企業経営の悩み相談~人材に関する問題~
経営者の方と関わる中で、必ず話題に上がるのが「人材に関する悩み」です。
・なかなか良い人材が来ない
・採用したけど辞めてしまった
・社員のモチベーションが低い
・社員のメンタルヘルスが悪化した
・社員が出社してこない
・高齢化が進んだ
・若手社員を育てられない
・技術承継ができない
・後継者がいない
など
会社は人が動かないと、仕事が回りません。
結果的に、人の問題で業績が悪化します。
会社の業績を高めるには、人材の課題を解消しなければなりません。
そして、人材の課題を解消するには、経営者を含めて社員全員のコミュニケーション能力強化が欠かせません。
コミュニケーション能力を強化せず、小手先で解決しようとすると、ひずみが生じます。
人材に関する問題の解決方法を説明します。
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
【目次】 |
人材に関する問題
人材に関する問題は、主にモチベーションとストレスに関するものです。
主体性、積極性など、仕事の生産性を高める要素は、モチベーションに影響をうけます。
ストレスによる社員のメンタルヘルスの悪化や退職も、生産性に大きな影響を与えます。
モチベーションと生産性
モチベーションの低い社員と、モチベーションの高い社員では、生産性に大きな差が出ます。
たとえば、販売の仕事であれば、売れる量とモチベーションの高さは相関します。
壁にぶつかったときも同じです。
モチベーションが低ければあきらめます。
モチベーションが高ければ、なんとか壁を乗り越えようとします。
仕事の生産性を高めたいのであれば、社員のモチベーションを高めなければなりません。
ストレスと離職率
日本は労働人口が減少傾向にあり、今後、人材不足が深刻になると考えられます。
優秀な人材を囲い込むには、離職率を下げなければなりません。
会社を退職する理由は、ストレスが原因です。
そして、仕事でのストレスは増加傾向です。
実際、精神疾患による労災申請が毎年のように増加しています。
優秀な社員に辞められてしまうと、生産性が低下し、会社の業績にダメージを与えます。
仕事の生産性を高めたいのであれば、社員のストレスを減らさなければなりません。
【コラム】部下のモチベーションを下げるタイプの上司にならない
人材の問題が発生する原因
人材の問題が発生する原因は、「仕組み不足」と「コミュニケーション不足」の2つに分けられます。
「仕組み不足」は、特に中小企業でみられます。
「コミュニケーション不足」は、企業規模にかかわらず発生している問題です。
仕組み不足
モチベーションを高め、ストレスを減らしたいのであれば、そのための仕組みが必要です。
◆モチベーションを高める仕組み
・社内表彰
・賞与
など
◆ストレスを減らす仕組み
・リフレッシュ休暇
・有給休暇
・福利厚生
・定時退社日
・負担軽減の仕組み
・社内レクレーション
など
コミュニケーション不足
中小企業の場合、モチベーションを上げる仕組み、ストレスを減らす仕組みが整っていないので、社員のモチベーション低下や、ストレス増加につながります。
しかし、仕組みが整っているはずの大企業でも、社員のモチベーション低下やメンタルヘルスの悪化が発生しています。
原因は、コミュニケーション不足です。
人間関係、同僚とのコミュニケーションの質が、社員のモチベーションやストレスを左右するからです。
コミュニケーション不足は、人間関係を悪化させ、大きな影響を与えます。
人材の問題の解消方法
人材の問題を解消するには、以下の3つの視点が必要です。
・社員のモチベーションを高めるには、何が必要か
・社員のストレスを減らすには、何が必要か
・社員同士のチームワークを良くするには、何が必要か
人材の問題を考える上で重要なポイントは、「解決には時間がかかる」です。
時間を短縮したいなら、「理想的な人材を採用する」しかありません。
効果が現れるまで継続する、リーダーシップが重要となります。
教育訓練費はコストではなく投資
まず、人材育成に関する考え方の設定が大切です。
人件費をコストとみると、業績が悪化すると、すぐに人件費を削減しようとします。
人件費を削減⇒モチベーション低下⇒生産性低下⇒業績低下⇒人件費を削減⇒・・・
の悪循環に陥る可能性が高まります。
人件費、教育訓練費など、人材に使うお金は、将来に向けて行う投資という考え方が大切です。
長期的な計画書を作成し、人的資源管理を進めなければなりません。
繰り返しになりますが、人材育成は時間がかかります。
逆算して、早め早めの教育訓練が大切です。
コミュニケーション能力の強化
社員のモチベーションを低下させるのも、ストレスを増加させるのも、人間関係の悪化が大きな原因となっています。
人間関係を改善するには、コミュニケーション能力の強化がもとめられます。
コミュニケーション能力強化の問題で、間違えてはならないのは、「部下のモチベーションを強化しなければならない」との勘違いです。
職場のストレス要因、社員の退職理由の上位にあるのが、「上司との人間関係」だからです。
上司が部下との関わり方を、変える必要があります。
上司のコミュニケーション能力強化が大切です。
指示命令など、部下をコントロールしようとする「話す力」ではなく、部下を理解してあげようとする「聴く力」の強化がもとめられます。
共通のビジョンの設定
人材の問題を前向きに解消するなら、「チームワークの強化」になります。
チームワークが良い組織は、メンバーのモチベーションが高く、協力し合う関係なのでストレスが小さいからです。
チームワークに大切な要素が、「バーナードの組織の3要素」です。
・共通目的
・協働意欲
・コミュニケーション
スポーツチームをイメージしてもらえると、わかりやすいです。
強いチームは、勝つという共通目的に一丸となります。
メンバーは、その共通目的達成に向けて、協働意欲が高い状態です。
共通目的を達成に向けて、メンバー間のコミュニケーションは活発になります。
ワンチームを作るには、メンバーが共感する共通のビジョンを設定する必要があります。
そして、メンバーの共感を引き出すには、コミュニケーションが必要です。
【コラム】公平理論とは~社員のモチベーションマネジメント方法~
コミュニケーション能力を強化するしかない
会社内には、必ず人材の問題が発生し続けます。
その問題を大きくしてしまうか、軽減できるかはリーダーのコミュニケーション能力に左右されます。
人材の問題は、突き詰めて考えると結局はコミュニケーションの問題に行きつきます。
だから、人材の問題を解決するには、コミュニケーション能力を強化するしかありません。
しかし、コミュニケーション能力強化は複雑です。
何年もコミュニケーション能力が大切といわれつづけていながら、いまだに解決しない問題です。
コミュニケーション能力強化は、丁寧に継続するしかありません。
継続には、経営者の強力なリーダーシップが必要になります。
コミュニケーションより、業績を優先したら振り出しにもどるからです。