管理職に必要なコミュニケーショントレーニング
管理職は、部下とのコミュニケーションで悩むことが多いです。
悩んでいなかったとしても、部下から良い上司と思われているかどうかはわかりません。
チームの成果の最大化が責任ですが、部下が期待するように動いてくれなければ役割を果たせません。
管理職は、部下が最大のパフォーマンスを発揮できるようにサポートが必要です。
部下のころは、自分の仕事だけを気にしていればよかったかもしれません。
管理職になると、部下の仕事まで気にかけなければなりません。
部下の仕事が、期待した通りに、進んでいなければイライラするかもしれません。
管理職と部下のコミュニケーション不足は、さまざまな問題を引き起こします。
部下が「メンタルヘルスを病んでしまう」「退職してしまう」理由に、管理職との人間関係が挙げられます。
一方で、モンスター社員に苦しめられる管理職もいます。
管理職は、コミュニケーション能力強化のトレーニングが必要です。
【コラム】1on1ミーティングとは~目的とメリット・デメリット~
【目次】 |
部下の主体性が重要
管理職は、部下の主体性を引き出さなければなりません。
しかし、現実的に難しい面が多くあります。
管理職に負担が集中
部下に主体性が無ければ、逐一、管理職が指示を出さなければなりません。
場合によっては、自分がやった方が早いと、管理職自身が仕事をやってしまう場合があります。
管理職に、負担が集中します。
管理職がプレーヤーになると、重要なマネジメントができなくなります。
生産性を高める
チームの生産性を高めるためにも、部下の主体性が重要です。
部下が自分自身で考えて行動する場合と、上司からの指示を待って仕事をする場合では、スピードが異なります。
部下が多ければ多いほど、指示の順番待ちが発生してしまいます。
その間、管理職の仕事ができなくなります。
【コラム】コミュニケーション能力が低いのは上司と部下のどちら?
部下の主体性が引き出せない理由
部下の主体性を引き出さなければなりません。
わかっているのですが、現実的には難しいです。
実際、日本企業の生産性は、他の先進国の企業に比べて低いです。
部下が保守的になっている
日本の企業の特性として、全体的に保守的になっていると指摘されています。
主体性を持って行動することは、同時に責任も伴います。
失敗を恐れるために、主体性を持って行動できないのです。
管理職から指示されて、失敗したのであれば、管理職に責任転嫁できるからです。
管理職が原因になっている
部下が保守的になっている理由として、会社や上司が原因になっている場合があります。
管理職が部下の失敗に対して、罰を与える場合。
主体的に動いて、失敗してペナルティを与えられるなら、何もしない方が安全です。
部下のモチベーションを下げる上司もいます。
否定や批判、怒ってばかりいる管理職の元では、モチベーションが下がるでしょう。
管理職とリーダーシップ
管理職になると、リーダーシップを発揮することをもとめられます。
リーダーシップとは、「チームをまとめて、引っ張っていくこと」です。
意志の強さとコミュニケーション能力がもとめられます。
部下をまとめる
2019年流行語大賞に「ワンチーム」が選ばれました。
ラグビー日本代表の活躍の中でよく耳にした言葉ですが、ラグビー以外のチームでもワンチームは必要です。
管理職は、チームを一つにしなければなりません。
チームがバラバラだと、生産性が落ち込むからです。
チームをまとめるには、高いコミュニケーション能力がもとめられます。
的確に判断する
チームをまとめることができても、間違った方向に進むとチームは失敗します。
「迷って決められない」も、間違った方向に進む可能性が高くなります。
管理職が優柔不断になると、メンバーからの信頼を失い、チームをまとめる力が弱くなります。
発言と行動に矛盾が生じる場合も同じでしょう。
管理職は、的確に判断を繰り返しながらチームを引っ張らなければなりません。
【コラム】一体感の醸成方法~チームワークとコミュニケーション~
管理職のコミュニケーションの壁
多くの管理職は、課題について、頭ではわかっています。
しかし、改善のための行動が難しいのです。
部下とは異なるコミュニケーション能力
部下の頃は、どちらかと言えば「自分の意見を相手にわかりやすく伝えるコミュニケーション能力」がもとめられます。
そのほうが、やる気のある部下に見えますし、上司からの評価が高くなります。
しかし、上司になると、指示命令だけのコミュニケーションでは、部下の反発にあう可能性があります。
「部下は、管理職の指示には従うべき」という価値観では通用しないことが分かります。
部下は「余計な指示命令を受けて、仕事を増やすだけ損」と考えている場合もあります。
指示に従わなかったからといって、解雇ができない日本では、発生しがちな問題です。
管理職は、部下のモチベーションを高めるようなコミュニケーションが必要なのです。
管理職と部下の人間関係
もし「部下は、管理職の指示には従うべき」という価値観で、コミュニケーションをとっていると問題になる場合があります。
あまりにも無理強いしたら、パワハラとして訴えられるかもしれません。
社員の退職理由、メンタルヘルス悪化による休職理由のどちらも、ランキング上位に人間関係があります。
管理職自身の価値観を押し付けるコミュニケーションを強行すると、チームが崩壊するかもしれません。
部下の価値観を認めるコミュニケーションも必要です。
管理職に求められるコミュニケーション能力
管理職は、チームのリーダーである以上、部下をまとめる能力がもとめられます。
そして、部下をまとめる能力を発揮するために必要なのが、コミュニケーション能力です。
コミュニケーション能力とは
コミュニケーションとは、もともと「共有する」が語源になっています。
メンバー内で情報を共有する、想いを共有するなどに活用されるスキルです。
メールを送った時点で、コミュニケーションをとったと思うのは、間違いです。
相手に、正確に相手に内容を理解してもらえた時点で、はじめてコミュニケーションがとれたとなります。
コミュニケーション能力がもとめられる理由
コミュニケーション能力がもとめられる理由は、「仕事が進まなくなるから」です。
指示命令が通らない、報連相が行われない、会議で発言が無い、プレゼンテーションがわからない、営業力が無いなど、コミュニケーション能力が無ければ、仕事が進みません。
また、管理職の場合は、評価面談などで、部下のモチベーションマネジメントも必要です。
すべては、コミュニケーション能力が結果を左右します。
【コラム】テレワークで発生するコミュニケーション不足課題の対策方法
コミュニケーションが上手くいかない理由
部下に、うまく指示命令が伝わらない。
部下が、報連相をしてこない。
会議でも、発言が少ない。
コミュニケーションが、うまくできない場合は多いです。
部下のコミュニケーション能力が低いと思っている
報連相をしない、会議で発言しないのは、「部下のコミュニケーション能力が低いから」と感じていませんか?
実際、そうかもしれません。
一般的に、部下の方が管理職よりコミュニケーション能力が低いです。
管理職のコミュニケーション能力が高く、部下のコミュニケーション能力が低いときは、コミュニケーション能力の低い方に合わせる必要があります。
コミュニケーション能力の高い方に、合わせられないからです。
走りの遅い人が、速い人に合わせて走られないのと同じです。
もし、コミュニケーションが上手くいっていないのであれば、管理職が、部下のコミュニケーション能力に合わせる能力が足りないからです。
指示命令の仕方が悪いと思っている
管理職自身のコミュニケーション能力について、課題を感じているかもしれません。
指示命令の仕方に、工夫が必要なのだと。
そして、「指示命令の仕方」を勉強します。
しかし、管理職になる人は「伝える力」は十分にあります。
それよりも、必要なのは、部下のコミュニケーション能力に合わせる能力です。
極端に言えば、小学生に、難しい専門用語で指示命令しても、理解してもらえません。
部下が理解できているか、確認しながらのコミュニケーションがもとめられます。
モチベーションアップの課題
管理職は、部下のモチベーションが気になります。
部下のモチベーションが低いと、管理職としてのマネジメント能力に問題があると感じてしまうからです。
実際、部下のモチベーションによって、チームの成果は大きく異なります。
部下のモチベーションが低い
働き方改革、終身雇用制度の崩壊、就活ルールの廃止など、働く環境が大きく変わる中、部下の仕事への価値観が大きく変わりつつあります。
変わるというよりも、仕事に対するモチベーションが高い人から低い人まで、大きく広がりました。
そのような中、部下のモチベーションの低さに悩んでいる管理職は多くいます。
入社しても仕事をしない、すぐ辞めてしまうなど。
部下のモチベーションが、チームに与える影響は大きいです。
モチベーションアップと生産性
チームの成果を高めるには、生産性を向上させていかなければなりません。
生産性向上には、部下のモチベーションアップが欠かせません。
同じ作業でも、モチベーションの高い部下と低い部下では、処理スピードが変わります。
チームとして成果を向上させるには、管理職は、部下のモチベーションをアップさせなければなりません。
【コラム】公平理論とは~社員のモチベーションマネジメント方法~
モチベーションが上がらない理由
部下のモチベーションアップの課題は、ずっと言われ続けています。
それでも、モチベーションを上げられない理由は何でしょうか?
その原因を解消しない限り、いつまでたってもモチベーションアップはできません。
モチベーションをアップする理由がない
どうしてモチベーションアップしないのでしょう?
それは、モチベーションをアップする理由が無いからです。
管理職としては、「モチベーションアップして働いて、成果が良くなれば、給料上がるから良いこと」と思うかもしれません。
バブル時代は、確かにそれが通用したかもしれません。
現在はバブル時代ほど、給料は上がりません。
「どうせ給料が増えないなら楽をしたい」というモチベーションの方が強くなりがちです。
そもそもやりたくない
私たちは、基本的に「やりたくないこと」に対して、いくら「やる気を出せ」と言われても出ません。
逆に「やりたいこと」は、「やめなさい」と言われてもやり続ける場合もあります。
給料を上げられないなら、仕事に対して「やりたい」という気持ちにさせることが重要です。
正論を積み重ねて「やった方がいいよ」といっても、通じません。
【コラム】連鎖退職とは~若手社員が連鎖退職する原因と対処方法
モチベーションアップに大きな影響を与えるもの
社員のモチベーションアップは、どこの会社でも大きな課題です。
そして、どのようにしたらモチベーションがアップするのか、さまざまな研究がされてきました。
しかし、絶対的なモチベーションアップ方法は見つかっていません。
モチベーションアップしやすい場づくり
モチベーション理論はさまざま存在します。
しかし、上司の性格、部下の性格、会社の状況、業界の特性、景気動向など、さまざまな要因が複雑に影響し合います。
そこで、シンプルに考えてみます。
職場に矛盾が無いか考えてみてください。
例えば、日本企業でよくあるケースとして次のような矛盾があります。
会社側は、「チャレンジ精神をもって、仕事に取り組むように」といいます。
一方で、「チャレンジして、失敗すると減給される」という仕組みになっている場合があります。
「チャレンジ」というものは、「これまでやったこと無いことに挑戦すること」をいいます。
「チャレンジ」と「失敗」は必ずセットです。
会社側は「チャレンジするように」と「チャレンジしたら罰を与える」を同時に言っているケースがよく見られます。
そうなると、「チャレンジしよう」というモチベーションは上がりません。
人間関係とコミュニケーション
モチベーションを下げる要因から考える方法もあります。
「社員のモチベーションを下げるもの=職場でのストレス要因」
「社員のモチベーションを下げるもの=社員の退職理由」
このように読みかえると、インターネット上で検索するとモチベーションを下げる要因が見つかります。
モチベーションを下げる要因の上位は、どちらも「人間関係」です。
人間関係悪化の要因は、コミュニケーションの質の悪化によるものです。
・否定批判
・無視
・パワハラ、セクハラ
・説明不足
などが発生すると、人間関係が悪化します。
人間関係の悪化は、モチベーションを低下させます。
逆に、人間関係をよくすると、モチベーションが上がりやすくなります。
【コラム】ビジネスでワンチームに~会社組織の一体感を醸成する方法~
コミュニケーション能力を高める方法
コミュニケーション能力を高める方法について説明します。
必要なのは「コミュニケーション能力が低い人に、コミュニケーションを合わせる能力」です。
そのため、「話す力」はいったん保留でOKです。
相手のコミュニケーション能力に合わせるための「聴く力」を強化します。
聴く力の強化トレーニングを行う
「聴く力」の強化トレーニング方法は、「相手に、本音でたくさん話してもらう」を意識するです。
できるだけこちらの意見を言うのを控え、相手の話を聴くを意識します。
自分が話をすると、相手を黙らせてしまいます。
報連相がない、相手が発言しないというのは、相手を黙らせつづけてきた結果かもしれません。
相手のコミュニケーション能力に合わせるには、相手の話をしっかり聴いて、相手のコミュニケーション能力を知る必要があります。
また、「本音で」がカギになります。
部下は信頼していない相手には、「本音で」話をしません。
信頼関係を、全力で築いてください。
信頼関係構築の過程が、トレーニングになります。
1on1ミーティングを活用する
「聴く力」強化のトレーニングに、1on1ミーティングの活用をおすすめします。
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1の面談のことをいいます。
ただし評価面談とは異なります。
大きく異なるのは、目的と頻度です。
目的は、部下の主体性を引き出すことです。
そのため、指示命令は行わず、部下のやりたいことを引き出します。
1回で主体性が引き出せるわけではないため、高頻度で継続的に繰り返します。
週1回~月1回の頻度で、1on1ミーティングを行います。
部下の主体性を引き出しつつ、聴く力の強化につながるトレーニング方法です。
コーチング・コミュニケーションを取り入れる
社員の主体性を引き出す1on1ミーティングですが、誰がやっても同じ効果が出るかというと、そうではありません。
管理職の聴く力に左右されます。
1on1ミーティングの継続により、聴く力の強化を図ることができます。
しかし、やり方を間違えていると、間違った方向に強化されます。
正しい方向での「聴く力」のトレーニングも必要です。
そこでオススメするのが、コーチング・コミュニケーションのトレーニングです。
コーチング・コミュニケーションとは、コーチングスキルを取り入れたコミュニケーション方法です。
コーチングスキルとは、「傾聴」「質問」「フィードバック」で構成されるスキルで、強化することにより「聴く力」が強化されます。
コーチング・コミュニケーションとは、「聴く力」に重点をおいたコミュニケーション方法になります。
コーチング・コミュニケーションの導入によって、メンバーが発言しやすい環境をつくれます。
【コラム】バーナード組織の3要素~共通目的・協働意欲・コミュニケーション
ワンチームをつくる
人手不足状況が続き、働き方改革による働く時間が減らされる中、チームの生産性を高めることがもとめられています。
そして、チームの生産性を高めることは、管理職の役割です。
管理職は、生産性を高めるため、ワンチームづくりがもとめられます。
ワンチームにするには、コミュニケーション能力の強化が必要です。
弊社では、コミュニケーション能力強化を目的とした研修セミナーを実施しています。
ぜひご活用ください。