事が集中する
・パワハラ
低いコミュニケーション能力が改善しないのは、改善方法を間違っているからです。
もしくは、「コミュニケーションをしっかりとろう!」と指示すれば、コミュニケーション能力が改善すると思い込んでいるのかもしれません。
問題の基本に立ち返って、コミュニケーション能力の改善方法を説明します。
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【目次】 |
上司と部下、コミュニケーション能力が低いのは?
職場では、よく「部下のコミュニケーション能力が低い」と問題視されるケースがあります。
客観的にみると、どうでしょうか?
「上司のコミュニケーション能力が低い」と思われるケースも存在します。
部下のコミュニケーション能力が低い
上司が部下のコミュニケーション能力が低いと感じるシーン。
・報連相をしてこない
・会議でも意見を発言しない
・アイデアを出さない
・プレゼンテーションが上手くない
・何が言いたいのかわからない
・近くにいてもメールで伝えてくる
部下自身の性格などもあると思いますが、消極的だとコミュニケーション能力が低いと感じる傾向にあります。
上司のコミュニケーション能力が低い
コミュニケーション能力といえば、部下の問題とされがちですが、上司にも問題はあります。
パワハラ、セクハラなども、コミュニケーション能力の問題です。
上司のコミュニケーション能力が低いと感じるシーンを挙げます。
・否定、批判などネガティブな発言が多い
・常にイライラしていて、寄せ付けない
・すぐ怒って、相手を黙らせる
・部下を見下す
・自分が一番正しいと思っていて、人の意見が聴けない
相手を論破する「話す力」はあります。
しかし、部下の話を聴かないのであれば、コミュニケーション能力が低いといえます。
【コラム】メンタルヘルスとは~職場からメンタル不調者を出さない取り組み~
コミュニケーション能力で大切な要素
コミュニケーション能力の大切なポイントを説明します。
上司は基本的に、コミュニケーション能力が高いとみられる場合が多いです。
なぜなら、コミュニケーション能力が高くないと管理職になれないからです。
しかし、論破する「話す力」だけに偏っている傾向があります。
そして、「自分はコミュニケーション能力が高い」との勘違いが、コミュニケーション能力改善の壁になります。
コミュニケーションの基本
コミュニケーションは、通信です。
カンバセーション(会話)と異なり、「話す力」「聴く力」両方揃って、初めて成立します。
コミュニケーションの目的は、「情報共有」です。
メールなど、情報データの通信も、完全性を求められます。
文字化けなど、完全な状態で相手が受け取らなければ、コミュニケーション失敗となります。
コミュニケーションの大きな問題は、「言葉はあいまい」である点です。
「むずかしい」の定義も、人それぞれ違います。
だから、話し手の価値観で話しても、相手には、完全な状態で伝わっていない可能性が高まります。
だから、「そんなつもりで言ったのではないのに相手を怒らせてしまった」「後輩にとって難しい仕事を『そんなの簡単だろ?』といってしまう」などが発生します。
コミュニケーションの基本は、「相手の価値観・レベルに合わせて、話をする」です。
相手に伝えるには、先に相手の価値観や考え方、感情を聴きとらなければならないのです。
相手が見た目に、子どもや外国人であるとわかれば、相手に合わせようと意識が働きやすいです。
しかし、職場の場合は、相手に合わせようという意識が忘れられがちです。
「空気が読めない自分勝手な人」にならないようにしなければなりません。
「コミュニケーション能力を高める」の勘違い
「コミュニケーション能力を高める」は、スピーチやプレゼンテーションなど「話す力」を磨かれる人が多いです。
部下の場合は、それでも良いでしょう。
上述したように、コミュニケーション能力は「話す力」だけでなく、「聴く力」も必要です。
上司の場合、「聴く力」の強化が必要です。
なぜなら、管理職になれる時点で、「話す力」は強いからです。
「聴く力」が欠如すると、相手を口で言い負かしてコントロールしようとするようになります。
「部下に、黙って従え」のような上司になると、さまざまな弊害が出ます。
・部下が報連相をしてこない
・部下が提案をしてこなくなる
・部下がメンタルヘルスを病む
・部下が離職する
・部下のモチベーションが低下する
上司のコミュニケーション能力に問題があるにもかかわらず、「部下のコミュニケーション能力が低い」と勘違いすると、問題の改善がすすみません。
人が次々と辞めている状況でも、「良い人材が入ってこない」と嘆いているかもしれません。
客観的にみれば、ブラック企業のようになっているかもしれません。
コミュニケーション能力は、能力の低い方に合わせなければなりません。
走りの遅い人が、速い人に合わせられないのと同じです。
部下から上司に合わせるのは難しいので、上司から部下に合わせるのが重要です。
極端にいえば、子どもとコミュニケーションをとるときに、子供にわかる言葉を使うのと同じです。
相手に合わせる力、上司が強化しなければならないのは「聴く力」です。
聴く力とコーチング・コミュニケーション
「聴く力を強化しなさい」といわれても、何をすればよいかわからない人がほとんどです。
「集中して耳を澄ます」ぐらいでしょうか。
「聴く力」を強化する方法として、コーチング・コミュニケーションをオススメします。
聴く力とは
「聴く力」とはなにか?も答えられる方が少ないです。
「ちゃんと聴いてたのか?」と「ちゃんと聴いてたら理解できているはず」のような意味付けをする場合もあります。
ちゃんと聴いていれば、どんなに難解な話でも理解できますか?
おそらくできないでしょう。
伝えたことが正確に伝わるかどうかは、どちらかといえば、話し手の責任です。
正確に伝わったか、確認する必要があるのです。
上司と部下の関係でも、よく発生します。
管理職になる人は、頭が良い人です。
上司なら簡単にわかる内容も、部下には難解である場合も多いです。
しかし上司は、それを忘れて自己中心的になって、自分の価値観で話をしがちです。
「普通、それぐらい意識するだろ?」など。
「普通って何でしょう?」
それは、発言者の価値観であって、他の会社では普通ではないかもしれません。
しばしば、自分の普通を押し付けがちです。
それにもかかわらず、受け取れない部下を「コミュニケーション能力が低い」とレッテルを貼ってしまいます。
この流れを止めない限り、職場のコミュニケーションは改善しません。
上司の「聴く力」強化がもとめられます。
聴く力の強化方法
「聴く力」の強化方法を、学んだ経験はありますか?
「聴く力」の強化方法は、カウンセリングかコーチングのトレーニングです。
ビジネスで活用するのであれば、コーチングがオススメです。
コーチングスキルは、「傾聴」「質問」「フィードバック」で構成されるスキルです。
コーチングスキルのトレーニングによって、「聴く力」が強化されます。
「聴く力」強化の難しさは、「聴く力」を発揮しなくても、日本語なので「聴けた気になる」です。
「聴く力」が大事と言われながら、トレーニングをしない人が多いのは、「自分は聴く力がある」と思い込んでいるからです。
実際には、「聴く力」は、長期的なトレーニングが必要なぐらい難しいです。
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
コミュニケーション能力が低い原因を改善する方法
コミュニケーション能力が低いのは、部下だけでなく、上司である可能性について説明しました。
また、コミュニケーション能力を高めるには、「聴く力」を強化する必要があるのも説明しました。
どちらも、昔から言われてきた内容です。
しかし、「聴く力」が大切と言われながら、いつまでたってもコミュニケーション能力が改善できていないのが現実です。
大切と言うだけでなく、「具体的に何をすればよいか」を言う必要があります。
まずは、「聴く力」の強化は、難しいものだとの認識が大切です。
本気で改善しようと取り組まないと、コミュニケーション能力は改善されません。
改善方法を紹介しますが、もっとも重要なのは、「継続」です。
コミュニケーション能力の改善は、時間がかかります。
効果がなかなかでないから、「あいつには無理だ」などと、辞めてしまうケースも見られます。
1on1ミーティングを取り入れる
1on1ミーティングを導入する会社が増えています。
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談です。
内容は、コーチングセッションに似ています。
上司が、部下の話をひたすら聴く面談です。
つまり、上司に「聴く力」がもとめられます。
最初は「聴く力」が無いので、1on1ミーティングも効果を発揮できないでしょう。
しかし、継続するうちに慣れてきて、「聴く力」が強化されてきます。
継続すると、上司の「聴く力」が強化され、部下は「考える力」「話す力」が強化されます。
上司と部下、両方のコミュニケーション能力改善の効果が期待できます。
コーチング・コミュニケーションを学ぶ
1on1ミーティングを取り入れる方法は有効ですが、上司に「聴く力」がもとめられます。
1on1ミーティングを継続していれば、「聴く力」が強化されます。
しかし、間違った方法をやり続ければ、「間違った聴く力」が強化されます。
まずは、「正しい聴く力」が何か?を押さえる必要があります。
「聴く力」強化には、何を意識するのが必要なのかを、最初に押さえておくと効率が変わります。
だから、最初にコーチング・コミュニケーションを学ぶことをオススメします。
正しい「聴き方」での1on1ミーティングの継続によって、上司と部下、両方のコミュニケーション能力を改善します。
【コラム】部下が退職を決意する前にモチベーション低下の理由に気づく方法
コミュニケーション能力が低い原因を改善しよう
職場のコミュニケーションの希薄化は、さまざまな問題を引き起こします。
チームでの仕事の生産性は、「個人のスキル×コミュニケーション」で決まります。
報連相が無い、提案が無いだけで、仕事は進まなくなり生産性は、大幅に落ち込みます。
そして、「コミュニケーション能力」の問題は、しばしば、「部下のコミュニケーション能力が低いから」と指摘されます。
しかし、「部下のコミュニケーション能力が低い」のは当然です。
もとめられるのは、コミュニケーション能力が低い部下に合わせられる、上司のコミュニケーション能力です。
いつも怒っている上司か、いつも笑顔の上司かによって、チームの雰囲気は大きく変わります。
上司にもとめられるのは、部下が発言しやすい雰囲気を作る力です。
それは「聴く力」です。
「聴く力」の強化方法として、コーチング・コミュニケーションをオススメします。
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